精神操権
私は呆然としていた、只々上を見上げていた。何故ならそこには先端が霞んで見えないほど高い高層ビルが建っていたからだ。軽く100階以上はありそうだ、
「さ、そんなとこで止まってないで早くいきますよ。」
体が勝手に動く、この強制命令の女がいる限り私は抵抗する事が出来ない。今は強制命令の女に従うしかないだろう。 しかし、この高層ビルはかなり高い上に全体が濃いピンクで塗りつぶされている。かなり目立つ筈だ、しかもこの辺は私の寮からも見える場所。何故気付かなかったのか、
(もしかして見えていなかった?)
そんなことを考えている間にエレベーターホールにたどり着いていた。
「さて、ここからは一人で行って下さいね。137階の一番奥の部屋です。」
そう言うと、エレベーターに乗せられて上昇していった。私は途中で降りようと思ったが、指一本動かすことすら出来なかった。どうやら彼女から離れても、能力の効果は続く様だ。 最上階である137階まで行くのにはそう、時間はかからなかった。チンという最上階に到着した事を示す音と共にエレベーターの扉が開くと、その先はまるでフランスのベルサイユ宮殿の中を見ているように美しい装飾が施されていた。 一番奥の部屋へ進んで行くと突然、煩わしい声が直接頭の中に響いてきた。
(”はぁ~い初めましてぇ。今日、わざわざここまで来てくれたことを心から歓迎するわぁ~” !? 誰?
”ささ、早く入って頂戴。”)
私の質問を思いっ切り無視された様だった。私は慎重に入ろうとしたが、強制命令のせいでそんな事は許されず ズンズン入ってしまった。 扉を開けて中に入ると、そこには白みがかった銀髪の腰まで縦ロールを伸ばしている女子が紅茶を飲みながら木製の社長椅子に座っていた。
「さ、遠慮せずにその椅子に座りなさぁい。」
勝手に体が動きストンと腰を下ろす。だが今度は、強制的に操られた感じではなくスムーズに自然な感じで体が動いていた。
「さて、貴方は今、一体どんな心境なのかしらぁ。聞かせて頂戴。」
フン と、軽く笑みを浮かべると彼女はポケットから携帯を取り出し専用アプリさせ、画面をタップした。
すると、ピッ という電子音が鳴り 身体中の緊張感が抜けてゆく。 強制命令を解除したのだ、
「.....なっ、何が目的なんですか、」
「目的ぃ?そんなのアナタが目的に決まっているじゃなぁい。」
「私?何のために? 私なんてLEVEL3だし、特に価値なんか.....」
「ノンノン、自分の価値なんか自分で決めるものじゃないのよぉ。”人間の価値を決められるのは精神操権 を持ってる私だけなんだから。”」
「ッ、.....ふざけないで下さい」
「えぇ?なぁにぃ?」
「ふざけるなって言ってんのよ!! 人間を何だと思ってるの!? が、ガg魏ギg...g八ッ、あああああああああああああ!!!」
私は人生で初めて”全力”で能力を使った。周りにある重力、磁力、自転エネルギー、全てを一点に集める
それらは数メートルにもなる純白の翼を構成していった、自分でも何がどうなってるか分からない。
「覚醒める、LEVELなんてのは関係なー、」
「ピッ」
「んぐッ、」
豊生がたった一回親指で携帯の画面を押しただけで私の純白の翼は儚く砕け、意識が薄れ床に倒れこんだ。
「だ~か~らぁ、先に覚醒めてもらっちゃ困るんだってぇ。」
「.......。」
私は能力を使い過ぎたせいか言葉を発することが出来なかった。
「意識が遠のいてるとこ悪いんだけどぉ~、お願いがあるのよねぇ。」
「....お願...い..?」
「そうよ、今月末に開催される第33回超能力競合大会にでて欲しいんだけどぉ。高等クラスの」
超能力競合大会とは未来都市トーキョー03で毎年行われるLEVEL2からLEVEL5まで参加できる能力を競い合う恒例行事だ、大会には二つのクラスがありLEVEL2~LEVEL3までの低級クラスとLEVEL4~LEVEL5までの高等クラスがある。低級クラスは特に問題ないが問題は高等クラスだ、高等クラスにはLEVEL5が参戦するLEVEL5は人間とは思えないほど強力な能力を使う。命に係わる怪我をしてもおかしくないのだ。
「..ッ、嫌だと...言ったら?」
「改めてお願いするだけよぉ~ こうやって...ね!」
「ピッ」
「....ッ」
「お願いねぇ~。」
「..はい、分かりました...。」
想い道理に言葉を発する事が出来ない、恐らく精神操作を施されたのだろう。
「じゃ、さようならぁ~ ピッ 」
頭に重圧がのしかかり、そのまま意識を奪い去られた。




