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風の契約と絆を紡ぐ物語  作者: 蒼燈
平穏の終わりと嵐の始まり
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8 失ったもの

神殿の奥。


崩れた柱の影で、ステラは膝を抱えて座り込んでいた。

ステラの肩が震え、床には涙が落ちた。


「私のせい……私が、もっと早く動けてたら……。

 ゼフは……連れていかれなかったのに……」


声は掠れて、何度も同じ言葉を繰り返す。


そこに街の精霊たちを鎮めた、リオネルたちが駆け込んでくる。


「ステラ!」


いつもと様子が違うステラにフィリアが真っ先に駆け寄り、そっと肩に手を置く。


「ステラ、どうしたの?」


ステラは、神殿に入ってきた仲間たちに、さっきまでのことを全て話した。

シリウスとアルドラと戦ったこと。

ゼフがシリウスの攻撃に当たって、怪我をしたこと。

アルドラが、ゼフを連れて行ったこと。


「違うよ……あなたのせいじゃない……」


フィリアの言葉を聞いてもステラは顔を上げないまま、首を横に振る。


「でも……私が、守るって決めたのに。

 一緒に戦うって……約束したのに……」


ルクスが静かに前に出る。


「ステラは、最後まで戦ってた。

 逃げなかったし、諦めなかった。

 それを……ゼフィロスが一番、分かってるはずだよ」


ヴァルカも腕を組んで、ぶっきらぼうに言う。


「あいつはさ、ステラを守れたって思ってる。

 だから、大丈夫だ」


最後に、リオネルがステラの前にしゃがみこむ。


「ステラ。ゼフィロスは……奪われたんじゃない。

 守ったんだ。君を、俺たちを」


ステラの指が、床をぎゅっと掴む。


「でも……それでも……。

 私……怖い……ゼフが……いなくなるの……」


張りつめていた糸が、そこで切れたみたいに。


ステラの体から力が抜けて、前に倒れそうになる。


「ステラ!」


リオネルが慌てて抱き止める。

顔は真っ青で、意識はもう朦朧としていた。


フィリアが急いで回復魔法をかけながら言う。


「心も体も……限界を迎えてるのね……」


ルクスは周囲を見渡し、静かな場所を指差す。


「ここじゃ落ち着けない。

 精霊と戦いの気配が強すぎる」


「運ぼう」


リオネルはステラをそっと抱き上げる。


ヴァルカが後ろから支えながら、低く言った。


「今度は……俺たちが守る番だな」


こうして、仲間たちは意識を失ったステラを連れて、

神殿の外、静かに休める場所へと向かう。


その胸に、ただ一つの想いを抱えながら。


――必ず、ゼフを取り戻す。

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