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D.G  作者: パステル
第1章 再開
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第十五話 激突

合流を果たし、互いの事情を把握した四人は部屋から出て、再び上層へと続く階段を探す事にした。その直後、自分達を探していた傭兵のリザード達がこちらに気付くや否や、大声で増援を試みるリーダー、その後に突撃の合図を見せ、他のリザード達も武器を手に立ち向かってきた。

チコは銃を構え、エアー弾で数匹のリザード達を撃ち抜いていく。撃たれたリザードがバランスを崩し、それに足を釣られて後続の敵達も次々と倒れ込んでいった。

ベールも腰に携えたナイフを取り出して、影縫いを繰り出す。影に刺さったリザード達は身動きが取れなくなり、足止めを喰らった。

それでも尚、リザードは三匹程接近してくる。

フライヤは一直線にリザードの懐に入り込む。リザード達にとっては隊長という経緯もあり、攻撃を躊躇した。


「その隙が命取りだぜっ!?」


その反応を見逃さず、フライヤはリザードの右手を掴み、爪ではなく、殺傷力の少ない拳でひとまず腹部に一発与えていく。そのままの流れで体をわし掴み、背負い投げて地面へ叩きつけた。その隙にフライヤの背後から二人のリザードが武器を振り上げていた。それに気づきはしたが姿勢が姿勢ですぐに回避が出来なかった。

しかし、気がつけばリザード達の振り上げていたはずの武器が無くなっている。何かが舞っているのに気付いたフライヤはその矛先を辿るとシエラが鎖双剣で奴らから武器を奪っていた。


「貴様らっ!何故わらわをノーマークしたのじゃっ?」


双剣を自分の元へ戻した後に問いかけるシエラ。表情は若干ご立腹な様子を見せていた。先程のやりとりで戦力は彼女が一番上である事を彼もしっかり把握していた。よく見れば、確かにシエラをターゲットしている敵は誰一人も居なかった。しかし、リザードの言葉でその理由は明らかになった。


「クソッ!あのガキもやり手かっ!!」


「...ガキ...じゃと...?」


武器を握るその手から烈火の如く炎が現れる。チコがフライヤをこちらに来るように声を掛ける。


「フラッ!逃げてっ!」


「なっ!?」


シエラの双剣の刃に音を当てながら炎が纏う。歯を剥き出しにしながらも、彼女はその剣を振り回し始めた。


「わらわを子供扱いするでないぞぉおおっ!!!」


炎の勢いが増した所でシエラは二つの剣を同時にリザード達の前に叩きつける。するとそこから爆発が起こり、彼らは焦げた姿で奥へ吹き飛んでいく。荒い息をしつつもストレスが発散出来たのか、落ち着きを取り戻しつつあった。よくよく考えればあのままその場にいたら共に黒焦げにされていたのかと感じたフライヤは思わず文句を呈した。


「おいっ!ちゃんと俺の事考えてたのか今の攻撃っ?!」


それに対し、ジト目でこちらを見た後に笑顔でこう答えた。


「すまんっ、ついな☆」


「お前なぁっ!」


フライヤは呆れが含んだ怒りで言葉をぶつける。チコが優しく慰めに入り、事なきを得た現状を伝え、彼を落ち着かせた。ちょうどその時、足止めを喰らっていたリザード達が復帰してこちらへと向かってきていた。


「次来ますっ!」


ベールがそう言うと皆、戦闘態勢に切り替え、走ってくるリザード達を再び迎撃する。

シエラがまず、鎖で一匹を拘束してグラップルを利用した飛び蹴りを繰り出した。入れ替わる形で一匹がシエラに飛びかかってきた所をチコがエアー弾で撃ち落とす。すぐに鎌を呼び出して、崩れ落ちたリザードの胸元あたりに打撃を与えていった。その横でベールはナイフを使って再び影縫いをした。それにより身動きの取れなくなったリザードに対して、懐に入った彼女は体を反って両手を地面につけて、渾身のサマーソルトをリザードの顎にぶちかました。同時に影縫いが解けたリザードは宙に浮き、地に全身を強打して気絶した。

