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気にくわないがCに座布団をやって、隣に座ることにした。確認のためや。
二人で並んで、お姉ちゃんがちゃぶ台越しにトイメンにいる構図やで。
「い、E。な、ななな、なんでCの隣に座ってるん?」
あかん。お姉ちゃんの顔が青白くなっとる。全然、そんなつもり微塵もないんや。
「お、お姉ちゃん。そや、兄試験や! 兄試験!」
「そ、そうか。別にええけど……そないな試験別にせんでも……」
しょんぼりしたように言う。あかん見てられへん。
「あ! お姉ちゃん。わたしお茶飲みたいわあ。東京の水も悪くないかも。結構おいしいかもしれん! 今思ったわ!」
「そ、そか。じゃあ入れてくるわー」
お姉ちゃんがお茶を入れにいったのを見計らって、Cに話しかける。両腕を組んで右斜め四十五度見下し視線や。こういう得体がしれんやつにはなめられたらあかん。
「おい。Cとか言ったか。なんやお前。東京の水飲みすぎるとそうなるんか? 体組成が東京60%だからか? もしかして100%なのか?」
「いや、多分東京の水は関係ないです……」
Cは困ったような素振りをしている。まったくふざけた演技をしおる。
「……東京人はみんなそうなんか?」
「多分、違うかと……」
「じゃあお前だけか」
「た、多分……」
「何回多分言うんや。確率下がりすぎや。でもまあわかった。お前ここで切腹やな」
「いや、それは……内蔵で部屋が汚れちゃうんで……」
「真面目に返すな。これだから東京はダメや。冗談に決まってるやろ」
「すいません……。さっきから全然冗談に聞こえないんです」
Cが俯いている。またフリや。
「……」
「よくわからんが、その力使ってお姉ちゃんも油断させたんやな。……許せんなあ」
Cはばっと顔を上げると、
「いや、それは違います! Aさんは、逆で! 分からないんです」
「はあ? ……ちゃんと説明しろやボケ」
「あの、Aさんは……思考の速度と内容が早すぎるのと、飛びすぎてるので良く分からないんです。……Aさんは俺が初めて会った、訳の分からない人なんです」
「訳の分からないとはなんやっ! お姉ちゃんは天才やで!」
「……す、すいません。でも昔からこの能力が嫌で嫌で……ろくな目に遭ったことがないので」
両手で顔を覆う。全く情けないやつやで。そんな能力あった方が便利やろ。
「だからAさんといるとほっとするんです。ですから、Aさんが天才だというのは本当だと思います……」
「……まあ、それはあるな。わたしはお姉ちゃんをアホ扱いするやつが昔から少数いてむかついてたんや。お前少しはわかっとるかもしれん」
「はあ。ありがとうございます」
「……。はっ! そういう作戦か! 油断しとったわ! 将を射るにはまず馬からとか思っとるな!」
「いえ……別に作戦とかないです。それに、そもそもEさん思ってることほとんど喋ってるじゃないですか」
「……………………。あのな、大阪はそういう場所なんや」
「そうなんですか? なんか適当言ってないですか?」
「言っとらん。大阪はそういう街やで」
「そうなんだ……。大阪に引っ越そうかな……」
「ちょ、調子に乗るな! 大阪がお前を受け入れるわけないやろ! わたしが認めるわけないやろ!」
「……」
「しょんぼりするな! あとでヘコめ! おい今はお姉ちゃんがいるんやから元気出し! お姉ちゃんががっかりするやろ! ほら!」
頬を掴んでびしばしと軽くひっぱたく。
――まあ、実際は、わたしがヘコませたんかもしれんけど。別に悪いなんて思ってないで。
「な、な、な、仲良さそうやね……ほっぺた……」
お姉ちゃんがお茶を運んで、
「わーーー! ぶるぶるしすぎやお姉ちゃん! お盆にめっちゃお茶こぼれとる! 生まれたての子馬状態や! 倒れちゃダメや! グロッキーでもテンカウントはあかん!」
「あわ、あわわわ……ごめ、い、入れ直してくる」
わたしは額を押さえた。ごめんなお姉ちゃん。
「……あかん。もうヤブヘビやー……。あのなC、わたしが言いたかったのは……えーと……ってお前何笑ってんねん!」
「あはは、すいません。Eさん、お姉さん思いだな、と思ったんで」
「ちっ。……また心読んだんか。気に入らんわ-」
「いえ。多分、見てたら誰でも分かりますよ」
「っ!」
何がシャイや。笑いおって。……大体コイツ結構喋るやんか。
「もーええ。お前の能力とかそもそも別に興味ないし。わたしは別に見られて痛いものなんて……まあ少しはあるけど別にええわ。問題なのはお前の変態性やからな!」
「……随分サッパリしてますね……」
Cがちょっと驚いたように言う。
「それが大阪や。勿論言っとくけどお前とお姉ちゃんの仲を認めたわけやない。せやけど今はお姉ちゃん元気出させる方が重要やからな」
Cがはい、と頷いた。
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