四課の絆
四課のオフィスの武器庫から持てる限りの武器を持ち出し永戸と神癒奈は天界に転移をしようと準備をしていた、その時だった。
「私を置いてどこへ向かう気ですか、ご主人様」
「っ…フィーネ」
「…フィアネリスさん」
気がつくと、フィアネリスがそこに立っていた。彼女には隠し事をしてもダメかと2人は思う。
「世紀の大決戦に私をお呼びにならないとは、従者として悲しゅうございます」
「フィーネを巻き込むわけにはいけないと思って」
「……そんな水臭いことを言わないでください、貴方達と"私達"は同じ部隊の仲間ではありませんか?」
そう言うとフィアネリスはドアを開ける。すると、そこには、四課のメンバーが全員揃っていた。
「君達が何をしでかすかはわからないが、世界を救う行為なんだろう、私も、共に行こう」
「ライ…!」
いつもの爽やかな笑顔で、ライが部屋に入り、永戸と握手をする。
「私1人の力で何ができるかわからないけど、神癒奈ちゃんと永戸先輩の役にたちたいな」
「コリーさん…!」
コリーが部屋に入ると、武器庫から銃を持ち出してきていた。
「大切な友人の為です。私も、恐れずに立ち向かいますよ」
「エイルさんっ!」
相変わらず狭そうに部屋に入ると、エイルは微笑んだ。
「そうそう、きりちゃん達がいるのに、2人だけでなんとかしようとするなんて、水臭いったらありゃしないっすよ」
「桐枝…!」
自分の聖剣を背中に背負うと、桐枝は笑って手を振る。
「アタシだって国を潰されたのよ、このままみすみす逃がすかっての、アタシだって行くわよ」
「リオーネさん!」
いつものように高飛車な態度で、リオーネが部屋に入ると胸を張る。
「…君達が成そうとすることが非常に困難である事は理解している、だが、この老骨の隊長にも、その大切な役目を手伝わせてくれないか?」
「課長っ!」
最後にユリウスが部屋に入り、四課全員が、部屋にそろった。
「皆さん……今回はあの絶望、アズウルとの戦いになります、アレと真正面からぶつかります、覚悟は……できてますか?」
「はい、どこまでもついて行きます」
「ああ、覚悟ならできている」
「はい! 全力で援護するから!」
「ええ、今度こそ…世界を守ります」
「うん、きりちゃんの凄いとこ、見せるっすよ」
「当たり前よ、あいつらに一発かまさなきゃ」
「…うむ、もう、恐れはしない」
すると、全員が拳を突き出し、重ね合わせた。
「人類が滅ぶか救われるかが決まる作戦だ、あのクソ野郎と、必ず決着をつけるぞ!」
『応っ!』
九人の戦士達の意思は揃い、全員は出撃準備へと入った。
ーーー
そして、彼らは天界へと辿り着く。そこは、すでに汚染がされていて、あちこちが絶望の泥で侵食していた。ところどころで戦闘の音が聞こえる辺り、こちらも抵抗が続いてるらしい。
「すごいっす……ここが天界……なんすね」
「あ、足を踏み外したら地面まで真っ逆様なのでお気をつけを」
「それを先に行ってほしかったっすね⁉︎」
ひぃー! っと桐枝が通路の端から天界を覗いていたがフィアネリスに警告されて端から離れる。
「…目標、ゼウス神のいた神の座の確保! ルートは特定できてるか?」
「前回行きましたからね、道はしっかりと覚えております」
「よし、行くぞ!」
ゼウスの神殿へむけて、四課のメンバー全員が走り出した。今回の作戦において、彼らは特別な装備が用意された。以前倒した108支部の処刑隊が装備していたワイヤーユニットを鹵獲して改良したコンパクトな立体移動用ブースターをエイル以外が装備した。
そのおかげで、立体的かつ開放的な天界での移動がスムーズに行えた。
「敵を捕捉!」
「本命はアズウルだ! 弾薬はなるべく残して戦え!」
目の前に立ちはだかる敵を、全員で薙ぎ払いながら進む。
数え切れないほどの敵が待ち構えていたが、彼らは恐れず、胸に希望を抱え、闇を切り払った。
「いける! たおせる!」
「絶望しなければ、我々も戦えると言うことだ! 総員、決死の覚悟を持て!」
これほど大量の敵は大戦以来だろう、永戸やフィアネリス、ユリウスが先陣を切りながら大量の敵を薙ぎ払う。
すると、地面が崩れ、下から巨大な山のような怪物が現れた
「吹き飛べーーーっ!」
目の前に現れた怪物を、桐枝が聖剣の一振りで風穴を開けた。そして、空いた穴から全員がワイヤーで駆け抜けていく。
「道がない!」
「だったら!」
「作るまでだ!」
道がないところを神癒奈の世界の改変機能によって階段が作られ、残すはライのバリアで道が作られる。
「またでっかいのが⁉︎」
「邪魔なのよ! こんのぉおおおおっ!」
再び巨大な怪物が現れるが、その時リオーネがドラゴンの姿となった。そのリオーネの姿は、山よりも巨大な姿で、怪物の首元に噛み付くと、ブレスで焼き殺した。
「道を封鎖します!」
「手榴弾投げるよ!」
エイルが爆薬をばら撒き、コリーが手榴弾を投げて起爆する。その直後、通ってきた道がなくなり、魔物達がこちらに来れなくなった。
「もうすぐ目的の神殿です!」
「駆け抜けるぞ!」
『うおおおおおおっ!』
全員が一丸となって一つの塊となり、敵の妨害を乗り越え、神殿に辿り着く。そこは、かつて神癒奈が来た時と変わらない風景になっていた…だが。
「お父さん!」
神癒奈の父…ゼウス神ことジュリアスが端の方で倒れていた、闇に体を縛り付けられ、意識もなくなっている状態だ。
「…来たか」
神の座の方から声が聞こえる。
そこにはアズウルがゆったりとした体勢で座っていた。周りには各世界の景色が映され、絶望に飲み込まれていくのが見えた。
「みんな絶望してこないかと思っていたけど、よくもまぁ、これだけの人数が来れたものだね、褒めてあげるよ」
アズウルは立ち上がると、ゆっくりと神の座から降りてくる。そして、全員に目を向けた。
暗闇から大量の目が全員を射抜くように見つめる。だが、全員、恐れを感じずに各々の武器を構えた。
「それでも、たった九人、僕の勇者の軍勢に比べれば、圧倒的に数が少ない」
そう言うと、アズウルは召喚陣を大量に展開し、ある者達を召喚した。
「これは……」
「街の…皆さん!!」
そう、召喚されたのはかつてミズガルズに住んでいた住民だった。それも、永戸達と比較的仲が良かった者たちばかり。それら全てが、勇者としての力を得て召喚された。彼らのその手には、アーティファクトがそれぞれ握られている、そしてその中心には…。
「おお、絶望の神様、彼らこそが、聖戦の最後の敵なのですね!」
「達海さん!」
狂気の笑みを浮かべながら剣を掲げる達海がいた。
こちらは九人、相手は達海を含めた勇者として操られた街の住民達と絶望の根源であるアズウル。戦力差は確かに歴然の差だ。だが……それでも彼らは、掲げた武器を下さなかった。
「……ほう、これだけの戦力差でも、まだ抗おうと言うんだ、君達にとって大切な人たちでもあるんだぞ? 果たして殺せるのかな?」
「もう誰1人として犠牲者は出させはしない、必ず、お前を、倒す!」
「行きますよ! これが…最後の戦いです!」
そうして、彼らはアズウルに最後の戦いを挑み始めた。




