09_一つ目の芝居
ゲームと現実は違うということに対する解釈の一つ。
「王女殿下としてはこれから向かうケルヌの話が聞きたいと思いますが・・・」
王女は頷いた。
「まずは私達が観た芝居と言うものがどういうものか分かる様に一つ目の舞台から話をしたいと思います。」
「そうね。イーダもかなり変なというか理解が難しい芝居だと言っていたからそこからの方が良いわね。」
問題ないかとクレスやポリーの顔を見る。
2人が頷いたのを確認してエリスが口を開く。
「この芝居は3人とも見ているので私だけでなくサーシャやアリサからも説明します。
申し訳ないけれど、質問は話の区切りがつくまで後にしてください。」
「えっと・・・その芝居の主人公はサーシャさん、エリスさん、アリサさんの3人?」
「そこに私達が出てくる。ただし、王女殿下亡くなっているから出てこない。」
「悪役として皇国に戻った王女殿下の姉君が出てくる・・・」
「トレイシーは理解できるの?」
「前にエリスから聞いているからね。ただ今回初めて聞いた話も多いけど。」
王女はあまりの情報量にため息を吐いている。
「はあ・・・これを信じろと?」
「だからお芝居だと言っているんです。」
「貴方達の話だと卒業まで後1年半は続きがあるということね。」
「はい。同じあるいは似たようなことは起こるでしょうけど、既に多くの出来事が変わっているので起こらない方が多いでしょう。」
「そうね。弟は別の子と婚約したし。あれは居なくなったし。」
「えっと、質問して良いか?」
クレスが手を上げた。
「お芝居についてはそういうもんだと思っておく。
俺が気になるのは春の一件だ。」
「私もそこが気になる。」
「芝居の中じゃ第三王女の自作自演の襲撃事件、俺達が出会ったのは別の国が仕掛けた陰謀。
何か関係があるのか?」
3人は一様に首を横に振った。
「分からないわ。
芝居では自作自演と語れていて起こる筈が無いと思っていたことが形を変えて起こっているの。
それがなぜなのか私達にも分からない。」
「成程の。」
王女は納得したように頷いた。
「マリア殿下?」
ポリーの問いに王女は首を横に振って、エリスを見た。
「まずは一つ目の舞台の話を聞いてくれと言った意味がよう理解できたわ。
要するに芝居で観た内容がそっくりそのまま起こる訳でないということか。」
「はい。私達が知っているのはあくまでもお芝居です。」
「芝居だ芝居だと繰り返すのはそういうことか。」
「どういう事でしょう?」
ポリーの顔には疑問符が浮かんでいる。
「現実に起こった出来事や本の内容を芝居にする時、そっくりそのまま演じられる訳ではない。
芝居を面白くするために脚本家や演者の創作が混じる。
そういうものだ。」
あっとポリーとクレスが声を上げた。
「そして観客が観るのは舞台の上、楽屋について知ることは無い。」
エリス達3人は頷いた。
「先程の春の事件だがお芝居では自作自演と語られたが実際はどうであったか3人は知らぬ知りようが無いということ。」
「舞台の中では自作自演として描かれたということですか。」
「そういうことね。
脚本の元になった出来事をどう料理するかは脚本家の腕前。
脚本と実際は異なるから参考にするのは良いけど信じるな。」
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