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風の契約と絆を紡ぐ物語  作者: 蒼燈
黒い渦と輝く魔法
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5 中心の二人

人々の避難が進み、広場の中心に残ったのは、ステラとゼフ、そして空に渦巻く黒い穴だけになった。


ごう、と低い音を立てて、渦が脈打つ。


「……来る」


ゼフが呟いた瞬間。


黒い渦の中心が裂けるように歪み、そこから人影が落ちてきた。

フードを深く被った魔導師たち。顔は影に隠れ、全身から不穏な魔力が漏れている。


「誰……?」


ゼフが風で距離を測るより早く、敵は詠唱を始めた。


黒い鎖のような魔法が地面を這い、ステラの足元へ伸びる。


「っ……!」


ステラは跳んで避けるが、次の瞬間、別方向から闇の刃が飛んでくる。

剣で弾くが、衝撃が重い。普通の魔法じゃない。


「この魔力……なにか変。気をつけて」


ステラがゼフに、声をかける。

その時。

ゼフの周囲の風が一瞬、鈍った。

黒い魔法が風の流れを縛るように絡みついてくる。


「ゼフ!」


「平気だ。……でも、動きづらいな」


風の精霊であるゼフにとって、流れを乱されるのは致命的だった。

しかも敵は、それを分かっていて狙っている。


ステラはゼフを庇うように前に出る。


「私が前に出る。ゼフは、後ろから支援を――」


言い終わる前に、黒い魔法陣が空中に展開された。


「……っ!」


重圧。

まるで空気そのものが押し潰されるような感覚に、ステラの動きが一瞬止まる。


その隙を突くように、闇の槍が放たれる。


ゼフがとっさに風の盾を張るが、完全には防ぎきれず、二人とも後退した。


「く……思ったより、厄介……」


ゼフの額に、わずかに汗がにじむ。

ステラも呼吸が少しだけ荒い。表情は変わらないけど、確実に追い詰められていた。


敵は無言のまま、包囲網を狭めてくる。

まるで捕獲するような動き。


(……狙いは、私とゼフ)


ステラは剣を握り直す。


祭典の光に満ちていた広場で、

今、二人は完全に敵の術式の中心に立たされていた。

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