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無人島で50年も修行したら、強くなりすぎたので弟子を育てる事にした  作者: ダイス
冒険者始動編

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エピソード22:王命、届く

 同じ頃。


 辺境都市リュスト。


-----


 朝のギルドは、いつもより静かだった。


 前日の騒ぎが嘘のように、人々はどこか落ち着かない様子で動いている。


-----


 シオンは、ギルド奥の休憩室で、静かに茶を飲んでいた。


-----


「……少し、騒ぎすぎたな」


-----


 向かいでは、ユズが背筋を伸ばして座っている。


-----


「で、でも……師匠が英雄扱いされるの、すごいです……」


-----


「慣れないな」


 シオンは正直に答えた。


-----


 その時だった。


-----


 廊下の奥から、慌ただしい足音が近づいてくる。


-----


「ギルド長! 到着しました!」


-----


 職員の叫び声。


-----


 直後。


 重厚な扉が開かれた。


-----


 中に入ってきたのは、白と金の外套をまとった一団だった。


 中央には、威厳ある中年の男。


 胸には、王都直属を示す紋章。


-----


「……王都の使者か」


 ギルド長が、低く呟く。


-----


 使者は一礼する。


-----


「王国より参りました」


「冒険者シオン殿に、御用がございます」


-----


 ホールが、一瞬で静まり返る。


-----


「……俺か」


 シオンは立ち上がった。


-----


「シオン殿」


 使者が近づく。


-----


「こちらを」


-----


 差し出されたのは、金の封蝋で閉じられた書状。


-----


 王家の紋章が、はっきり刻まれている。


-----


 ユズが、息を呑む。


-----


「……師匠……それ……」


-----


 シオンは黙って受け取り、封を切った。


-----


 中には、端正な文字で記された命令文。


-----


『魔将獣討伐の功績を称え、王都へ召集する』


『国王陛下、直々の命である』


-----


 短く、しかし重い文章だった。


-----


 周囲がざわめく。


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「王命……」


「すげえ……本物だ……」


-----


 ギルド長が前に出る。


-----


「……間違いありませんな?」


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「はい」


 使者ははっきり答えた。


-----


「陛下自らの決定です」


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 沈黙。


-----


 数秒後。


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「……分かりました」


 シオンが口を開いた。


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「いつ出発すればいい?」


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「三日以内に、王都へ」


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「分かった」


-----


 即答だった。


-----


 ユズが、少し不安そうに尋ねる。


-----


「師匠……行くんですよね……?」


-----


「ああ」


 シオンは頷く。


-----


「国からの命令だ」


-----


「……はい!」


 ユズは強くうなずいた。


-----


 その日の夕方。


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 宿の部屋。


 荷物をまとめながら、ユズがぽつりと言う。


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「……王様に、会うんですよね……」


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「そうなるな」


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「……こわいです……」


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「俺もだ」


 シオンは正直に答えた。


-----


「だが、逃げるわけにはいかない」


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 窓の外。


 夕焼けに染まる街。


-----


 ここは、二人が成長してきた場所だった。


-----


「……ここから、もっと大きな世界に行くんだな」


 ユズが呟く。


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「ああ」


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 三日後。


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 王都行きの馬車が、街門の前に停まった。


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 冒険者、住民、ギルド職員。


 多くの人が見送りに集まっている。


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「気をつけろよ!」


「英雄!」


「戻ってこいよ!」


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 声が飛ぶ。


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 シオンは軽く頭を下げた。


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「世話になった」


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 ユズも、深く礼をする。


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「ありがとうございました!」


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 馬車に乗り込む。


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 御者が手綱を打つ。


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 ガタン、と車輪が動き出す。


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 辺境都市リュストが、少しずつ遠ざかっていく。


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 ユズが、隣で呟く。


-----


「……師匠」


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「どうした」


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「……もっと、強くなります」


-----


「そうしろ」


 シオンは微笑した。


-----


「王都は、甘くない」


-----


 こうして。


-----


 英雄と弟子は、国家の中心へ向かう。


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 新たな戦いと運命が、待つ場所へ――。



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