表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/17

第9話 血


扉が勢いよく開く。


「ご主人様、侵入者が・・・!」


「なにか騒がしいと思ったら、ふむ、抹消部隊を呼べ。処理させろ。」


抹消部隊。それはジンキ子飼いの施設部隊。彼自身だけでなく、政治家や大企業の社長など、権力者の問題を抹消するために動く部隊。


どの国にも、どの街ににも、どの時代にも、絶対に無くなることは無い、問題のもみ消しという需要。


非合法の破壊工作。追及する人間は、警察署長の立場を利用し、逮捕し投獄するなり抹消するなり、自由自在。


ジンキがこの街でバカでかい屋敷を所持していられるのは、そういった闇の仕事の膨大な収入源があったからだ。


警察署長の立場、裏の仕事をしている以上、人から恨まれることは当たり前なので、侵入者と言われて、心当たりがありすぎて、


全くだれかわからない。いちいち確認するのも意味が無い。抹消するのが一番早い。


「まったく、無粋な。」


そう言うと、ジンキは自分の胸に刺さったナイフを抜く。


ジワリと血が滲み出るが、吹き出たりはしない。傷口は浅い。ジンキの胸の筋肉が厚い故に致命傷ではなかったのだ。


ジンキが視線を落とす先には、テーブルの上に、女が倒れていた。女の胸にはナイフが刺さっていた。


「惜しかったね。後一センチ深く刺していれば私は死んでいただろうね。女の力では肋骨を超えるのは難しいだろうが。」


ジンキはソファーに腰を下ろす。


女の胸からは、ドクドクと血があふれ出している。心臓の鼓動に合わせて、流れ出た血が、体を伝い、テーブルを伝い、床に滴り落ちる。


「その出血だと、後1分だろうね。その前に失血性ショックで意識を失う。血液の20%、900mlを失うと・・・まぁいい。


君が生の最後に思うことは何だい?刺した場所は、肺を避けているから話すことは出来るはずだ。」


警察署長ジンキは、目を輝かせながら、ワクワクして女の言葉を待つ。


「だれが・・・言うか・・・」


「それも真実の一つだね。」


女は動かなくなった。


血が噴き出す脈動も止まった。


「ふむ・・・まぁ、いいだろう。ああ、今日は楽しかった。この子は本当に良い子だった。この体も高く売れるだろう。


金持ちには、こういう性癖のヤツも多いからな。」


ジンキが女の死体を見ながら、ゆっくりと冷めたコーヒーを飲む。


美しい。とジンキは思った。なぜ女はこんなにも美しいのだろう。と思った。


ふう。と一息ついた瞬間、


背後にある扉が、爆破されたように吹っ飛んだ。


扉は窓ガラスを突き抜け外に落ちる。


風が強く吹き込む。


ジンキが強く振り向くと、そこには男が居た。


執事が言っていた侵入者だろう。全く何をしているんだ。


その男は、オレンジ色のスーツ、青い髪。青い目。そして、手には何も持っていなかった。


どうやってあの扉を破壊したんだ。どこかに爆弾を持っているのか?手榴弾?


とジンキは警戒し、後ろに下がり、腰のホルスターから銃を取り出す。


しかし、男はジンキを見ることなく、女の死体に近づいた。


男は、何の表情も崩さず、ただ、見ていた。


何も動かない。この女の知人か?しかし、もし親類、友人、恋人なら、普通、激昂するはずだ。


だがこいつは何もない。本当に、朝、電車を待つサラリーマンのような、感情の無さ。


しかし、リリスは無感情ではなかった。


リリスの感情は、強い力となって、空気に伝わり、部屋のガラス、陶器、壁紙、家具、照明に伝わり、ひびが入り、火も無いのに焦げていく。


リリスは、怒っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