天体観測
洞窟で生活し始めてから早4ヶ月。
ケイはもうこちらの言葉を話せるようになっていた。効果的だったのは、マオの直接頭に叩き込む学習法。妙に頭に残るのだ。
天候の悪い日が多く、洞窟内に閉じこもって一日中マオと話していた事も功を奏した。
バリアについても、暇に任せて変形させて遊んでいたので、かなり思い通りに変形できるようになっていた。
酸欠や結露の問題は、空気穴を開ける事で改善していた。
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ある時、財宝部屋で面白いものでも転がっていないかと漁っていた時に、天体望遠鏡を見つけた。
せっかく満天の星空が拝める場所にいるのだ。風の無い晴れた夜を待って、天体観測と洒落こんでみる事にした。
初日に星を見た小さな横穴の開口部。ここは斜め上に向けて口を開けているので、空がよく見えた。
天体望遠鏡を小脇に抱えて入り口まで登ってくると、相も変わらず素晴らしい星空が広がっていた。星々はキラキラを通り越してギラギラと輝いている。
瞬きの無い星を見つけて望遠鏡を向てみると、恒星とは違う円形と、それに連なるいくつかの衛星らしきものが見えた。
(木星っぽい星発見)
この星系にも惑星がいくつかあるようだ。
夢中になってあちこちに望遠鏡を向けていると、後ろから声がした。
『星を見ているのかい?』
「ああ、せっかくの星空だからね。僕のいた国ではこんな綺麗な星空は見えないんだ」
『ボクも一時期、星を見るのにハマっていた時期があったよ。何か面白いものは見つかったかい?』
マオが隣に腰掛ける。
「惑星をいくつか見つけたよ」
『惑星? ああ、迷い星の事か。全部で12個あるよ』
太陽系よりも惑星の数は多いらしい。
『長く観測してると分かるんだけど、迷い星は太陽の周りを回っているんだよ。そして、信じられないかもしれないけど、今いるこの星も迷い星なんだ。太陽がこの星の周りを回っているんじゃなくて、この星が太陽の周りを回っているんだ』
「知ってる。僕のいた世界では常識になってる」
『なんだつまらない』
「いや、自分で観測してその事に気付いたなら、すごいことだよ」
地動説に自分1人でたどり着くとか天才でしょ。長く一緒にいて分かったが、マオはそうとう地頭が良い。
『それなら、小さな光の点でしかない星々が、実は太陽と同じものだって事は?』
「知ってる」
『本当につまらないな』
「光の速度は有限で、星から光が届くのに何千年もかかるから、今見えている星は何千年も前の姿って事は知ってる?」
『・・・・なにそれ、くわしく』
そして未知に対する知識欲がすごい。
その日は遅くまで、星空を一緒に眺めながら天文学談義に花を咲かせた。




