表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無人島で50年も修行したら、強くなりすぎたので弟子を育てる事にした  作者: ダイス
冒険者始動編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/80

エピソード19:魔物軍の進軍

 辺境都市リュストは、その朝、不気味な静けさに包まれていた。


 普段なら早朝から聞こえる市場の声も、職人たちの金槌の音もない。


 代わりに響くのは、城壁の上を慌ただしく走る兵士たちの足音だけだった。


-----


「北の森に異変あり!」


「魔物の群れを確認!」


「数、百以上!」


-----


 見張り兵の叫びが、何度も反響する。


 その声には、はっきりとした恐怖が混じっていた。


-----


「……やはり来たか」


 城壁の上。


 シオンは遠くの森を見つめながら、静かに呟いた。


-----


 視線の先。


 濃い霧の向こうから、黒い影が波のように押し寄せてくる。


 ゴブリン、オーク、魔狼。


 大小さまざまな魔物が、無秩序に見えて、どこか統率された動きで進軍していた。


-----


「普通の群れじゃないな……」


-----


 隣で、ユズが小さく息を呑んだ。


-----


「し、師匠……」


 声が、わずかに震えている。


-----


「大丈夫だ」


 シオンは短く答える。


「俺がいる」


-----


 その一言に、ユズは少しだけ肩の力を抜いた。


-----


 だが、次の瞬間。


 魔物の群れが、不自然に左右へ割れた。


-----


 まるで、何かを迎え入れるかのように。


-----


「……来るぞ」


 シオンが目を細める。


-----


 土煙の中から、ゆっくりと現れたのは、一体の巨大な魔獣だった。


-----


 漆黒の毛並み。


 額に突き出た一本角。


 鎧のように硬化した皮膚。


-----


 周囲の魔物とは、明らかに格が違う存在。


-----


魔将獣ガルグ……」


 近くの冒険者が、震えた声で呟く。


-----


 ガルグは城壁を見上げ、低く唸った。


-----


「グルルルル……!」


-----


 次の瞬間。


 咆哮が大地を揺らす。


-----


 それと同時に、魔物たちの動きが変わった。


 速度が増し、連携が鋭くなる。


-----


「……強化系の咆哮か」


 シオンが分析する。


-----


「指揮官タイプだな」


-----


 警鐘が鳴り響く。


-----


「迎撃準備!」


「魔法部隊、配置につけ!」


「弓兵、構えろ!」


-----


 街全体が、一気に戦場へと変わった。


-----


 やがて――。


-----


「来るぞ!」


-----


 魔物軍が、一斉に突撃を開始した。


-----


 地響きとともに、無数の影が迫る。


-----


 矢が放たれ、魔法が飛ぶ。


 前線では、冒険者たちが必死に迎え撃つ。


-----


「うおおっ!」


「押し返せ!」


-----


 だが、数が多すぎた。


 次第に、防衛線は押されていく。


-----


「このままじゃ……」


 ユズが、不安げに呟く。


-----


「ユズ、後方支援に回れ」


 シオンが指示する。


-----


「敵の足を止めろ。無理はするな」


-----


「は、はい! 師匠!」


-----


 ユズは深く息を吸い、杖を構えた。


-----


「……氷よ、集え」


-----


 淡い光とともに、氷の弾が生まれる。


-----


 それが飛び、魔狼の脚を凍らせた。


-----


「ギャウッ!」


-----


 魔狼が転倒する。


-----


「で、できました……!」


-----


「いい判断だ」


 シオンは短く褒めた。


-----


 その時。


-----


「グオオオオッ!」


-----


 ガルグが、ついに前線へ躍り出た。


-----


 巨大な爪が、冒険者を薙ぎ払う。


-----


 ドンッ!


-----


「ぐあっ!」


-----


 一人が吹き飛び、地面に転がる。


-----


「まずい……!」


「前線が崩れる!」


-----


 動揺が走る。


-----


 シオンは、静かに前へ出た。


-----


「ここから先は、通さない」


-----


 片手を上げる。


-----


 魔力が、空間に満ちる。


-----


 次の瞬間。


-----


 重力が、発動した。


-----


 ドンッ!


-----


 周囲の魔物たちが、一斉に地面へ叩きつけられる。


-----


「ギャアアア!」


-----


 悲鳴が響く。


-----


 だが――。


-----


 ガルグだけは、踏みとどまっていた。


-----


「……やはり、効きはするが……」


 シオンが目を細める。


-----


「完全には止まらないか」


-----


 ガルグは、低く唸りながら、こちらを睨みつける。


-----


 殺意に満ちた瞳。


-----


「……面倒な相手だ」


-----


 次の瞬間。


 二体は、同時に踏み込んだ。


-----


 巨大な爪と、圧縮された魔力が、正面から激突する。


-----


 轟音が、戦場に響き渡った。


-----


 戦いは、ここから本格化する――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