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「平民は愛されない」はずなのに、雲の上の第一王子様から溺愛されています!?  作者: 東明時裕夜
第二章 レレナのお茶会と、高貴なもの達との出会い

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幕間12 レーナの思い

レレナが席を外している間、レーナは真面目な顔で呟いた。


「行ったわね、あの平民の娘」

「レーナ?」


その呟きに反応したナセドは、冷たい眼差しを向けた。すると、レーナは怯まず、威厳を保ったまま言った。


「殿下、一つ申し上げてもよろしいですか?」

「あぁ、なんだ? レーナ」

「あの平民の娘は、他の平民とは違うとわたくしはそう感じております。……その上で、伺いますわ。殿下は、あの娘をどうなさるおつもりですの?」


それは、公爵令嬢としてはありえない発言だった。 ……だが、この場の誰も、それを笑わなかった。


「どうもしない……流れに身を任せるだけだ」


ナセドは、そう答えるしかなかった。相手は平民の娘。王族である以上、恋をすることはできても、結ばれることは許されないのだ。


「流れですか……」


それ以上、レーナは何も言わなかった。……ただ、その胸の内だけが、静かに騒いでいた。


(『流れに身を任せる』なんて、嘘ですわね。本当はあの子のことが好きだと、わたくしにはわかっているわ。でも、わたくしだって殿下をお慕いする気持ちを……。それをこの場で……いえ、やめておきましょう。けれど、もしあの子が貴族だったなら、殿下の『妃』になる可能性もあったかもしれませんわね)


そう深く考え込むレーナをよそに、フィオネ王妃が薄い笑みを見せた。


「レーナ。あなたは今日のお茶会で、妃候補に相応しい振る舞いをしていたと、私は思っていますよ。……まぁ、彼女も素晴らしい心の持ち主だけれどね。でも――忘れてはいけませんよ、レーナ」


「はい、王妃様。わかっています」


フィオネ王妃の威厳に満ちた言葉を受け、レーナはテーブルの扇子を手に取った。そしてそれをそっと胸に当てると、今度はナセドを真っ直ぐに見据えて、言い放った。


「――妃候補として、しっかりと努めますわ」


その気高い彼女の姿を前に、ナセドは何も言えず、ただ無言で空を見上げるしかなかった。


「お待たせいたしました、皆様」


と、休憩所の外からレレナの声が聞こえた。ナセドは空から視線を戻し、こちらへ歩いてくる彼女の姿を見つめた。


(レレナ。俺は、何があっても君を愛している。……それだけは、変わらない)


そう強く心に誓いながら、彼は彼女が席に戻るのを、静かに待ち続けた。

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