↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風の契約と絆を紡ぐ物語  作者: 蒼燈
平穏の終わりと嵐の始まり
PR
96/113

4 決意と敵対

「……来る!」


ルクスが叫んだ瞬間、街の路地の奥から、歪んだ精霊の気配が噴き出した。


黒い鎖のような魔力に絡め取られ、理性を失った風の精霊、炎の精霊、水の精霊たちが、次々と姿を現す。


「もう……暴走が始まってる……!」


フィリアの声が震える。


精霊たちは苦しそうに叫びながら、周囲の建物や地面を無差別に破壊し始めた。


その瞬間、リオネルが一歩前に出る。


「ステラ! ゼフ!」


振り返ると、リオネルは剣を構え、精霊たちを真正面から睨みつけていた。


「ここは俺たちが抑える!

 お前たちは——神殿へ行け!」


「でも……!」


ステラが言いかけるのを、ヴァルカが遮る。


「ぐずぐずしてる暇はねえ!

 元凶を止めなきゃ、街中の精霊がこうなる!」


ルクスも強くうなずく。


「結界の中心は神殿だ。

 あいつらの術を止められるのは……今は、君たちしかいない」


精霊たちの悲鳴のような声が、さらに大きくなる。


ステラは唇を噛みしめ、ゼフを見る。


ゼフは一瞬だけ目を閉じ、それから決意したようにうなずいた。


「……必ず、止める」


「リオネル……みんな……!」


「行け!」


リオネルの叫びに背中を押されるように、ステラとゼフは神殿へと走り出した。


背後では、仲間たちが必死に暴走している精霊を食い止めている。


「こっちだ、気を引くぞ!」


「無理するな、精霊を傷つけるな!」


「鎖を断ち切るのが先だ!」


その声を聞きながら、二人は石段を駆け上がる。


神殿へと続く石畳を駆けながら、ステラの胸は嫌な鼓動でいっぱいになっていた。


(間に合って……!)


地下から伝わってくる魔力のうねりは、もう隠す気もないくらい強くなっている。

まるで大地そのものが、苦しそうに呻いているみたいだった。


やがて、古代の神殿の大扉が見えてきた。


そして——


扉の前に立つ、二つの影。


黒衣の魔術師、アルドラ。

そして、その隣に静かに立つ王、シリウス。


二人の足元には、巨大な魔法陣が展開され、神殿全体が淡く、不気味な光に包まれている。


「……待っていたよ」


アルドラが、穏やかな声で言う。


「わざわざ来てくれるなんて。

 実験の被験者としては、理想的な登場だ」


シリウスは、ステラとゼフを見つめ、静かに告げた。


「転移で先回りさせてもらった。

 君たちなら、私たちの計画をまた止めようとするだろう?」


ステラは一歩前に出る。


「精霊たちを解放して!

 こんなこと……間違ってる!」


アルドラは首を傾げ、淡々と言った。


「間違いかどうかは、結果が決める。

 そして今は——」


足元の魔法陣が、さらに強く輝く。


「我々の実験の始まりだ」


神殿の奥で、世界規模の術式が、完全に目を覚まそうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。