3 釈放
それから数時間後、宮田は刑事と共に、東京のM警察署へ車で行った。
署内の待合室で宮田はしばらく待たされた後、矢崎刑事が一人の少女を連れて、待合室に現れた。
間違いない。俺の財布をひったくりから取り返してくれた娘だ。
宮田は茶髪で厚化粧の少女の顔を見て、すぐにわかった。
少女の方も宮田の顔を見て、すぐに自分が財布からカードを盗んだ相手だとわかったのか、宮田から視線を背けた。
「間違いない、彼女だ」
宮田は矢崎刑事に言った。
「あなたの言うとおり、ひったくり犯からあなたの持ち物を取り返したというのは事実のようですな。場所も時間もあなたの言葉と一致した」
「じゃあ、釈放だな」
「ええ。しかし、宮田さん、今回は目をつむりますが、今後は未成年にどんな理由であれ、カードを預けるようなことは慎んで下さいよ」
「ああ、気をつける」
「それから、ついでと言ってはなんですが、彼女を自宅まで送り届けてやって下さい」
「両親は迎えに来ないのか?」
「彼女の両親は来ません。母親は二年前に病死、父親は借金取りから逃げ回ってて、行方不明。アパートに姉弟五人で住んでますよ」
「わかった」
「それじゃあ、行っていいぞ」
刑事は瑞香に言った。「ただし、おまえのことはマークしてるからな。バカな真似はするなよ」
「ちっ」
瑞香は床に唾を吐いて、宮田の方へ歩いていった。




