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無人島で50年も修行したら、強くなりすぎたので弟子を育てる事にした  作者: ダイス
王都機密ダンジョン編

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エピソード2 : 王都街歩きと武器屋訪問

 王都の朝は賑やかだった。


石畳の通りには商人の声が飛び交い、

荷馬車の車輪が音を立てて進んでいく。


ユズはきょろきょろと

周囲を見回していた。


「師匠……すごいですね。冒険者も

お店もたくさんあります」


シオンは周囲を観察しながら答える。


「王都だからな。だが浮かれるな。

状況をよく見ておけ」


「はい」


やがて通りの端に、

古びた武器屋が見えた。


外壁は黒く煤け、

長い年月を感じさせる店構え。


だが扉の前に立つと、

ただの武器屋ではないことが

すぐに分かる。


重い気配。


ここには

本物の武器がある。


ユズは思わず呟いた。


「師匠……あの武器屋、

なんだか強そうな雰囲気です」


シオンは小さく頷く。


「そうだな。入ってみるか」


扉を押す。


店の中には

金属と油の匂いが漂っていた。


壁には剣や槍が並び、

棚には短剣や双剣が整然と

並べられている。


その奥から

小柄な老人が現れた。


立派な髭。


ずんぐりとした体格。


ドワーフだった。


「いらっしゃい!客か!」


元気のいい声が

店内に響く。


シオンが軽く頭を下げる。


「はい」


ドワーフは胸を張った。


「わしはグルンデルじゃ!

この店を切り盛りしとる!」


豪快な声だった。


ユズは少し驚く。


シオンはその動きを

静かに観察していた。


そしてぽつりと言う。


「……お爺さん。

相当な強さですね」


その言葉に

グルンデルは大きく笑った。


「おうさ!」


「わしも昔は

冒険者やっとったからな!」


腕を組む姿には、

確かに只者ではない雰囲気が

あった。


グルンデルはユズを見る。


「それで今日は

どんな武器を探しに来たんじゃ?」


ユズは少し緊張しながら答える。


「えっと……まだ決まってなくて。

私に合う武器を探しに来ました」


それを聞いたシオンが言う。


「お前の戦い方なら

双剣が合うと思う」


ユズは首を傾げる。


「双剣ですか?」


「動きが速い。間合いの

出入りも得意だ。お前には

合っている」


ユズは少し考え、

小さく頷いた。


「なるほどのぉ」


グルンデルは

髭を撫でる。


「双剣ならこの辺じゃ。

好きに見てみるといい」


店の棚には

様々な双剣が並んでいた。


ユズは一本一本、

慎重に見ていく。


その時だった。


「……あ」


一組の双剣に

目が止まる。


黒銀の刃。


細身だが、

どこか重厚な存在感。


ユズは手に取った。


不思議なほど

手に馴染む。


軽く振る。


空気を裂く音が

鋭く響いた。


それを見て

グルンデルが頷く。


「ほう。それを選ぶか」


ユズは振り返る。


「これ……」


グルンデルは言う。


「それはわしの作ではない」


「昔、ダンジョン深層で

手に入れた武器じゃ」


ユズの目が

少し大きくなる。


「ダンジョン深層……」


「かなり良い武器じゃぞ」


ユズは少し迷った。


だが

もう一度振る。


やはり

しっくりくる。


「……これにします」


シオンは静かに

財布を取り出した。


「代金は私が払う」


ユズは驚いた顔になる。


「師匠……ありがとうございます!」


グルンデルは

満足そうに笑った。


「いい弟子を

持ったのぉ」


その後、

シオンは店内の刀を

いくつか手に取る。


だが。


どれも

しっくりこない。


シオンは静かに言う。


「気に入るものが

ありませんね」


それを聞いた

グルンデルが笑う。


「ほう」


「なら、わしが

作ってやろうか?」


シオンは少し考える。


「オーダーメイド……ですか」


「そうじゃ」


「どんな刀を

望んでおる?」


シオンは迷わず答えた。


「ただひたすらに

頑丈な刀を」


その言葉に

グルンデルの目が光る。


「面白い注文じゃ」


店の奥から

黒い鉱石を取り出した。


「ならこれを使う」


「黒鋼石じゃ」


シオンは

鉱石を見る。


黒い結晶のような石。


「ダンジョン深層で

手に入れた鉱石じゃ」


「とにかく硬い」


「その代わり重い」


グルンデルは笑う。


「刀にすれば

普通より重くなるぞ」


「それでも

構わんか?」


シオンは迷わなかった。


「ああ」


「それでお願いします」


グルンデルは

豪快に頷いた。


「おう!」


「だがすぐには作れん」


「硬い鉱石じゃからな」


「一週間は

見ておくんじゃ」


「ああ、構いません」


こうして


シオンの刀の制作が

決まった。


後に


黒月と呼ばれる刀であることを


この時の二人は

まだ知らない。

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