11_起こらないイベント
「イベントが起こらない・・・失敗した・・・」
サーシャは寮で頭を抱えている。
淑女科は当たり前だが女子だけ、攻略対象はいない。
内気ルートのヒロインが淑女科でイベントを起こせるのは初級ヒーローが幼馴染だからだ。
残念ながら普通ルートで男爵令嬢のサーシャには幼馴染どころか知り合いさえいない。
現在サーシャの取れる手段は3つ。
・一つ、淑女科や他の生徒と仲良くなって騎士科や文官科の生徒を紹介してもらう。
・二つ、諦めてひたすらステータスを上げて特待クラスに編入する。
・三つ、イベントの発生場所をうろついて会話の機会を掴む。
一つ目はクラスメートは伯爵家以上で皆高位貴族向けの寮にいる。
一般寮にいるサーシャには仲良くなる手段が少ない。
そして女子寮において騎士科のポリーと淑女科では接点がなく仲良くなることが難しい。
※そもそも一般寮に全学年を通じて淑女科の生徒はいない。
せめて文官科にしておけばボアと仲良くなる切っ掛けはあっただろうか。
二つ目は淑女科の授業だけでなく教養の上がりやすいアルバイトをしている。
こちらは何となくではあるが成果が出ているようだ。
アルバイトのお陰で他の淑女科の生徒と会話する機会も増えた。
三つ目、これが一番問題だった。
自分で言うのもなんだがサーシャのステータスは高い。
会って、会話さえ出来れば興味を持ってもらうことが出来るだろう。
が、その機会が無い。
王太子(サーシャは彼が第一王子であって王太子ではないことに気が付いていない)や中級ヒーローが居るのは特待クラスでそもそも学舎が違う。
特待クラスが専用の寮に入るのもそれが理由だった。
日常において特待クラスと一般クラスは行動する場所が異なるのだ。
その為、中級ヒーローの攻略はステータスを上げて特待クラスになってからでないと進まない。
騎士科の中級ヒーローは騎士科所属だが騎士団長の息子で王太子の側近候補と言うこともあってそこにあまりいないし、家族や恋人でない淑女科の生徒は騎士科の行動圏に近付くと悪い意味で目立つ。
王太子は生徒会という役目柄時々一般クラスのあるエリアにやってくる。
が・・・彼らがやってくると高位貴族の令嬢に囲まれてサーシャは近付くことが出来ない。
ここにエリスやアリサが居れば事情を聞けただろうが二人共特待クラスなので接点が無かった・
「あーあ。他は諦めてボアと会話出来ないかなあ・・・」
ボアが気にする教養ステータスが一番低い以上、まずはステータスを上げる以外、やることが無かった。
学園入学から一か月、サーシャは色々な意味で目立っていた。
淑女にして至らぬ点が多く成績は良くないが真面目に熱心に学んでいるから教師の評判は良い。
淑女にあるまじきアルバイトなどしているが理由を聞けば男爵家で淑女科で必要な様々なものを手に入れるには働く必要があると知れば納得もする。
アルバイト先で知りえた様々な知識は淑女科で必要なものも多く、彼女と親しくする生徒は増えている。
総じて悪い評判は少ないのだが奇行が目立つことも知られていた。
エリスやアリサが知れば、イベント狙いと分かるのだがそれを知らない他から見れば何でそんなことを?と首を傾げてしまう。
話せば知識も豊富で楽しい相手なのだが知り合いとみられるのは躊躇するそんな存在にサーシャはなっていた。
婚約者がいる訳でない低位貴族が淑女科に居る時点で悪目立ちしている。
何故と聞いて特待クラスに行きたいからという理由を知れば納得できない訳ではない。
が、何故そこまでするかという気持ちの方が強い。
地方の男爵家からすればここに通うだけの力があるだけ凄いことなのだから。
閲覧、有難うございます。




