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癒しの雫  作者: みつき
第1章 アルル・ベリファードと魔法学校

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第3話 跳ねる魔法と思い出の指輪

 合同大会の一日目が終わり、帰宅したアルルは食べる暇がなく残ったサンドイッチを食べていた。

 食べながらドリフィーに今日の出来事を話し始めた。

 

「おばあちゃん、今日の合同大会、剣士と弓使いと同じチームになったんだけどね……」

「ほぉほぉ。俊敏チームだね」

 

 アルルは冒険の出来事をドリフィーに話し始めると、止まらなくなった。

 

「グレンてやつがね……親父っぽい人なんだけど、口が悪いの。回復魔法師いらないって言ったの。ひどいよね」

 

「あら。過去になんかあったんかねえ。回復なしは死にに行くようなものだよ」

「だよねだよね」

「それでね……」

 アルルは、樹皮狼でうまく動けなかったこと、突角獣ではうまく動けたことを話した。

 

「突角獣倒したの? すごいじゃない! 成長したわねえ」

 ドリフィーに褒められて、アルルは顔が赤くなった。

 

 一息ついたところで、おばあさんが話し始めた。

「私もね、若い頃合同大会に出たのよ」

 ドリフィーはニコニコしている。


 ――あれは三年生の時ね。

 

 チームの組み合わせは、魔導士ドリフィー、斧戦士、回復魔法師だった。

 

 今でも忘れないわ。相手は、剣士、弓使い、回復魔法師だった。

 今のアルルと同じ編成のチームね。


 剣士・弓使いと斧戦士は相性悪いの。剣士・弓使いは攻撃が早くて俊敏、だけど斧戦士は攻撃は重いけど速度は遅い。下手な斧戦士だと、すぐ死角に回られて何もできなくなるわ。


 でも、うちのチームの斧戦士は違った――。


 斧戦士の力が凄くて、重い斧でも軽々振り回すの。離れた敵でも鎖のついた斧を飛ばしていたわ。

 

 魔法も弓も斧で防御するし、強かったわ。大会に優勝したのよ。ドリフィーが棚のトロフィーを指差す。

 あれがその時のトロフィー。

「すごい! その人の名前は?」

 ドリフィーは笑って答えた。

 

「ガルディー・ベリファード」

「おじいちゃんじゃない!」

「そうよー。かっこよかったんだから」

 ドリフィーが少し照れたように言うと、アルルは目を輝かせた。

 

「でも、あの戦争でガルディーも息子のコルテ、ミーナまでみんな逝ってしまった……」

「うん……。でも私がついてるよ」

 アルルはドリフィーの腕を掴んだ。


「そうね」

 ドリフィーは寂しげに微笑んだ。


 かの魔王との対戦で、幼いアルルのため、ドリフィーだけ残ったのだ。希少な回復魔法師・ミーナと双短剣士・コルテ、斧戦士・ガルディーは、ドリフィーとアルルに見送られながら旅立った。

 

『お父さん! お母さん! 早く帰ってきてねー!』

 アルルは力一杯叫んだ。五歳のアルルには死地に行くことがよくわかっていなかった。

 

『いい子にして、待ってろよー』

『お土産たくさん持って帰るぞ』

『……』

 ミーナは口を押さえ、涙を我慢していた。


 アルルは姿が見えなくなるまで、手を振った。

 ――胸にはミーナからもらった、《癒しの雫》の指輪のネックレスが揺れて太陽の光を反射してキラキラ光った。

 

「まーた、思い出してるんでしょ」

 アルルがドリフィーを抱きしめた。


「合同大会の応援しなきゃいけないのにだめね……」

 アルルが「あ」の口をした。

「おばあちゃん、魔法の研究に付き合ってくれない?」

「ほほ! なんか面白そうだね」


「いきなり虫だと怖いから、ニワトリで試してもいい?」

「いいけど、あんまり可哀想なことしないでね」

「わかってる」


 家の裏の放し飼いにしているニワトリに近づいた。

 

「跳ねよ!」

 

 アルルが叫ぶと、ニワトリが意思とは関係なく、ぴょんぴょん跳ねている。

「ははーん。攻撃不能の魔法ね?」

「そう! 自分で考えたの」

 会話してるうちにニワトリの足は落ち着いた。目を丸くして歩いている。

 

「すごいじゃない! でも、何秒くらい持続するの?」

「十から三十秒くらいかな。魔法抵抗度合いにもよる」

「なるほどね」


「虫やりに行こう」

 二人で、家の近くの畑に足を運んだ。ここには《ヴォルバグ》という突進してくるでかい甲虫がいる。


 ここの畑の体力回復できる甘いニンジンを狙っている厄介なやつだ。


「あ、いた! あそこ」

 アルルが指を差したところにでかい甲虫が、飛んでいるのが見えた。

 二人で近づくと、虫も警戒しているようだった。

「じゃあ行くね。私がかけたら攻撃よろしく」


 アルルは息をすぅーっと吸うと、「跳ねよ!」と叫んだ。

 すかさずドリフィーは、「炎よ、焼き尽くせ!」と叫ぶと、燃えながら跳ねる火球ができた。

 

 ヴォンヴォン。

 

 跳ねる魔法が消える直前、

 「氷よ、足止めせよ!」

 ドリフィーが魔法で足止めする。

 虫は凍りながら近づいてくる。

 パリン。


 ドリフィーは、瞬間後退魔法で後ろに移動した。

 ――シュッ。


 アルルがまた「跳ねよ!」というと、虫はまたぴょんぴょん跳ねた。

(いかずち)よ!」

 虫に電撃が落ちる。そこで虫が動かなくなった。

 

「いい感じね! 効率よかったわ。ありがとう」

「実戦でも使えそう! 嬉しい」

 アルルは跳ねて喜んだ。


「明日も合同大会の練習があるんだから、帰ってご飯たべて早く寝なさいな」

「はーい」

「今日は私がササリーフを摘みに行くからあなたは早く休んで」

「わかった、おばあちゃん」

 普段はアルルが寝る前にササリーフを摘む。今日はドリフィーが摘みに行くことになった。

 

 ご飯を食べてベッドに横になる。

 (明日も頑張ろう……。新しい魔法みんな見たらどう思うかな)

 考えているといつのまにか夢の中にいた。

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