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風の契約と絆を紡ぐ物語  作者: 蒼燈
黒い渦と輝く魔法
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8 戻る光

ステラの剣が、黒い渦の核を捉えた瞬間。

空間が、悲鳴のような音を立てて裂けた。


きぃん、と高い音。

光と闇がぶつかり合い、中心から亀裂が走る。


核に刻まれていた術式が崩れ、渦の回転が一気に乱れる。

吸い込む力が弱まり、黒い魔力が制御を失って四方に散った。


同時に。


「……風が、戻ってきた」


ゼフの周囲の空気が、はっきりと流れ始めた。

縛りつけていた黒い術が解け、風の精霊としての力が一気に解放される。


翡翠色の瞳が、強く輝いた。


「今度は、こっちの番だな。

好き勝手やられたんだ。やり返してやるよ」


低く、静かな声。

けれどその背後で、風がうねりを上げる。


敵の魔導師たちは、明らかに動揺していた。

術式が不安定になり、連携も崩れている。


ステラは着地すると同時に前へ踏み込み、剣で結界を断ち切る。


「……終わらせる」


感情の起伏は相変わらず少ない。

でも、その一撃一撃には迷いがなかった。


ゼフの風が敵の動きを封じ、ステラの剣が魔力の核心を正確に斬り裂く。

光と風が重なり合い、黒い魔法陣が次々と崩壊していく。


「くっ……撤退する!」


フードの奥から、悔しそうな声が漏れた。


黒い煙が立ち上り、敵たちは再び渦の残骸へと身を投じる。

完全に消え去る直前、ゼフはその中に、ある見知った気配を感じ取った。


(この気配は……)


渦は収縮し、やがて、何事もなかったかのように空から消えた。

雲が晴れ、青空が戻ってきた。

広場に残ったのは、静寂と、ゆっくりと戻り始める風。


ステラは剣を下ろし、深く息をつく。


「……逃げられたね」


「ああ。でも――」


ゼフは空を見上げる。


「向こうも、こっちの力をはっきり知ったはずだ。

もう、偶然じゃ済まなくなる」


祭典の光が、再び街を照らし始める。

けれどその裏で、確実に。

謎の計画は、動き出していた。

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