08_芝居
「さて。」
ここで王女が手を打った。
それに応えて侍女が何かの魔道具を動かしている。
「えっ、音が?」
魔道具の種類が分かったエリスとトレイシーが顔色を変え、サーシャは周囲の異常に気付いて声を上げる。
「・・・遮音の魔道具・・・」
「ええ、バルベース家の新作よ。貴方のお姉さんの作品。」
「え?そんなの出来るの?どうやって?」
サーシャの言葉に王女は答える。
「理屈については二人に聞いて。
さてと、イーダからお芝居を観たという話は聞いたわ。
内容については教えて貰えなかったけど、貴方達は本来知る筈の無いことを知ってる。」
そう言ってサーシャ、エリス、アリサの顔を順に見ていく。
トレイシーがエリスを庇う様に動いた。
「そんなに警戒しないで。
咎めるつもりは無いから。
イーダは公爵家の名に誓ったけれど。
私も王家の名に誓っていい。」
そう言って、今度は団長とクレス、ポリーに目を向ける。
「貴方達。ここで聞いた内容は他で漏らさない。
騎士の名に懸けて誓える?誓えないなら席を外して貰うわ。」
クレスとポリーは頷いた。
「分かりました。」
団長は首を傾げている。
「陛下に対してもですか。」
「ええ。」
「そういう話ならば私は席を外しましょう。」
そう言って、団長は侍女を連れて部屋の外に出ていく。
「エリス、貴方は大樹の石板を知っていますね。」
エリスは頷いた。
「それも芝居?サーシャは知らなかったようだけど。」
エリスは覚悟を決めた様に答える。
「はい、知っているのは私だけ。アリサも知りません。」
「エリス!」
トレイシーが席から立ちあがった。
エリスはそれを見て首を横に振る。
「大樹の石板が何なのか分かっていることが知られた以上、ある程度話さないと・・・」
エリスは王女の方を見る。
「私が知っているのはあくまでも芝居の内容。
芝居で語られなかったことは知りません。
そしてお芝居の出来事の幾つかが大きく変わっています。
なので私が知っている出来事が起こる保証はありません。
それでも聞きますか。」
王女、クレス、ポリーは頷いた。
「王家の名に懸けて誓いましょう。」
「私達も騎士の名に懸けて。」
それを聞いてエリスはゆっくりと話し始めた。
「まずお芝居の話から。
私達が観たお芝居は大きく3つあります。
一つ目は私達の故郷を舞台にしたもの。
これはサーシャもアリサも観ています。」
ここで全員の顔を見る。
「私達も出てくるの?」
「はいであり、いいえでもある。
その話の詳しいことは今は後回しにします。」
「分かったわ。」
「二つ目はこれから向かうケルヌを舞台にしたもの。
これは私とアリサは観ているけれどサーシャは観ていません。」
えっと3人の視線はサーシャに向かった。
「三つ目は霊峰の向こう側を舞台にしたもの。
これを観たのは私だけです。アリサも知りません。」
この言葉に王女は頷いた。
「成程、大樹の石板は三つ目に出てくるからサーシャもアリサも知らないという訳ね。」
「はい。」
「舞台の話はトレイシーには少し話しています。
両親や他の家族は知りません。
同じ舞台を観ているサーシャやアリサには色々と話をしていますが。」
「舞台について知っているのは貴方達3人の他はトレイシーとイーダだけということね。」
「はい。イーダ様に話したのは一つ目の舞台の話だけです。」
「そう。」
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~~~~遮音の魔道具~~~~
ノイズキャンセラ、正反対の波形をぶつけて音を消す魔道具
理論の元ネタはエリス。
風魔法とかを使わない方法なので魔力の消費は殆どない。




