エリスの過去 1
ことの起こりは学園入学前、とある貴族家のホームパーティでの出来事だった。
主催はとある街にある学院の学院長で、孫娘の10歳の誕生日を祝うもの。
文官系、学者系の貴族が年の近い子供を連れて出席していた。
既に婚約済みのエリスはトレイシーと一緒に両家の家族と参加している。
既に両家で開発し運用されている親子鑑定を含む各種理論や魔道具、その他諸々で注目を集めているので一人にならないよう言明されての参加だった。
「そんなに信用無いのかな?」
エリスの言葉に兄は首を横に振った。
「信用が無いのはお前じゃない。あそこにいる奴らだ。」
兄の視線の先には豪華絢爛という程ではないにしてもそこだけ華やかと言うかキンキラしたけばけばしい一団がいる。
「成金趣味・・・」
その言葉にトレイシーが僕もそう思ったと笑う。
「確かに、今まで羽振りが良かったからね。」
これはトレイシーの姉の言葉。
「今は違うということですか。」
トレイシーの言葉に兄が頷いた。
「色々誤魔化しているけど、着ている服や装飾品は型落ち品だ。」
王都の学園に通う二人は流行最前線を見ている。
学園には制服があるが寮の中は私服だし、週末には王都に買出しやら何やらで出掛けていると聞いた。
「落ちぶれているという程じゃないけど今までの様な勢いはないわ。」
今まで彼らの独壇場だった分野にエリス発案の魔道具他が切り込んだ。
圧力を掛けようにも扱っているのは派閥違いのマイルズ商会。
格下の子爵家とは言え、自身で商会を運用しているため、身分を笠に着た取引が通用しない。
※ベツコーイ家が使っているのは平民の商会
取引先も侯爵家や辺境伯家。下手を打つとこちらが追い詰められることになる。
結果、独占価格で高止まりしていた様々なものは売れなくなり値下げを迫られていた。
「聞いた話だとあちこちで取引が打ち切られて相当追い詰められれているみたい。」
「窮鼠猫を噛むと言うし、気を付けろよ。お守りは持ったか?」
兄の言葉にエリスとトレイシーは頷いた。
「そう。後、何度も言うけどここでは何も飲み食いしちゃ駄目よ。」
「主催の学院長は信用できる方だがこの人数だ。
この場限りの使用人もいるから信用できない。」
「主催に挨拶したら早々に引き上げましょう。」
少々残念そうな顔してトレイシーの姉は言った。
どうやら何人かは会話したい相手がいるらしい。
「仕方ない。あいつらが居る以上長居は無用だ。」
両親、兄に連れられてエリスは好々爺な学院長に挨拶をする。
「エリス・ファティマと申します。」
綺麗なカーテシーをしてすっと両親の後ろに下がった。
続けてトレイシーの家族が挨拶をし、出席者で主だったもののところに挨拶して回る。
粗方まわったところでホールから音楽が鳴り始めた。
ダンスの時間らしい。
今回はデビュー前の子供達が主役のパーティだ。
最初は学院長の孫娘とその兄が踊っている。
無事踊り終えて拍手をもって二人を迎えられる。
続けてエリスとトレイシーや他に何組かのペアがホールの中央に出てきた。
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