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風の契約と絆を紡ぐ物語  作者: 蒼燈
従属の鎖と新たな仲間
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10 燃え上がる意志

轟音が響く。


炎が、暴れている。


地面は焼け、空気は歪み、


視界すら揺らぐ。


「ははっ……!」


その中で、笑う声。


「いいなぁ!!」


リオネルは槍を振り抜いた。


炎を切り裂く。


だが。


次の瞬間、さらに大きな火柱が襲いかかる。


「っぶねぇな!!」


転がるように回避。


立ち上がると同時に、また踏み込む。


考えない。


いや——考える前に、体が動いている。


「来いよ!」


真正面から突っ込む。


その先にいるのは——炎の精霊、ヴァルカ。


巨大な炎を纏い、


荒々しく、猛々しく。


だが。


その身体には。


やはり——黒い鎖が巻き付いている。


「……チッ」


リオネルが歯を鳴らす。


「見るからに嫌なもんつけられてんな」


次の瞬間。


炎が爆ぜた。


ヴァルカが腕を振るう。


炎が獣のように襲いかかる。


「いいねぇ!!」


リオネルは笑った。


踏み込む。


炎の中へ。


槍を突き出す。


だが。


炎が弾け、衝撃で吹き飛ばされる。


「がっ……!」


地面に叩きつけられる。


熱が、皮膚を焼く。


それでも。


「……最高だな」


口元が、笑っている。


「その力!」


立ち上がる。


血を拭うこともせず。


「でも、押さえつけられてる感じが、気に食わねぇ!」


再び突っ込む。


ヴァルカの炎が、さらに激しくなる。


「……来るか」


低い声。


どこか楽しそうな響き。


炎と槍がぶつかる。


火花が散る。


衝撃が走る。


リオネルが目を見開く。


「やるじゃねぇか!!」


ヴァルカも笑う。


豪快に。


「当然だ!」


拳を振るう。


炎が爆発する。


リオネルはそれを弾き飛ばしながら、叫ぶ。


「その戦い方!」


槍を振り抜く。


「嫌いじゃねぇ!!」


炎を切り裂く。


距離が縮まる。


「ははっ!!」


ヴァルカの笑いが響く。


「奇遇だな!」


炎が渦を巻く。


「俺もだ!!」


激突。


真正面からのぶつかり合い。


一歩も引かない。


「でもよ——!」


リオネルが踏み込む。


槍を強く握る。


「その鎖はダサい!!」


その一言。


一瞬。


ヴァルカの動きが止まる。


「……何?」


炎が揺らぐ。


リオネルは、さらに踏み込む。


「お前、本当はそんな戦い方じゃねぇだろ!」


槍が、鎖に叩きつけられる。


鈍い音。


黒い鎖が、軋む。


「力任せでいい! ぶっ壊すくらいでいい!」

 でも——」


まっすぐに、睨む。


「誰かに操られてんのは違ぇだろ!!」


沈黙。


炎が、揺れる。


ヴァルカの瞳が、細められる。


「……はは」


低く、笑う。


「言うじゃねぇか」


炎が、わずかに弱まる。


「だがな」


鎖が、強く締まる。


「止まれねぇんだよ!!」


炎が暴走する。


巨大な火柱が立ち上がる。


「来るかよ……!」


リオネルは構える。


逃げない。


「なら——」


足に力を込める。


「ぶち壊してやる!!」


正面から突っ込む。


炎の中へ。


焼ける。


視界が歪む。


それでも。


止まらない。


「うおおおおおっ!!」


槍を振りかぶる。


一直線に。


鎖へ。


叩きつける——!


——バキッ


ひびが入る。


「……!」


ヴァルカの目が見開かれる。


リオネルは、さらに押し込む。


「まだだ!!」


力を込める。


「こんなんで縛られてんじゃねぇ!!」


その声。


その勢い。


その“まっすぐさ”が。


ヴァルカの中で、何かを揺らす。


「……っ」


歯を食いしばる。


炎が揺れる。


「俺は……!」


鎖が軋む。


「こんなもんで——」


炎が、弾ける。


「止まるタマじゃねぇ!!」


——バキンッ!!


鎖が砕け散った。


炎が、一気に解放される。


だがそれは——暴走ではない。


純粋な、力。


静かに、収まっていく。


リオネルは、その場に立ったまま息を吐く。


「……っは」


汗と煤にまみれながら、笑う。


「やっぱそっちの方がいい顔してんじゃねぇか」


ヴァルカは、しばらく黙っていたが。


やがて——


「……気に入った」


にやりと笑う。


豪快に。


「お前、いいな!」


リオネルも笑い返す。


「だろ?」


自然なやり取り。


まるで戦いの最中とは思えない。


「名前は?」


「リオネル!」


「そうか、リオネル!」


炎が、軽く揺れる。


「覚えた!」


リオネルは槍を肩に担ぐ。


「そっちは?」


「ヴァルカだ!」


力強い声。


そして、すぐに。


「……仲間は?」


少しだけ、真剣な顔になる。


リオネルも頷く。


「ああ、いる」


炎の向こう。


雷と風の気配。


「助けに行くぞ」


ヴァルカは、ニヤリと笑った。


「言われなくても、そのつもりだ!」


炎が舞い上がる。


二人は同時に走り出す。


まるで最初から息が合っていたかのように。

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