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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
最終章 終わり、始まる世界
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決戦

 アズウルとの最終決戦が始まった。大量の勇者達がアーティファクトを持って永戸達に襲いかかるが、それを永戸達は、峰打ちで仕留めていく。


「いつからだろうな! 全員助けるってそんな甘っちょろい信念を掲げるようになったのは!」


 誰も斬らずに、ただ鞘で叩き倒していく永戸、その胸にあるのはかつての英雄殺しとしての殺意ではなく、英雄としての覚悟だった。


「そうだ! お前と出会ってからだ! お前のその甘い理想が、俺を変えた!」


 そう言いながら、永戸は神癒奈と出会った頃を思い出す。殺す事しか能がなかった自分が、いつしか誰かを救うことを考えて行動するように変わっていた。


「私も! 戦う覚悟を持てたのはいつだったか覚えてません!」


 神癒奈も峰打ちをしながら、かつてのことを語る。甘い理想しか言わなかった自分から、いつしか、戦う覚悟を持った神として変わった事を思っていた。


「神様! あなたには悪いけど、死んでもらいますよぉ!」

「神癒奈さんを傷付けたりは、させない!」


 達海の攻撃を、フィアネリスが防ぎ、そのまま槍で突いて吹き飛ばした。強靭な鎧を着てるせいかダメージは少ないが、それでも、神癒奈を守ると言う従者の役目を果たす。


「コンビネーション! 『シールドバレット!』」

『了解!』


 ライがバリアを張ると、その後ろからエイルとコリーがマシンガンを撃つ。すると、シールドを通り抜けた弾が同じシールドの膜が張られ、殺傷弾から非殺傷弾として変わり、数々の敵を倒していった。

 三人とも、誰も傷付けたくない、その思いで戦いに臨んでいた。


「何の関係もない人が勇者になっていくのを見るのは、もう嫌なんすよ!」


 聖剣ではなく警棒を持った桐枝が光を宿し、リーチの伸びた警棒で勇者と化した街の住民達を薙ぎ倒していく。その目には、かつて死んでいった自分の友人達のようにはさせないと言う思いがあった。


「…追加召喚を」

『させないわ!』


 アズウルが勇者の追加召喚をしようと魔法陣を開くが、竜形態のリオーネが吠えると、その全ての魔法陣が破壊された。天界の暗闇の空に、白竜の美しい白い鱗が陽光のようにキラキラと輝く。


「くっ……いつのまに竜族を味方につけたんだ」

「彼らには、人を惹きつける力がある。多くの人を巻き込み、世界を守ると言う大きな役目を果たす、それが、我々四課なのだよ!」


 ユリウスがアズウルに肉薄し、聖剣を突き出した。アズウルはそれを防ぐが、一瞬、焦りを見せた。その焦りを見逃さず、ユリウスはもう片方のレイピアで突きまくる。いくつかがアズウルの体をかすり、白銀の効果で彼の持つ能力が一瞬だけ解除された。

