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風の契約と絆を紡ぐ物語  作者: 蒼燈
平穏の終わりと嵐の始まり
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2 忍び寄る影

城の地下深く。

人の気配も、外の音も届かない場所で、大きな魔法陣が静かに光っていた。

その光は脈打つように揺れ、まるで生き物の心臓みたいに、一定のリズムで鼓動している。


その中心に立つのは、黒衣の魔術師——アルドラ。


宙には、精霊の気配や結界の状態を映す淡い光の像が浮かび上がっていた。


「……やはり、あの二人の力は特別だ」


アルドラは小さく呟く。


「ステラとゼフィロス。

 二人の想いが重なったとき、力は普通の契約とは比べものにならないほど強くなる。

 それは無理やり引き出す力じゃない。

 2人の願いによって生まれる力だ」


その背後に、静かな足音が近づく。

シリウスだった。


「計画に影響はでないのか?」


アルドラは振り返らずに答える。


「むしろ、計画を一気に進められる。

 世界中の精霊を一つの意思に従わせる術。

 その完成に、彼らの存在は欠かせない」


シリウスは魔法陣を見下ろし、低く息をついた。


「……世界を統一するための力。

 この力を使って混乱も争いも、もう終わらせよう」


「ああ。

 そのためには、人も精霊も、自由すぎる心は邪魔になる」


アルドラはゆっくりとシリウスの方を向いた。


「そして……ステラとゼフィロスの絆は、その自由の象徴のような存在。

 

 だからこそ——」


一瞬、アルドラの瞳が冷たく光る。


「壊しがいがある」


「だが、本当に壊す必要はないのではないか?

 確かにあの力は計画の妨げになる。

 それならば、逆に利用してしまえばいい」


シリウスの声は低く、感情を押し殺していた。


「必要があるかどうかは関係ない。

 ただ、あの力はどの程度の負荷で失われるのか、確かめてみたいだけだ」


魔法陣の光が、ゆっくりと強まっていく。


「準備は整いつつある。

 精霊を縛るための結界も、街全体を覆う術式も……もう、いつでも動かせる」


シリウスはしばらく黙っていたが、やがて静かに言った。


「……あの二人を、まだ諦めたくはない」


アルドラは薄く笑う。


「分かっている

 だからこそ、まず希望を与えよう。

 希望が大きいほど、失ったときの絶望も深くなる」


その頃、地上のファラサ。


何も起きていないはずの街で、

ステラは理由の分からない不安を感じ、胸に手を当てていた。


(……何か、近づいてる……)


海は穏やかで、空も澄んでいる。

なのに、精霊たちの気配だけが、かすかに震えていた。

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