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16_帰省イベント

「帰省イベント」

普通ルートで騎士科所属時、1年目の夏のみ発生。

初級ヒーローとライバルの好感度が一定以上高い場合のみ発生。

初級ヒーローの好感度が上がりすぎると発生しないので2周目では発生させるのが難しいイベントである。

勝ち気や内気ルートから始めてしまうとステータスが上がっている(初級ヒーローの好感度が上がりやすい)ので発生することが無く先に進んでしまいイベントスチルが埋まらないというファン泣かせのイベントの一つ。


その日、サーシャはクレスとポリーの3人で馬車で故郷に向かっている。

学園とサーシャの故郷は馬車を使えば3日程。

乗合馬車を使うとルートや本数の問題で大体1週間は掛かるので期間の短い夏の帰省は諦めていた。

夏休みが始まって三日目、アルバイト帰りにポリーに声を掛けられた。

「サーシャさんは帰省しないの?」

サーシャとポリーは同じ寮とは言え、学科も身分も違う。

本来なら仲が良くなる理由が無いのだが、この二人、意外と行動時間が一緒になることが多かった。

これはサーシャのクラスメートは高位貴族向けの寮にいて寮内でボッチだったのをポリーが心配して気に掛けてくれたという面が大きい。

そうやって会話をする機会が増え、騎士科の演習についてポリーから相談を受けるようになる。

王都育ちで野営の経験が殆どないポリーに対し、サーシャは田舎育ちで畑を守るため、害獣退治で野山に籠る等経験が豊富である。

色々相談にのっている内にすっかり仲良くなっていた。


そして最初のセリフに戻る。

(えっ!帰省イベント発生?騎士科じゃないのに?)

焦るサーシャを余所にイベントはどんどん進んでいく。

都会育ちのクレスとポリーは夏休みの課題として地方遠征(田舎に行って実地訓練してこい!)をする必要があった。

近場のキャンプ地に行くでも課題は果たせるがどうせなら遠くに行ってみたい。

帰省する人に同行すれば迷子の心配も無いし、向こうでの暮らし(訓練)にも相談に乗ってもらえるだろう。

そんなこんなを実家に相談していたら帰省するものはさっさと帰省してしまい、残っているのは同じ王都出身者か課題があって帰らないものだけ。

困っていた二人の前に救いの(サーシャ)が現れたのだ。

結果、サーシャの言う帰省イベントが始まってしまったのだった。


ゲームでは馬に乗っての帰省だったが今のサーシャは淑女科。

2年時の特待クラスへの編入に向け大量の荷物(覚えておけと言って渡された教科書・参考書・教材)があったので馬車を借りての道行きとなった。

馬より時間は掛かるが、鍋釜食器に寝具etcを3人分馬車で運べるようになったので旅としては快適になっただろう。

帰省だが経験不足の二人に代わってサーシャが行程のルート選択、段取り、買出しなどの旅支度を取り仕切った。

※課題なので実作業はクレスとポリーがやった。

「このペースなら明日のお昼には家に着くわ。」

サーシャは簡易竈の上の鍋からスープを盛って地図を見ているポリーに渡した。

「有難う、えっと今はここら辺にいるんだよね?」

ポリーの指した場所を見てサーシャは頷いた。

「で、こういうルートで村に向かうんだよね。」

と地図上のルートをなぞる。

「そうそうやっと分かってきたね。」

旅の準備を始めてサーシャは悟った。

この子達、地図が読めない。

正確には地図から使うべきルートが読み取れない。

最初に出てきたのは大きな街道沿いで大回りするルート

確実だが時間が掛かりすぎる。

そして演習課題の野営訓練にはならない。

次に示されたのが山越え、確かに道はあるが馬車は無理。馬も厳しい。

(義経なら通れるかもしれないが・・・)

その次は森を突っ切るルート

間違ってはいないがどうやって馬車が通れる道を探すのか?

飲み水の確保は?

