生きる意味(by天音)
私の家族は、昔から妹を溺愛していた。
私が6歳の時に妹が産まれ、その時から私に愛情は注がれなくなった。
両親は私には厳しく、妹には優しかった。
妹は何をしても怒られない。
全部、「お姉ちゃんがやった」と言えば、両親はなにもしてない私を叱る。
私は、妹のせいで、愛情、信頼、両親、全てを奪われた。
挙げ句の果てには、「お姉ちゃんが私の首を絞めた」と言って泣き真似をした。
その日には、3食全部出されなかった。
こんなの、まだましだった。
酷い時は、日付が変わるまで家に入れてくれなかった。
家を出ようとしたが、行く宛もない。
弁明しようとしたが、何も信じてくれない。
何もできない自分が、憎くて、嫌いだった。
自殺しようとしたこともある。でも、怖くてできなかった。
毎回家に入るのも全てが苦痛だった。
それでも私は、学校に来ている。
生きる意味が分からないまま。
朝、登校すると、黒瀬さんがなぜかこちらを見ていた。
黒瀬さんは、私の視線に気が付くと、視線を戻そうとしたが、その前に話しかけた。
「黒瀬さん?」
「いや、何でもない」
私は、少し違和感を覚えた。
でも、気にしていても仕方ない。
「そう」
それだけ言って席に戻った。
次の日、黒瀬さんに一緒に下校しないかと誘ってみた。
下校中、ひったくりが現れた。
私が考えるよりも先に、黒瀬さんはひったくりを追いかけていた。
黒瀬さんにもこんな一面があるんだと感心した。
戻ってきた黒瀬さんに、聞いてみた。
「さっき言おうと思ったんだけど、黒瀬さんって、他の人には見えないモノ見えてるよね?」
昨日の視線が、何か見えてはいけないものを見ていたような気がして、こんな質問をしてしまった。
「なぜそう思った?」
何でも無いと言うと思ったのに、本当に見えてそうな感じがする質問が返ってきた。
そして、もう一つ私が気になってた事を言った。
「黒瀬さんって、人のことを見ないよね」
「なんというか…わざと見ないようにしているみたいな…」
そこまで言うと、黒瀬さんは、人の死期と死因が分かる事、その能力を使って助けようとしたこと、全部話してくれた。
少し驚いたけど、笑うようなことはできなかった。
私も同じような感じだったから。
能力のことを聞いた時、一つの考えがよぎった。
私は、もうすぐ死ぬのかもしれない。




