29_何故前提条件が壊れたか
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3人は顔を見合わせた。
今度はエリスが話し出す。
「お芝居の設定について一番詳しいのは私です。
なので私達が認識している範囲で説明します。」
・第一王子は10歳の誕生パーティの後とイーダと婚約し、立太子している。
・第三王女は健在で色々やらかした。
・第四王女は回想シーンで亡くなったことが語られる。
時期は多分第一王子は10歳の誕生パーティの直後
・第二王子は隣国に留学していて戻ってきていない。
・王妃と側妃は仲がギクシャクしている。
・先日の王女襲撃事件は発生しているが襲われたのは第三王女で実はやらせだった。
・学園の教師陣は今の教師が殆どおらず若い者ばかりで大半は第三王女の関係者
「細かく上げると他にも色々ありますがお芝居と明らかに設定が違うのはこれ位でしょうか。
他はまあ私達の行動が原因なので・・・」
例えばヒロインと攻略対象の出会いイベントが起こっていないとか、アリサがボアと親しくないとかエリスとトレイシーが入学前に婚約しているとか・・・
イーダはエリスの話を聞いて目を閉じて暫く考え込んでいる。
「まず、あれが追放された件だけど、エリスさんとアリサさんがその理由よ。」
エリスとアリサは顔を見合わせ、イーダに向き直った。
「私達、何かしました?」
「まずエリスさん。
ファティマ家が開発した魔力波による親子鑑定法。
発端は貴方の発言だと聞いているわ。」
それはエリスが血液型と同様に魔力波が親子でよく似ることに気が付いたことから始まった。
それのベースは遺伝子、子供は親から半分ずつ遺伝子を受け継ぐ。
個々人で違う魔力波は親子では必ず良く似た部分があることに気が付いた。
兄弟姉妹はよく似るが全く似ていないことも少なくない。
ただし、親子の場合、必ずどこかに非常によく似たパターンが現れる。
「次にアリサさん。
貴方、伯爵家のお家騒動で乗っ取りを防いだことがありましたね。」
アリサは頷いた。
事の起こりはとある伯爵家の夫人が亡くなり、入り婿の伯爵が愛人親子を家に連れてきたことだ。
愛人の子は伯爵によく似ていて、正妻である夫人の子は夫人似で伯爵に似ていない。
それで夫人の子が迫害されるようになり、夫人の親友であった別の伯爵夫人がマイルズ家に相談してきた。
アリサは魔力波による親子鑑定法での親子関係を薦め、結果は以下の通り。
・夫人の子:親子
確認元:娘、伯爵、夫人の祖父母(先代伯爵夫妻)、夫人の過去の測定結果
・愛人の子:他人
確認元:娘、伯爵、愛人
夫人の子は伯爵や夫人、先代伯爵夫妻とよく似た部分を多く持ち、愛人の子は伯爵だけでなく愛人とも全く似ていなかった。
愛人は逮捕さえ、取り調べを受けた。
そこで昔泣きわめく赤子に腹を立てて殺してしまい、自分と伯爵によく似た子供を攫って我が子としていたことを白状した。
結果、入り婿の伯爵は追い出されて先代が復帰、愛人は刑罰を受け、愛人の子は本来の親の元に戻ることになる。
この事件は王家の耳に入った。
この話を知った王家は血統に疑問がある第三王女の親子鑑定を実施する。
結果は王と王妃どちらにも全く似たところが無いことが判明。
死んだ乳母の夫と似ていたので取り換え事件が起こったと判断した。
そして離宮で暮らしていた第三王女の周囲から事件の関係者を追放、
犯罪者として皇国に送り返している。
第三王女?自身は被害者ではあるものの王家の血は引いていないことがはっきりしたので修道院に出家させるべく調整をしていた。
そこで起こった公爵令嬢呪殺未遂事件。
その責任を取らされて皇国に送り返された訳である。
その話を聞いてエリスは首を捻っている。
「何か疑問でも?」
イーダの言葉に考えをまとめる様に言葉を紡ぐ。
「芝居で王女が呪ったのはマリア殿下だと思います。
その結果、王妃様と側妃様は不仲でした。
王女から見て同じ王族、それも自分は王妃の娘の筈なのに裏に追いやられ、側妃の娘であるマリア殿下は表舞台で持て囃される。
マリア殿下を妬んだ芝居の方は理解できるのですが何故イーダ様を呪う様なことをしたのでしょう。」
その言葉にアリサとイーダは思い当たることがあったようだ。
アリサが口を開いた。
「エリスやサーシャは王都とあまり付き合いが無かったから知らないと思うけど・・・
誕生パーティーの少し前まで第三王女の境遇に同情する貴族が多かったの。」
「全く、あれの実情を知らないから仕方無いんだけど。」
「それがある時からぱったり逆の方向で噂されるようになった。」
「あれに同情するように情報操作していた者達が追放されたからね。」
「潮目が変わったことに気が付いた王女は逃げ出そうとした。」
「それで私の兄のところに婚約話を持ち掛け断られた。
私とピエール殿下の婚約話が進んでいるんだもの。当たり前の結果よ。」
「それでイーダ様を亡き者にしようとしたと・・・」
「ええ、そういう内容の証言をしているわ。」
今度はサーシャが質問してきた。
「王女が追放された経緯は理解しました。
王女が追放されて問題が無くなったのに何故イーダ様とピエール殿下は婚約しなかったのですか?」
「私が熱で倒れた後、領地で療養していたという話は知っているわね。」
「はい。」
「あの一件であれとあれに関わる人間を追放にするのにそれなりに時間が掛かったわ。
実際あれの関係者でも無関係なものが多かったからね。」
「その間、領地で過ごしていた訳だけどそっちの方が私にとって過ごしやすかったの。」
「王妃様は善い方で良くしてくれていたわ。
私も尊敬していたし、今も尊敬している。」
「だけどね。領地で過ごすようになって、領地の問題を皆と協力して立ち向かっている内に王族になろうと言う気が無くなってしまったの。」
「ピエール殿下のことは今も敬意と親愛の情は持っているわ。
でも共に生きようとは思えなくなった。」
「今の婚約者様と知り合ったからですか?」
イーダは頷いた。
「領地であの方と知り合って語り合って時々喧嘩して・・・一緒になりたいと思うようになった。」
「その話を両親や家族にして殿下や王妃様にも断って婚約を結んだ。」
「王妃様は寂しそうにしていたわ。
でも二人共私の判断を尊重するって言って下さった。
マリア殿下には姉妹となれると思ったのにって文句を言われたけどね。」
閲覧、有難うございます。
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エリスが親子鑑定の元の出来事に気が付いたのは7歳、前世を思い出す前です。
エリスが色々違和感を口にしてそれを切っ掛けにファティマ家の家族は色々な研究を進めました。
近い内に多分サーシャの実家が陞爵するタイミングでファティマ家も伯爵に陞爵する予定




