15_王都入場、不穏な気配
無事、午前中に王都入りした。
最初にマイルズ商会で手配した宿屋に入る。
「お待ちしておりました。」
商会の支部長が挨拶してくる。
その後ろには先行して王都入りしている面々が並んでいる。
その中にボア及び先輩がいた。
「まずはお部屋にご案内します。」
王女やサーシャは貴賓室に案内された。
「昼食前にお風呂を用意しました。」
侍女が王女に湯あみを薦めている。
他人事の顔をしていたサーシャも風呂場に連れ込まれた。
「えっ私も?」
慌てるサーシャに侍女は遠慮くなく着ている洋服を脱がしていく。
「貴方も王国の顔ですからしっかり正装して貰います。」
1時間ほどして昼食場所に集まった。
「あれ?サーシャ良い匂い。」
ポリーがサーシャの側でクンクンと鼻を鳴らす。
「侍女さんにしっかり香油を塗られた・・・」
サーシャは力なく椅子に座る。
エリスはそんなサーシャを気の毒そうに見ている。
アリサは支部長が渡した報告書から顔を上げた。
「想定通り、目新しい情報は無し。」
食堂にラフな簡易ドレスの王女がやってきた。
皆立ち上がって敬礼、カーティシーをする。
王城に入場するための馬車をチェックしていた団長も戻ってきて昼食が始まった。
「馬車は問題ありません。積み荷の移動も完了しました。」
「そう。」
スケジュールを確認して簡単な食事を終え、王女は正装をするために部屋に戻った。
「あら?サーシャは着替えないの?」
馬車や馬の居る中庭に向かうサーシャにアリサが声を掛けた。
「確認してから着替える。」
「そう。」
「?アリサ達も確認するの?」
アリサの他にここに残るクレスやポリーも一緒についてきた。
「支部長の手配は信用しているけどこういうのは自分で確認しないとね。」
ここからは王家の紋章を付けた派手な馬車での移動になる。
サーシャや団長は馬だが馬も正装、飾り立てる。
「凄い・・・派手・・・」
ポリーの感想に皆頷いた。
「冬は色彩が乏しいからこういうのを派手にするって聞いていたけど想像以上ね。」
今まで乗ってきた馬車は質実剛健、無骨で頑丈、乗り心地重視だっただけに差が激しい。
「これ、今回用に用意したんですか?」
クレスの問いにアリサが答える。
「アーサー殿下が公式行事に参加する時に使ったものよ。
商会の倉庫で預かっていたの。」
へえーと言いつつしっかりチェックするクレスとポリー。
「この宿も中庭に厩舎があって、馬車を外に預けずに済むから選んでいるわ。」
「細工防止ですか。」
「ええ。」
この宿、経営者は商会関係者。
アーサーがこちらに留学していた時の宿泊場所でもある。
働く従業員の大半は故郷から連れてきた人だが、一部ははケルヌ人もいる。
出身を問わず従業員達の身元はしっかりチェックされている。
馬車と馬の飾りをチェックしていたサーシャは幾つか手にして戻ってくる。
「これ交換できる?」
アリサの後ろに控えていた支部長が前に出てそれらを受け取った。
「何かご不満でも?」
「装飾から変な臭いがする。」
えっと言ってポリーがそれに鼻を近づけた。
「ホントだ。これ魔物除けじゃくて魔物寄せの臭いがする。」
近くにいた騎士他が顔色を変える。
「直ぐに交換部品を用意します。」
急に中庭が慌ただしくなった。
閲覧、有難うございます。
面白いと思ったら評価をお願いします。
ケルヌでは身分が高ければ高いほど派手な馬車を使います。
それに合わせて用意した馬車なのでアーサーがこちらに居た時も殆ど使ってません・・・




