09_様子のおかしい入学式
「わー、オープニングと同じだ!」
サーシャは校門を前に歓声を上げる。
この学園は全寮制、王族だろうと高位貴族だろうと寮に入る。
そして寮は男女別、さらに3種類に分かれる。
一つは一般寮、この寮が一番大きく平民、下級貴族が暮らす。
サーシャもここに入った。
次は高位貴族向け、ここに入るのは原則伯爵以降の高位貴族で、従者を連れて入ることが出来る。
平民でも王家の御用達等、商会運営などで従者を必要とする場合は申請に通れば入ることが出来る。
最後は特待クラス向け、ここは各学年の特待クラス所属しか入れない。
王族などはここで暮らす。
逆に特待クラスに所属すると問答無用でここに入れられる。
寮費が追加で掛かるのは高位貴族向けのみで付けたオプション(部屋の広さや設備、同行する従者の人数)で値段が変わる。
サーシャは利用したことが無いのでどうなっているかは知らない。
高位貴族向けの寮はゲームのイベントでチョロッと見たことがある程度である。(入ったことは無い)
サーシャはきょろきょろと周り見ながら校舎に入った。
「寮はゲーム画面で見たとおりだったけど・・・
エリスとアリサは居なかったな。ポリーは居たのに何でだろう。」
一般寮は広い、単に時間がずれて会わなかっただけかと思って講堂に向かう。
事前にクラス分けは講堂入場時に渡す資料に書いてあると知らされていた。
講堂前の淑女科の受付前に行って名前を名乗り、証明書を見せる。
「サーシャ・ネロさんですね。淑女科2組です。座る場所は・・・」
講堂に入ると騎士科の席でポリーとクレスが一緒に居るのが見えた。
近くにスティーブンの姿もある。
「騎士科は問題ない・・・」
文官科の前を移動する。
「文官科は・・・セツは居る、ボアも居る・・・エリスとトレイシーは居ない・・・何で。」
淑女科の席にやってきた。
「やっぱり、アリサは居ない・・・どういうこと?」
サーシャは周囲をきょろきょろ見回し講堂内をうろうろしていたところ、係員に席に付くように言われた。
入学式の開始時間は近付いてきている。
アリサ、エリス、トレイシーの姿を見つけることは出来なかった。
入学式の前日、特待クラスの寮にやってきたエリスはラウンジを見て固まった。
ナウシカアが居るのは分かるけど何でアリサが居るの?
アリサの方も気が付いた。
一瞬驚いたものの、にこやかに声を掛けてくる。
「初めまして、私はアリサ・マイルズ、お名前を伺っても?」
エリスは慌てて礼をした。
「初めましてマイルズ嬢、エリス・ファティマと申します。」
隣に居たナウシカアも名乗る。
「初めまして、ファティマ嬢、私はナウシカア・ジ・ドロテアですわ。」
「よろしかったら一緒にお茶でも如何」
と言われてエリスは二人の座るテーブルに腰を下ろした。
特待クラスは男子率が高く女子は少ない。
また、同世代で特待クラスに来そうな子は会ったことは無くても名前位は知っている。
そういう意味でエリスがナウシカアやアリサのことを知っていてもおかしくはなく、二人もエリスのことを知っていた。
その席には他の特待クラスの女子が集まって自己紹介を始めた。
暫く会話してお互い名前で呼び合う許可を貰う。
どうやら今年の女子は6人らしい。
特待クラスは1学年で一クラス、30人なので女子は2割といったところか。
サーシャは居ないので特待クラスにはなれなかったのだろう。
子爵家出身はエリスとアリサの二人のみ、残りは伯爵家1人、侯爵家3人、公爵家、辺境伯家はいない。
会話の終わり、侯爵家の娘が爆弾を落とした。
「そうそう、新入生代表は今年も王族ですわ。」
「えっ?」
エリスの様子にナウシカアが口を開いた。
「第二王子のアーサー様ですわ。」
「あの、外国に留学していらっしゃいませんでした?」
ああと残りの者が納得したように頷いた。
「エリス様は地方の子爵家の方でしたね。先日戻って来られたのですよ。」
「アーサー様が留学していたことを知っているなんて、流石学問で知られるファティマ家の方ですね。」
食事の時間になり、食堂に向かう際、アリサは言った。
「エリス様。よろしかった食後に部屋に来ませんか。」
「あら」と言って同席したそうなナウシカアに同じ子爵家ですからアリサは笑って断った。
エリスはアリサが何を話そうとしているのか分かった気がした。
閲覧、有難うございます。
名前で呼ぶ許可を貰っていない相手の名前を呼ぶことはマナー違反。
サーシャは独り言なのでぎりぎりセーフ
呼び掛けたらアウトです。
アリサとナウシカアは既に出会っていて友達です。
第二王子の件ですがアーサーが外国に留学していることは王都にいるならともかく、地方では知られていません。
それを知っているエリスは傍から見るとかなり凄い子です。




