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【本編・二ノ国編完結】前提条件が壊れた結果  作者:
二ノ国編

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27_羽化の儀:裏の裏

王女が出掛けた宿の一室。

6人の男女はディスプレイを見つめている。

皆若い。誰も二十歳になっていないだろう。

やがて一人の女性がとある映像を見て微笑みを浮かべた。

「お客さんの御到着。」


今日は満月、雲一つ無い空に煌々と輝いている。

闇に隠れるには不向きな夜だが襲撃者達は知っている。

ケルヌの警備隊は音と臭いに特化していることを。

警備隊に梟を連れた者が居ればもう少し警戒はしただろう。

梟は夜目が聞くとは言え、基本は音や臭いだ。

そして梟を連れた者が離れたタイミングを狙えば問題ない。

今も犬を連れた警備員が彼らが隠れた路地裏の横を通り過ぎていく。


挿絵(By みてみん)

ターゲットの宿はロの字の形をしている。

ベランダがあるのは中庭側だけ。

外側の窓は全て鎧戸で閉じられている。

人間なら足場に困るだろうが獣相を持つ彼等には困ることはない。

面倒な鼠返しも対策済みだ。

昨日まではメヌエルの騎士が門の前に立っていたが今はケルヌの警備隊員だ。

大半の護衛が王女に付き添ったのだろう、宿の人気は少なくなっている。

彼等は風上から眠り薬の粉をそっと飛ばした。


「始まったね。」

門番がうずくまったのを確認して侵入者たちが壁に取り付いた。

その様子は赤外線モニターにはっきり映し出されている。

「来ました。A3ポイントから登ってきています。準備は良いですか?」

ヘッドホンを付けた一番幼い少女の声に

「ああ、何時でも行ける。」

モニタから声が返ってきた。

月に照らされた王都の街中で攻防が始まった。


侵入者は屋上にヒョイと音もなく上がろうとして何かに吹っ飛ばされた。

そのまま路地の向こう、見えない壁に叩きつけられた男は受け身も取れず、地面に落下する。

そして手にした発火装置が作動し火だるまとなった。

「やはり火災を狙ったか。」

宿の鎧戸は火矢は通さず燃えることも無い。

爆発物を投げつけても焦げ目が付けば良い方だろう。

火事を起こそうとしたら中庭側から火を点けるしかない。

立て続けに3人路地裏に落ちていった。

近隣住人が騒ぎに気付いて慌ただしくなる。

犬笛が幾つも響き渡った。


「ほう、避けたか。」

上がると同時に横に飛んで攻撃を避けた侵入者は屋上で転がった。

「何奴!」

「不法侵入者が何を言う。」

屋上に立つ若い女にナイフを投擲した。

が、それは見えない壁に阻まれた。

そしてそのまま倒れ伏す。

「後ろが疎かになっているぞって聞いてないか。」


屋上の中心にいるのはイーダ。

侵入者を叩き落とす魔法を無音で放っている。

周囲の見えない壁は魔道具によるもの。

攻撃を避けた侵入者を倒したのはスティーブン。

他にも何人か護衛の訓練を積んだ侍女や使用人が潜んでいる。

やがて壁に張り付いた賊は全て叩き落とされた。


周囲に潜んでいた者達も全て拘束される。

リーダ格と思われる若い男が警備隊により宿に連れてこられた。

覆面を取られ素顔が明らかになり、エリスが声を上げた。

「知っているの?」

「はい、鑑定士の助手としてきた方です。」

「成程ね。下見と言う訳か。」

「どこまで通した。」

それには支配人が答える。

「一階の共用部分だけです。」

憎々し気に睨みつける男にイーダは言う。

「人数が多いと思ったけど、狙いはエリス達か。」

そう、外には警備隊に扮した賊が何人も潜んでいたのだ。

火災になって避難誘導するどさくさに紛れて誘拐を目論んだろう。

中には本物の警備隊に属するものもいるかもしれない。

そこら辺の調査はケルヌ側に任せることになる。


宿側で捕獲した賊を引き渡し後片付けが一段落したころ、

王女一行は宿に戻ってきた。

閲覧、有難うございます。

面白いと思ったら評価をお願いします。


最初の警備室にいたのは王太子、イーダ、スティーブン、エリス、トレイシーに王太子の婚約者。

オペレータをしていたのは王太子の婚約者です。

全体指揮は王太子。


種明かしは次回。

次の話で二ノ国編完結予定

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