もう一匹がベールに真っ向勝負を仕掛けてきた。武器を突き刺してきた所にベールは鎌で上へと弾き返し、蹴りを片腕に一発かました。それにより武器を離してしまったリザード。一瞬痛む腕を押さえるも拳を繰り出す。しかし時すでに遅く、ベールは柄の部分でリザードの脇腹を思いっきり殴った。あまりのダメージにゆっくりと倒れ込む敵。

リザード達の攻撃は続き、ベールはナイフで遠くから投げ飛ばし、一匹の足へ刺さった。思わず視線を足に集中させた所をフライヤが体を張って突進し、不意打ちのタックルを繰り出した。次のリザードが武器を構えて攻撃を仕掛けるも彼はそれを横に回避して、裏拳でリザードの首元に打撃を与えた。そのままリザードの首と脇腹を掴んで、雄叫びをあげつつ別のリザード目掛けてそれを投げ飛ばした。

増援が来る前にここを抜け出さないと同じことの繰り返しで面倒な事になる。シエラを先頭に四人は突破をする事にした。


「来るなぁ!ガキィッ!」


怯えつつも抵抗しようとするリザード。シエラは未だ子供扱いされている事に怒りを見せて、武器の鎖でリザードの体を拘束させた。悲鳴をあげ、恐怖で戦意を殆ど失っているにも関わらず、シエラはグラップルを使って高速でリザードの方へ飛んでいく。


「ガキじゃなかろうと...」


拘束を解除して、手に戻った武器を持ったまま、シエラはリザードの顔面にスピードで威力の増したラピッドナックルがクリーンヒットした。歯が数本飛んでいきながらもリザードの体は宙を舞う。着地するシエラの後ろで二回ほどバウンドした後、もぬけの殻の如く、見た目つらそうな姿勢でリザードは気絶した。

三人の方を向かぬまま、先を進むよう促すシエラ。チコ達は唖然とした様子を見せていた。そしてチコは念を押すようにフライヤへ忠告する。


「フラ...間違っても悪意で会長を子供扱いしちゃダメよ」


「お、おぅ...」


そんなつもりは毛頭ないが肝に銘じたフライヤであった。

足早に移動を進める一行は再びリザード達と鉢合わせになる。しかし今度は数が少ないがその中にゴブリンの姿もあった。


「リザードだけじゃぞ!良いなっ!?」


シエラの指示に全員返事して武器を構えた。案の定リザードだけが突撃する。フライヤが先手をうち、敵に立ちはだかる。敵が武器を構え、振り下ろしていく。それを爪でガードし、膝で敵の腹部にダメージを与える。よろけた所を再び接近し、アッパーでトドメをさしていく。

その間、シエラも片方の件で武器を弾き、もう片方を敵の体に巻き付けて行く。今度は逆に、ドローアップを使って敵をシエラの方へ引き寄せていく。そのままの流れでシエラがジャンプして、顔面に拳を当てていく。仰け反るように敵が前へ進みながらも後ろへ倒れていく。

チコはそのまま持ち歩いていた鎌で立ち向かうリザードを迎撃する。敵の攻撃を回避し、水の魔法で敵の顔に水を当てる。目くらましを食らった後、視界がクリアになったが彼女の姿が見えない。背後から鎌の柄が飛び出し、首に引っ掛けられるリザード。背中合わせの状態からチコは力任せに背負い投げを繰り出し、地面に叩きつけた。最後、ダウンしてる中でリザードの頭に鎌を強打させ、気絶させた。

残ったゴブリンを逃がさぬよう、ベールが事前に影縫いで身動きを封じていた。かなり怯えた様子を見せるゴブリン。チコが膝を抱えながら中腰で問いかける。


「話は聞いてる。無理矢理傭兵にされてるんでしょ?」


「...ど、どうしてそれを?」


「オーク達から聞いたの。あなた方もハイドとローゼの指示で無理矢理働かされてるって」


事情を知っている事を理解するとゴブリンは涙を流し始める。攻撃の意思がないと判断したベールは影に刺さったナイフを抜いてあげた。封印が解けたゴブリンは崩れるように膝をついて声を荒げた。


