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【本編・二ノ国編完結】前提条件が壊れた結果  作者:
おまけ 二ノ国編

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スティーブンの失恋

二ノ国編で書けなかったキャラクタの小話

まずはサーシャ編

王太子達がメヌエルに帰る時、スティーブンはずっとサーシャを見詰めていた。

サーシャはというと王女の後ろに控え、特別スティーブンに対して意識を向けているように思えない。

その日の夜、王女の部屋にサーシャとポリー、アリサが集まった。

エリスは今回の結果を調べると言って研究用の部屋に籠っている。

4人は侍女ではなくアリサが淹れたお茶を手にくつろいでいた。


「サーシャは良かったの。スティーブンさん、ずっと話をしたそうだったけど。」

「良いのというか私の方に話すことはないからなあ。」

「気の毒に・・・」

サーシャとポリーの会話を面白そうに眺めて王女はアリサに話を振った。

「あの二人はもう終わりなの?」

「ええ、サーシャが卒業後は故郷に帰ると決めましたから。」

「そう。」

スティーブンは嫡男で嫁を貰う立場である。

婿取りする心算のサーシャには対象外となっている。

「スティーブンがカンテラの様に後継ぎの座を譲ってもか。」

「無理ですね。」

アリサの言葉にサーシャではなくポリーが頷いた。

「理由を聞いても?」


サーシャとポリー、アリサを顔を見合わせ、ポリーが口を開いた。

「スティーブンさん、言葉が悪いけどサーシャの劣化版なんですよ。」

「劣化版?」

「スティーブンさんがサーシャより上なのは実家の家柄だけです。

後は全部劣ります。

そういう点でサーシャの気を引く部分がないんですよね。」

「言うの。」


「春の一件でサーシャの実家に行けなかったのは大きいですね。」

説明を求むと王女は言った。

「私達、私とクレスは夏にサーシャの実家に行って向こうで鍛えられてきました。」

「ふむ。」

「それで身に染みたんですよ。辺境と中央で求められるものが全く違うって。」


「中央だと相手は人なんです。」

「辺境は獣、言葉なんて通じない。」

ポリーの言葉にサーシャが補足する。

「そういうことです。スティーブンさんって強いのは人相手なんですよね。

そして常に人に囲まれ、貴族の嫡男として面倒を見られてきた人だから一人だと出来ないことが多いんですよ。」

そこでポリーはお茶を一口飲んだ。

「学校の成績と言う点ではスティーブンさん、私やクレスよりずっと優秀です。

でも彼は辺境だと生きていくのが大変というか今のままでは無理だと思います。」

ここでアリサが口を挟んだ。

「騎士科だから自分の面倒は自分でみれると思うけどそれでも駄目なの。」

「駄目ですね」

「無理だと思う。」

サーシャとポリーに揃って否定された。

「どういうことか説明して貰えるかしら?」

「感覚が中央、王都とか都市前提なんですよ。

足りないものがあれば店で買えば良い。そういう感覚なんです。」

そこでアリサは理解したらしい。

「成程、辺境には店なんてない。偶に行商人が来る位。」

「そうです。」

ここまで言われても王女にはピンと来ないらしい。

首を傾げている。

「マリア殿下、何か欲しいものがあった時どうしますか?」

「侍女に言って持ってきてもらう。」

「ええ、スティーブンさんの感覚はそれなんですよ。」

「でも辺境に侍女なんて居ません。」

「居ない?使用人は居るわよね?」

「ええ、居ます。

ただし彼等彼女等は自分達の仕事があって忙しく働いています。」

王女には未だに状況が分からないらしい。

「辺境には誰かの面倒を見るだけを仕事にしている人なんていないんですよ。」

「辺境の使用人達が面倒を見るのは幼い子供か怪我や病人だけです。

いい年をした男は働き手であって面倒を見る対象じゃないんです。」

「彼はまあ騎士だから足りないものがあれば店に行って買う、お腹が空けば食堂に行って食べる。

それ位は出来ます。」

「でも、必要な物があったら自分で作る、食べ物を周辺から狩りをしたり採取したりして作るっていうことをしたことがないんですよね。」

「行軍演習で携帯食を食べるというのは出来るけどその携帯食を自分で作るのは出来ません。」

「貴方達は出来るの?」

サーシャとポリーは頷いた。

「私の場合は夏にサーシャのところに行って出来るようになったんですが。

と言うか出来ないと辺境では生きていけません。」


アリサが王女の顔を見ながら言った。

「サーシャって何でも自分でやりますよね。」

「ええ。」

普段の様子を知る王女は頷いた。

「貴族はやりません。それは侍女や侍従の仕事。下手にやれば彼らの仕事を奪うことになります。」

「でもそれは辺境では通じません。

向こうでは皆領主も領民を協力し合って生きています。

得手不得手、向き不向きはあるにしてもお互いに仕事を分担して、手伝って手伝われて生きています。」

「マリア殿下、辺境は人が少なくて畑、家畜その他世話をしなきゃいけないものが多いので人の面倒を見るだけの余力が無いんです。」

「スティーブンさん、周りに人が居て世話をしてもらうのが当たり前だから。

今の状態で辺境に行ったら手伝うどころか足手まといなんですよね。」

「そして今のスティーブンさんに求められているのはアーサー殿下の側近です。

それを放り出されて辺境に行かれても困るでしょう。」


「反対にサーシャは貴族として人を使うことに慣れていません。

赤ん坊でも幼児でもなく怪我人でも病人でもないのに人に世話をされることに違和感がある。

淑女科教育を受けているからそういうものだという知識はあって、侍女や騎士として働くなら何とかなるでしょう。

でも貴族夫人は無理。

出来る出来ないなら出来るけど性格的にやりたくない。向いてないんですよ。」

「そうなの?」

王女はサーシャを見る。

「ええ、なので故郷に帰ろうかと。」

閲覧、有難うございます。

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