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気になっていた事

「真砂さん! そんなだらしない恰好で……!」

「お風呂は一番だらしない格好を見せる場所だろ~」


風呂場はそれなりの人数が使うだけあって、そこそこの広さがあった。


その湯舟の中に深く身を沈め、真砂さんは完全に寛いでいた。大の字に近い状態なので、大事な所も何も隠されていない。ちなみに俺らに遅れてやってきてそう口にした刹那さんは、バスタオルをきっちり巻いている。俺への意識の差が正反対だ。


ちなみに女性のこんな姿は向こうにいた時にさんざん見ているので、今更何も思わない。そもそも俺に対してノーガードの奴がずっと側にいるし……


「ほら刹那ちゃんもそんな事言ってないで早く浸かりなよ」

「もう……」


同性の年上(外見上は完全に年下だけど)が相手のせいか頬を膨らませるという子供っぽい反応を見せてかる。それからちらりと俺の方を見たので、俺は目を背けることにした。ちなみにその結果反対側にいるるーの裸が目に入るが、コイツの裸とか自分の体の次に見ているからな……


水音がして、湯舟に波紋が立つ。そこそこ広い湯舟なんだけど、何故か刹那さんは俺の横に入って来た。まぁ正面よりはいいのか?


「あの、トワちゃん……ごめん、もう大丈夫」


声を掛けられたので、首を元に戻す。横にいるのでがっつりと見たわけではないけど、どうやらタオルは外したらしい。てっきり巻いたまま入ってくると思ったんだけど、刹那さん真面目なところがあるしマナーを気にしたかな。異世界でもお風呂入る時はタオルを外すというマナーがあるのかわからんけど。


あんだけ恥ずかしがってたのに覚悟決めたんだ……腕で胸元をガードしてるっぽいけど。まぁ出来るだけ視線を向けないようにしておこう。入ってくる時見てしまわないように入口や洗い場を背中にしているしな。尚真砂さんはこっちの正面でさっきの恰好である。


そのまま少し、静かなチルい時間が訪れる。


そのチルさの中、次に口を開いたのは真砂さんだった。


「そういやさ、刹那ちゃん」

「? なんですか?」

「襲撃の時さ、明らかに魔力の反応がある前に反応してたよね。あれなんでわかったの?」


あ。

そういえばその件話そうとしてて忘れてたな。こちらとしても確認が取りたい事があったのだけど、真砂さんの問いとほぼ内容は変わらないのでそのまま刹那さんの回答を待つ。


刹那さんは恐らくあの時の事を思い出していたのだろう、少し時間がたってから答えを口にした。


「うまく説明できないんですけど、感じたというか、そんな気がしたんです」

「狙撃されるって?」

「はい。弾道もわかりました」

「へぇ……」


先程真砂さんが言った通り、刹那さんが動いた時点ではまだ銃撃の魔力反応はなかったはず。狙撃者自体の魔力を感知して、という可能性もあるけどそれよりも……


「刹那さん、世界樹の根が荒ぶった時も前兆が起きる前に反応してたよね」


あの時は前兆の揺れがあったが、その揺れよりも前に彼女は反応していた。


「もしかして、あの時も?」

「あっ……うう……その……うん。あの時はそこまで明確に解ったわけじゃないけど、何かが起きるって朧げに」


俺の問いに、刹那さんはそう答えてくれた。ちなみに最初の「あっ……うう」は話しかけている間に思わず俺が顔をそちらに向けてしまったせいで、彼女が身を竦めた時の声である。ごめんなさい。


その彼女の答えに真っ先に反応したのは、俺じゃなくて真砂さんだった。彼女はぐでーっとしていた体をガバっと起こすとざばざばと湯舟の中を移動して刹那さんの前にやってくる。目を輝かせて。


「それ、能力に覚醒したんじゃないかな!」

「覚醒……ですか?」

「そう思わない? トワちゃん、ルーティエちゃん」

「ん。あの時くーの反応もギリギリだった。多分アレ、ギリギリでアイリスに警告されたよね?」

「ああ……狙撃の時だけならまだしも、根の時は刹那さんが反応した時点では気づける情報はなかったと思う」


だから。


「多分、予知みたいな能力で感知したんじゃないかな」



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