「アイツらのせいでっ!僕達の生活は滅茶苦茶なんだっ!!」


やはり彼らもやり場の無い怒りを持っているのだと感じたチコ。ゴブリンの肩に手を添えて彼女は約束した。


「大丈夫。私達がなんとかするから。それまで、頑張って欲しい...」


勝てる保証はないけれど、これ以上、辛い思いを続けるより、少しでも楽にしてあげたい一心だった。チコの優しい言葉にゴブリンは小さく頷く。階段の場所を聞くと、彼は躊躇いなく教えてくれた。

このまま逃がすとリザード達にあらぬ疑いをかけられる可能性があった。シエラは案として腰の小ポーチから一本の小型注射器を取り出し、彼に見せた。それを見て本人は驚く表情を浮かべる。


「案ずるな。これは眠り薬じゃ。奴らに知られればおぬしは裏切り者じゃ。痛い目に会わない為にも許して欲しい...」


ゴブリンは固唾を飲んでコクリと頷いた。シエラはゆっくりと彼の首元に注射器を刺した。全ての薬液を注入させた後。敵の声が聞こえてきた。


「うつ伏せになれ!わらわは立ち去る!直に眠るようになる...!」


シエラの合図で全員、教えられた階段の方へ走り出した。ゴブリンも増援の姿が見える前に言われた通りうつ伏せになって、睡魔に襲われるのを待った。深く、通り縋っただけの優しい人間達に感謝しながら。


リザード達を蹴散らしながら、階段へ向かう四人はついにその場所へ辿り着く。要塞の広さに苦言を呈しながらシエラは階段を登り、三人も続々と階段に足を踏み入れていく。リザード達の声が聞こえてきて、このまま追ってくる可能性があった。咄嗟にシエラが駆け上がる様指示を出し、双剣を天井に突き刺した。力強く鎖を握り締めると炎の力で刃が熱で赤く光り、爆発が発生した。それにより天井が崩れ落ち、敵から追われる心配は無くなった。


「これでひとまず、追っ手はこぬじゃろう」


武器を仕舞い、両手を叩きながらシエラはそう言った。チコとベールも賛同し、先に進むよう促した。

階段を登った後、四人はかなり広い部屋に出た。どうやら舞踏部屋のようで、窓際には赤い高級チェアが所々に置かれており、天井には特大シャンデリアが飾られていた。奥には普通に階段が見えていた。しかし、フライヤを除く死神三人には分かっていた。武器を手に殺気を感じる方向へ視線を向けるとそこにはハイドとローゼが高い位置の横柱に左右それぞれ立ち尽くしていた。フライヤも彼女達視線を辿って二人の存在に気付く。


「随分と舐めた真似してくれるじゃない」


「困りましたねぇ...僕達の計画が台無しだ」


ベールはあまり表情を変えずに彼等へ怒りをぶつける。


「あなた達ね!オーク達やゴブリン達を無理矢理傭兵にした二人組は...!!」


それに対し、ローゼは鼻で笑ったあと、彼らの非力さに苦言を呈した。


「正直意味なかったわ。無駄だった感じね〜」


あまりの反省の無さに余計苛立ちを感じるチコ達。そのあと、ローゼから予想だにしてない事実を耳にする。


「まっ、この流れなら、ボスの世界征服計画は十分間に合うでしょうけどね」


「世界征服じゃとっ?!」


「後は、そこのお前らをこのまま生け捕りにできればいいだけ」


と、チコとフライヤに指差しながらローゼはそう告げる。言葉が過ぎるとハイドに口止めされてしまう。自分を生け捕りにする理由を聞き出すも、当然もう口を動かす事はしない。二人が脇に飾ってあった武器を手に取る。

それにチコ達も武器を構える。はたして、チコとフライヤを生け捕りにしてまで勧める計画とは......?

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