1 戦力分析
翌日。
宮田はスター・レイカーズの球団事務所を訪れた。
オーナー室にはスーツを着た美登里がいた。
「昨日はどうも。まあ、そこに座って」
宮田はソファに座った。
「オーナーの時と選手の時とはさすがに雰囲気が違うな」
「当然ですわ」
「仁科、宮田さんにお茶をお持ちして」
「はい、ただいま」
秘書がオーナー室を静かに退室する。
「それで話とは?」
美登里はソファに座ると、外国タバコに火をつけた。
「後、最低でも使える野手が二人、投手が三人は欲しいんだ」
「今頃、無茶言いますわね」
「ここまでオープン戦を戦って、選手を見てきたが、とても上位を狙える戦力じゃない」
「まぁ、二勝十三敗じゃ、当然ですわね。今後の監督の方針を聞きましょう」
「まず、捕手は最初は磯口との併用だが、最終的には皆岸を使っていく」
「あの新人?」
「実力は当然、磯口だが、のびしろがない。将来性を考えて、皆岸を使っていきたい」
「将来性?うちにそんな余裕はありませんわ」
「磯口を起用しても二勝だ。大して変わらんだろ」
「まあ、そうですわね」
「一塁手は明日、来日する外国人選手のリンダ・ナグルスキーを使う。典型的なプル・ヒッターで打力はありそうだが、ビデオで見た限り、百キロはありそうなあの体格では一塁しか守れないだろう」
「誰がそんな選手、獲ってきたの?」
「おたくのスカウトだよ」
「……」
「遊撃手は千鶴だ。君との仲はどうあれ、ブルー・ライナーズのレギュラーだった選手だ。フル・シーズン出場した経験もあるし、いざという時にはチームのリーダーになってくれる」
「仕方ないですわね」
「外野はレフトには外国人選手のレン・チャン。動きが軽そうだし、何よりボールの落下地点を瞬時に見分ける判断力が素晴らしい」
「それで?」
美登里はちらっと宮田を見た。
「三塁手は君だ。やはり外野も中心となる選手が欲しい。君なら甲子園の優勝経験もあるし、いざという時は助かる」
「ふふふ、誉めても何も出ませんわ」
「ライトは基本、沢木と他の選手との併用で行くが、もう一人欲しいな」
「セカンドは?」
「これが今、いい人材が見当たらないんだ。俺のツテでも当たらせているが、そっちでも探してくれ」
「投手は?」
「現在の先発は本井、河辺、細野、真崎の四人、中継ぎに牧野、白木、津野、望月、幸田。数だけはいるが、全員防御率、四点以上と、出来が悪い。沢木もまだ未知数だし、特に先発二人と抑えが欲しいな」
「無茶言いますわね」
「優勝させたかったら、何とか工面してくれ」
「そうはいいますけど、予算も限られていますの。監督の給料が高いから」
「俺の給料のことばかり言うな」
「まあ、なんとかしてみますわ」
美登里はため息をついて言った。




