2 守備練習
一方、スターレイカーズの練習用グラウンドでは、真崎のノックによる瑞香の外野守備練習が行われていた。
瑞香は昨日の練習による筋肉痛と疲労で動きが鈍かった。
「畜生っ!」
二時間に渡る真崎の外野ノックで前後左右に振り回され、瑞香は完全に足にきていた。簡単なフライでも追いつけず、落としてしまう。
「少し休んだら?」
外野で瑞香の指導にあたっていた楓が言った。
「うるせぇ、俺はひと月で結果出さなきゃなんねえんだ」
瑞香は息を弾ませながら、言った。
「でも、無理しすぎると、怪我するし、筋肉も痛めるよ」
「俺の体だ。俺の勝手だろ。アドバイスする気がないなら、出ていけ!」
瑞香は疲れ切ってはいても、集中力は衰えず、真剣そのものだった。
この人、すごい。命、賭けてる。
楓は瑞香の熱気に圧倒された。
「わかった。こうなったら、とことんやろう」
熱血少女・楓に瑞香の熱意が火をつけた。
あの二人、タイプは違うけど、気が合いそうね。
真崎は打席で遠巻きに二人の様子を温かい目で見ていた。
「真崎さん、お願い」
楓が叫んだ。
「いくわ」
真崎が左手のボールを軽く放り、バットでそのボールを外野へ飛ばした。
「後ろ!」
楓が叫んだ。
瑞香がすぐにバックして、打球を追う。
瑞香に素早い打球の判断力を身につけさせるために、楓がノックの打球に対し、一球一球、打球の方向を瑞香に教えていた。
瑞香は間一髪、ジャンプして打球を捕球した。
「うまい、うまい」
楓が手を叩いた。
「次、いくわ」
続けて真崎がノックして、打球を外野へ飛ばした。
「今度は前。思いっきり前進」
瑞香は前に向かって走った。
しかし、打球が瑞香の目の前で落ちる。しかし、瑞香はバウンドする打球をグラブですくい上げた。
「ナイス、瑞香ちゃん」
楓が拍手した。
「え?」
瑞香は驚いて楓を見た。
「外野手はただ捕ればいいってものじゃないわ。例え捕れなくても、後ろへそらしちゃ絶対駄目なの。内野手と違って、後ろには誰もいないんだから」
「あ、ああ……」
それから、三時間あまり、楓と朋美の交代で瑞香の外野ノックが続いた。
捕れる捕れないは別にして、瑞香は打球の落ちる場所に対して最短距離で進めるようになっていた。
そして、ついに足が動かなくなり、瑞香はグラウンドに倒れ込んだ。
「畜生、足が動かねえ……」
瑞香はまだ動こうとしていた。
楓は瑞香の太股やスネの内側を揉んだ。
「パンパンに張ってるし、今日はこの辺で終わりにしよ。あたし的には今日は合格」
楓は瑞香をおぶった。
「真崎さん、帰るよぉ」
楓が手を振ると、打席の真崎はうなずき、ボールを片づけ始めた。




