スケルトンスレイヤー
墓地の入り口に「スケルトン出現中! 立入禁止!!」の看板が立っていた。
現場はここで間違いないようだ。
中を覗くと、見える範囲に1体、スケルトンがふらふら歩いていた。
魔獣は何度か見ているが、超常系のモンスターは初めて見る。
怖いというよりは・・・昼間に白骨標本が動いているようでひょうきんですらある。
「け、結構魔力強いですね・・・」
ノエルは初の実戦で、ガチガチに緊張しているように見える。
モンスターに詳しいと言っても所詮は机上の知識、実践とは違うようだ。
「ど、どうしましょうか、スケルトンは動き出すと結構速いって聞きますけど」
「とりあえず、僕が攻撃してみるよ。いざとなったらバリア張れるし」
「わかりました。エンチャントします」
ノエルがケイの持つ武器(木の棒)に聖属性を付属するホーリーエンチャントをかけた。
武器がぼんやりと光る。
これで武器が聖属性となり、アンデッド系に特攻のある聖剣(ただの木の棒)となったはずだ。
「それじゃ行ってくる」
「き、気を付けてください!」
スケルトンの背後に回り込み、そろりそろりと距離を詰める。
気付かれる様子はない。
さらに距離を詰め、聖剣(木の棒)の射程内にはいった。
スケルトンはまだ気付く様子は無く、ぼーっと立っている。
あれ、こんな経験、最近した事あったような・・・
思いっきりぶん殴る。
聖剣(木の棒)がスケルトンの後頭部に直撃した。
「ア”ア”ア”ア”ァァァァァ・・・・」
スケルトンが不気味な声を出して前につんのめった。
クルリと向きを変え、こちらに向き直る。
(来るか?)
しかし、スケルトンはぼーっとしたまま、回れ右をしてしまった。
(あれ?)
もう一度ぶん殴る。
同じことの繰り返しだった。
3回殴ったらただの骨となって崩れ落ち、後には灰色に濁った透明な石が落ちていた。
「・・・勝ったよ?」
「・・・ですね」
「え、スケルトンてすごい弱い?」
「いえ、弱い部類ではありますけど、そんなはずは・・・」
初戦は楽勝であったが、かなり拍子抜けだった。
墓地は林の中にあり、いくつかの区画に分けられていた。
見通しが悪い為、慎重に奥へ進んでいくと、スケルトンをもう一体発見した。
自然の中では白いスケルトンはとても目立つ。
「次は私がやってみます!」
「一応、気を付けてね」
ノエルがそろりとスケルトンの背後に回って杖を構える。
「ホーリーレイ!」
一筋の光がスケルトンの後頭部に直撃した。
「ア”ア”ア”ア”ァァァァァ・・・・」
スケルトンが不気味な声を出して前につんのめった。
クルリと向きを変える。
ガシャガシャガシャガシャガシャ!!
すごいスピードでノエルに向かって突進してきた。
「きゃーーーーーーーーー!!」
猫耳をたたんだノエルが涙目になりながら逃げてきた。
「ノエル、後ろに回って!」
叫ぶと同時にバリアを展開する
すると、スケルトンは標的をこちらに変え、バリアに向かって覆いかぶさってガシガシと噛みついてきた。
「うわ、怖! ノエル、魔法! 魔法撃って!」
「ホ、ホーリーレイ!」
ケイを巻き込むのを恐れたのか、ノエルの魔法はスケルトンを掠めるにとどめた。
魔法が掠っても、スケルトンは気にする様子は無く、ケイへの攻撃を続けている。
「ノエル、バリア張ってるから大丈夫! 直撃させて!」
「は、はい、ホーリーレイ!」
今度はスケルトンを直撃し、スケルトンはただの骨になって崩れ落ちた。
「・・・ちょっと作戦会議しようか」
「・・・ですね」
2人は一旦墓地の外へ出た。
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2人は「立入禁止!!」の野立て看板の前にしゃがみ込んで作戦会議中。
「もしかして、スケルトンって僕の事見えてないんじゃないか?」
「魔力しか見えてないのかもしれませんね。目がありませんし」
「バリアには積極的に向かって来たのは何故だろう」
「バリアの魔力密度すごいですから。魔力しか見えていないなら、強い方に引き寄せられるのかもしれません」
「・・・・・と、言う事は?」
「・・・・・」
2人は目を合わせ、悪い顔で笑った。
「「攻撃し放題」ですね」
そこからは一方的な虐殺だった。
スケルトンクラッシャー(ケイ命名:木の棒)で、背後から一方的にボコる。
2、3体集まっていると、仲間が攻撃された事には気付くようだが、考える脳みそがないので、見えない相手に成す術がない。
ケイ一人でも事足りたのだが、ノエルも攻撃したいとのことで、バリアでスケルトンほいほいした上で、攻撃してもらった。
「うわ、なんか二刀流の強そうなやつが混じってる! ノエル、倒して、倒して!」
「ホーリーレイ! ホーリーレイ! ・・・はぁ・・・はぁ。ちょっとバテました」
「なんか二刀流の奴だけやたら丈夫いね。無理せず、一休みしたら攻撃して」
これ、一旦バリア張って引き付けると、倒すまで解除できないのが欠点だな。
内側から攻撃できないし、解除して逃げるにしても、接触して掴まれたら離してはくれないだろう。
まぁ、パラレクスベアやピョンタの攻撃にもビクともしなかったバリアだ。時間をかけて、外からノエルに焼いてもらえば問題無い。
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3時間後、スケルトンだらけだった墓地は、骨の山が散乱するだけの静かな場所へと姿を変えていた。
ちなみに、二刀流の奴がいなければ1時間で終わっていた。
「ケイさん、スケルトンスレイヤーの称号貰ったらどうですか?」
「ノエルのエンチャントありきだし、なんかすごい弱そうなので辞退します」
「あれ? 魔石、11個ありますね」
「多い分には問題ないでしょ」
「ですね」
二人は初めての依頼を達成し、意気揚々と町へと引き返していった。




