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第2話 待つ時間


海は変わらない。空も、空気も、コンクリートも、彼女と出会う前とは何も変わらない。


けど、全く違う世界のように感じる。


それは・・・僕が変わったからだ。今、寂しいと思う。一人でいることが、少しだけ寂しいことだと感じている。


じっと海を見る。波が寄せて、引いて、を繰り替えす。


これがあと何回繰り返せば、彼女に会えるだろうか。


他にやることも無いので、ぼんやり海を眺める。


・・・空が紫色に滲んできた。


町にバイクが走り出した。朝刊を配っているんだろう。


朝になる。鳥が飛び、虫も出始める。


町も、学校や仕事に行く人が家から出てくる。


僕は何も変わらず、海を眺めている。


悪魔には、学校も仕事も関係ないからだ。


いや、悪魔にも仕事はある。人の魂を得る事だ。


だが僕には関係ない。そんなことに興味が無いからだ。


僕は悪魔、と言っても、悪魔と呼ばれているだけで、僕は別に悪魔として生まれたわけじゃない。


興味が無いんだ。偉くなるとか、強くなるとか、


僕はこうやって、ぼんやりしてるのが好きなんだ。


そう言う意味では悪魔らしい悪魔と言えるかもしれない。怠惰。怠惰の悪魔。実に悪魔らしい。


尻がコンクリートに根を張ってはいけないから、少し散歩をする。


岩礁と、猫の額ほどの狭い砂浜が、疎らになった海岸を歩く。


日本にも行ったことがあるが、不思議なことに、潮の匂いというモノが全く異なる。


海はつながっているのにその土地土地で香りが違うのはとても面白い。


護岸の上を猫が歩いている。体の上半分が黒で、下半分が白、という極端な柄の猫。


猫は人間と悪魔の見分けがつくらしく、決して近づかない。


それとも、僕以外の悪魔にはなつくのだろうか。僕が単に嫌われてるだけなんだろうか。


そんなとりとめのない、脈絡のない、雑多な思考をしながら、ただ時間が過ぎていくのを待つ。


待つ。不老不死で未来永劫を生き数億年の時間を生きてきたこの僕が、


たった一日待つことを、長いと感じている。


長い。まだ朝。太陽はまだ天上まで登っていない。


胸の内ポケットから、物理法則を無視し、ウクレレを取り出す。


ぽろろん。と音を出す。


その音色は、いつもよりも弾んで聞こえた。


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