二人に任せたらまともに故郷に帰れないと判断して行軍指揮(軍ではないが)はサーシャがすることになった。

「本当に有難う、サーシャが居なかったら遭難していたわ。」

「本当に、有難う。あっこのスープ美味しい。」

「どういたしまして」

(ゲームじゃわちゃわちゃして楽しそうだったけど・・・きっと色々あったんだろうなあ。)

選択肢によっては迷子イベントが発生してヒーローの格好良い姿も拝めたが現実に森で迷子になったら命にかかわる。

と言うかこのメンバーで迷子イベントが起こったら遭難するのはヒロイン、ライバルではなくヒーロー。

格好良いどころでは無いだろう。

※ライバルはヒロインの側にいて単独行動しない。


野営も二日目となれば二人もかなり慣れる。

「クレス、最初の見張りお願いね。」

ポリーはそう言ってサーシャと二人馬車に入った。

馬車の奥に積まれた教科書を見て呆れた表情になる。

「サーシャ、本当にこれ休み中に全部読むの?」

「うん、読んで期の始めの試験に合格しないとまともにアルバイトする時間が取れないから。」

「バルバ君を見て特待クラスになるって大変なんだなとは思ったけど・・・」

そう言って積まれた教科書をペラペラと捲る。

「ね、サーシャが使ってない時、私も読んでいい?予習しておきたいの。」

教科書は騎士科、文官科、淑女科の3年分が置いてある。

「良いよ。帰りはお世話になった子爵様のところに置いていくから向こうに居る間だけだけど。」

「これで全部暗記するの?」

「うん。」

ポリーの顔にはこいつ化け物かと書いてある。

そんな顔を見ながら終業式の後、担任に呼び出された時のことを思い出した。


「サーシャさん、これが特待クラスの履修要領です。」

ちょっとした小冊子を渡された。

それを受け取りながら隣のテーブルに積まれた大量の教科書を横目に見る。

「有難うございます。あのそれって・・・」

「一般クラスで学ぶ3年分の教科書です。」

「あの・・・」

「サーシャさんは既に編入試験の殆どを合格しています。

期の始めの試験で残りを2つを合格すれば2年からは特待クラスになるでしょう。」

「はい、その積りです。・・・って他の試験は受けなくて良いんですか?」

「ええ、落ちた分だけ再試験です。」

サーシャはホッとした。

編入試験の出題範囲は幅広く座学実技を含めて騎士科、文官科、淑女科の履修内容が漫勉なく出てきた。

その内容は1年で習う分を越えて2年で習う範囲から多く出題されている。

あれをもう一回受けろと言われたら泣きたくなる。

「多くの方が誤解していますが学園は特待クラスに所属できる生徒を増やしたいと思っています。」

あの試験で!?編入させる気無いだろうと思ったのが顔に出ていたのだろう。

「特待クラスの者は1年の内に一般クラス3年分の大半を履修します。

そうで無いと学園が特待クラスで学んで欲しいと言う内容に届かないからです。」

(そう言えば・・・特待クラス合格ラインのステータスって一般クラスの卒業時のステータスと同じ位だった)「特待クラスの卒業生に求められるレベルは一般クラスの比でありません。

それこそ王族や公爵、侯爵等の最上級貴族が必要とするものです。」

「全員が全員その全てを学ぶ訳ではありませんがそのレベルの知識を学び実践する場として特待クラスは存在します。」

貴方はその一員になることを目指しているのですよと担任は言う。

「ここに用意したのは特待クラスで1年の内に最低限履修しておくべき内容の物だけです。

これを履修していないと2年で特待クラスの一員となるのは厳しいでしょう。」

「・・・」

「特待クラスを目指すと言うことはこういう事です。

ここに用意した内容は出来るだけ期の始めの試験で合格するようにしてください。」

期待していますよと担任は言った。

サーシャは乾いた笑いしか出来なかった。

閲覧、有難うございます。


この帰省イベントできっとサーシャの作戦指揮スキルが上がったことでしょう。


特待クラスは王子や王妃教育を受けるようなもの・・・

2年以降だと卒業までに学園の求めるレベルに達しないので編入試験は1年の時にしか受けることは出来ません・・・

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