 その一瞬の解除で勇者達の洗脳が解け、皆が倒れる。


「動け! 僕の意のままに!」

「彼らを安全な場所まで届けて!」


 アズウルが再び服従の魔法をかけようとするが、その前に神癒奈が神権をを行使し、勇者にされた人々を全て元の世界の安全な場所へ送り込んだ


「くぅ…!」

「もう貴方の、好きにはさせません!」


 今の転送で敵は大幅に減った、その中で、永戸達はそれぞれ、達海とアズウルに攻撃を開始する。


「絶望の神様の邪魔をして! 幾ら神様でも許さないぞぉおおっ!」

「ふっ!」


 達海が剣を突き刺してくるが、神癒奈はそれを刀で弾くと、拳で達海の顎を殴った。


「あぁああっ!」


 岩をも砕く一撃だ、強打を受け、達海は地面を転がる。

 しかし彼はすぐに立ち上がり、黒い剣から闇の光を解放した。


「よくもぉ! やってくれたなぁ!」


 剣が振り下ろされ、闇の光が神癒奈に向けて放たれるが、そこで桐枝が神癒奈の前に立ち塞がった。


「そんな光、本物の光の前では無意味! 叩き切れ! エルメイル!!」


 桐枝が聖剣に光を走らせると、その闇の光を剣で振り払った。


「なぜだ、何故僕の剣があんな奴の剣に負けるんだ!」

「それは、貴方と私たちの、覚悟と力量の差ですよ」


 エイルが赤い糸を射出すると、それを達海に巻き付けては縛り付ける。すると、一瞬にして体と鎧が溶け始め彼に致死量クラスの毒が流れ始めた。


「ぎゃひっ⁉︎ うっぐぁあああああ!」


 再生の能力がついてるのか、溶けて毒が回った部位がすぐに治るが、だが、同時に毒を永遠に受けるため、達海は生き地獄を味わう事となった。


「これで、終わりにします! 焔月式抜刀術、壱式!」


 神癒奈が刀を鞘にしまうと、神速の抜刀で達海の首を刈り取った。


「あとは、アズウルのみ…!」

「とでも、おもっていたのかい?」

「っ!」


 アズウルに振り向いた神癒奈だが、背後からの声に嫌な予感を察知し、飛び込んで避ける。すると、取れたはずの達海の首がくっつき、ギロリとこちらに目を向けてきた。


「この感覚…まさか」

「…人の形をした、なり損ない!」


 神癒奈とフィアネリスが、それぞれ直感と全知で目の前の敵の異常さを感じ取る。

 復活した達海に、絶望の影がまとわりつき、大きな化け物と化す。どうやら簡単には終わらせてくれないらしい。


「痛かったよぉ! 何でみんな、僕をいじめるんだ!」


 フルフルと震えると、達海だったものは大きな声を上げた。


「まだ終わりではないとは…」

「でも、それでも倒すまでです!」


 そうして神癒奈は達海だったものに向けて再び攻撃を始めた。


「アズウル! お前をここで倒す!」

「そんな二流のセリフを吐いてもキミは僕には届かないよ! 永戸」


 片手にリヴァンジェンスⅡを、もう片手にイクセリオスを手にした永戸が、アズウルと激しい激突を繰り広げていた。


『下がりなさい!』

「っ!」


 リオーネの指示を受けて永戸が下がると、リオーネがブレスを吐いた、だが、それをアズウルは飛んで回避し、リオーネに向けてキックをする。


『くぅうううっ、このおおおおおっ!』


 キックを受けて衝撃でよろけるが、それでもリオーネは意地で耐え、アズウルに噛み付くと、そのままバキバキと噛み、地面に放り投げて叩きつけた。


「かはっ⁉︎ くっくくく…なかなかやるねぇ!」

「この状況で、まだ笑う余裕があるとはねぇ!」


 ユリウスがアリアンヌでアズウルを切り裂くが、先ほどのようにはいかず、彼は影の中に消えた。


「何処に…!」

「後ろだ! 永戸!」


 黒い影からアズウルが飛び出してきて剣で切ろうとするが、ライがそれをギリギリで防ぎ、カウンターで大型シールドのマウアーで殴りつけた。

 衝撃がアズウルに直接伝わり、彼は吹き飛ばされたが、壁にぶつかる前に、彼はまた姿を消す。


「逃がすか!」


 赤黒い稲妻が走り、アズウルの移動が"なかった事"にされ、彼はその場から出てくる


「な……馬鹿な⁉︎」

「お前の陰湿さも段々分かってきた気がするよ!」


 永戸がイクセリオスに光を宿し、アズウルに切りかかる。それをアズウルは、手をかざしてバリアで塞いだ。


「まだだ! ぶち抜けぇっ!」


 腰からパイルブレードを取り出し、ゼロ距離で白銀鉄針を放つ。それは、アズウルのバリアを貫通し、彼の体に突き刺さった。


「ぁああああっ!」

「どれだけの力を持つ奴であろうと、白銀はその者の力を抑える! それが例え、災害と称する絶望であってもな!」


 力が抑え込まれたアズウルに対し、永戸は彼の頭を自分の手で掴んだ。そして、赤黒い稲妻が手を走り、断罪の言葉を言う。


「さぁ、ゼロへ還れ!」


 赤黒い稲妻がアズウルの体を襲い、奴の身体中に全ての能力が原初に戻る力が走った。それにより、アズウルは黒い影を維持できなくなり、天界に満ちていた絶望の影が解けていく。

 そして、彼の仮の姿が溶け、本当の姿が露わになった。

 それは……人の形をしていたが、顔も何もない、ただの黒い塊だった。


「見たな……僕の本当の姿を…見たなぁああああ!」


 すると、彼はブラックホールを生み出し、アーティファクトと共にその中へと消えていく。この様子だと、また逃げるつもりのようだ。


「絶対に逃がすか!」


 逃げる絶望の本体に、永戸は迷わずブラックホールの中に飛び込み、奴を追いかけた。


「永戸さん!」

「必ず帰る! だから!! 絶対に、世界を救うぞ!」

「っ……はいっ!」


 そうして永戸は神癒奈と約束をし、ブラックホールの中へと消えていく。彼に世界を救うことを託された神癒奈は、そのブラックホールが消えた後、振り返って達海だった化け物に目を向けた


「四課の皆さん! 私たちは…こいつを、倒しますよ!」

『応っ!』


 消えていく黒い影を取り込みながら巨大化したなり損ないに、四課の全員が振り向く、そして、全員が武器を構えた。

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