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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第十一章 String of Spider!
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インターバル

 コロシアム最強の選手を破ったことはすぐに驚愕の嵐となった。

 控え室の選手は皆神癒奈達を見て恐れ慄き、スタッフ達もお抱えの選手が倒れたことに驚きを隠さずにいた。


「この感じなら勝つのは余裕そうですね」

「どうでしょう……相手次第にもよりますが」


 見たところ他に強そうな選手はいない、後は適当に戦ってサレンダーさせれば勝てる相手ばかりだ、本気で傷つける必要性はない。


『ええ、そうですね、まだ気を抜くことはできないでしょう』

「? 何故ですか?」

『自陣のお抱えの選手を失えばこのコロシアム初の勝者が生まれてしまうのは当然のこと、彼らは何かしらの妨害で勝たせないようにするでしょう』

「ええ、それはありえますね…」


 確かにこのままでは元手となるコロシアムは破産ものだ。何かしらの妨害は覚悟したほうがいいだろう。


『少し探ってみます、お二方は次の勝負まで体を休ませておいてください、サポーターは呼んでますので』

「サポーター?」

「えへへ〜、きりちゃんのことっすよ」


 すると、控え室の中に桐枝が荷物を持って入ってきた。


「2人とも一回の戦闘でお疲れだと思うので、効くやつ持ってきたっす」


 そう言うとバッグからコーラを出してきた。何故にコーラ? と2人は首を傾げる。


「じゃーん、定番の炭酸抜きコーラっす、おいおいおいやられるわアイツって感じっすけど、糖分は摂取しておかないと、あー後回復用のアンプルもあるっす、マッサージもしてやれるっすよー」

「アンプルまで…でもこれ使っていいんですか? ドーピングになるんじゃ?」

「ここのコロシアムは勝てればなんでもいいっす、さっきの選手みたいにゴリゴリにドーピングを受けた選手も過去にいたとか、まぁあの無敵の選手だったから勝てなかったんすけどね」


 成る程、と思うと2人は回復用のアンプルを打ち込む。喉を通る爽やかなコーラと相まって、全身の傷や疲れが抜けていくような感じがした。


「んじゃ、失礼するっすよ、何か用があったらEフォンで呼んで欲しいっす」


 そう言うと桐枝は控え室から去っていった。

 桐枝が去った後、2人は次の出番まで休むことにした。

 その後、2人は順調に勝ち進み、優勝へと駒をどんどん進めていく。


 ーーー


「さて、ここからは諜報担当の仕事ですね」


 コロシアムの状況を天窓から見ていたフィアネリス、彼女は、窓から目を離すと目を閉じて、全知の能力を発動させると、コロシアム内部の様子を探り始めた。


「試合している選手は…どうでもいいですね、どの相手もネームドクラスの強さはございません、神癒奈さんとエイルさんなら余裕で勝てそうですね、では裏方の方は…」


 裏方の方を確認すると、案の定大変な事になっていた。コロシアムの主催者は慌てふためきながらスタッフに怒鳴り散らしていた。


『我がコロシアム最強の戦士、ヤークトベアーが倒れただと⁉︎ この施術にどれだけの予算を費やしたと思う! それだけじゃない! このままだとあの挑戦者にアーティファクトが渡ってしまうじゃないか! まだアレで稼ぎきってないんだぞ!』

「あーあー、人の闇が映し出されてますねぇ」


 くくくと悪い笑みを浮かべながらフィアネリスはそれを眺めていく。


『どんな手段を使ってもかまわん! 絶対にあの挑戦者にアーティファクトを渡すな!』


 そう言うと主催の言う通りにスタッフがあちらこちらに奔走し始めた。フィアネリスはスタッフの動きも追いかける。


『コロシアムの設定をデスマッチにしろ!』


 会場のセッティングルームで、スタッフがその言葉を言うと、コロシアムの構造が切り替わり、外側のへりが開くと、下から鋭い棘が覗かせてきた。


『だ、誰ですかあなた⁉︎』

『コロシアムのスタッフの者です、私達と取引をしましょう、あの強い挑戦者を倒す代わりにあなたを優勝できるようになる力を授けます』

『や、やめてください! 僕達はあくまで市民権が欲しいだけで、あっが…ぁああああああっ!』


 神癒奈達と別の控え室の方では、次に神癒奈と当たる選手に向けて、スタッフがなんらかのアンプルを打ち込んでいた。それを打ち込まれた選手達は、身体の構造がごきごきと変化していくと、殺意に満ちた闘技者にへと変わる。


「あからさまな手を打ってきましたね……っ!」


 状況を眺めているフィアネリスだが、ここで、貴賓席の方にいるリオーネの方をのぞいた。


『ちょっと何よアンタ達、VIPルームに勝手に入り込んでくるなんて、なんのつもり?』

『失礼ですがレディ、今から貴方には我々に従って貰います』


 するとスタッフが、リオーネに向けて銃を構えるのが見えた。

 すぐさまフィアネリスは現場にいるメンバーに連絡を取る


「不味い……リオーネさんを人質に取られてしまっては! マスター! 聞こえますか⁉︎」

『ああ、聞こえてるよ、リオーネが人質にされたんだろう?』

「隠密でリオーネ様を救い出すことはできますか⁉︎」

『任せておけ』


 会場を観客席から眺めていた永戸が動き出す。


「ここからは、互いの化かしあいになりますよ、皆様、気を引き締めてください」


 ーーー


 会場の方では波乱が続いていた。


『次からは! よりハードな戦いとなるデスマッチモードだぁ!外堀の奈落に落ちれば、鋭い針で全身を串刺しにさせられるぞぉ!』


 司会の声を聞きながら、神癒奈達は第二試合の会場へと向かう、その途中だった。


「挑戦者フォクシルとラクネール、お前達に告げるべきことがある」

「なんでしょうか?」


 会場のスタッフが急に話しかけてきた。神癒奈達は警戒をしながら話を聞くがここでスタッフは2人に現状を突きつけてきた。


「君達を選手として登録させたリオーネ嬢は今、人質として捕らえている、もし殺されたくなければ次の試合で負けろ」

「そんな⁉︎」


 リオーネが人質に取られたと知って2人は驚愕する。


「そんなことを言われても…!」

「負けなければ彼女を殺す、分かったのならさっさと行け」


 そう言われると控え室への門が閉められた。2人は焦るように見つめ合う


「どうしましょう⁉︎ リオーネさんが!」

「不味い状況です…フィアネリスさんが何か対策を立ててくれれば良いのですが」


 2人は焦る思いで会場に向かう。会場は観客が大騒ぎする空気となっており、貴賓席を見れば、後ろから銃口を突きつけられたリオーネの姿がかすかに見えた。


「さぁ、やってきたのは、本コロシアムの最強の戦士、ヤークトベアーを倒した勇士、謎の挑戦者フォクシルとラクネール、先程の強さは運だったのか、それとも実力だったのか、次の試合でわかります! 次の試合は! この2人と、市民権を求めてやってきた亜人達との勝負だぁ!」


 神癒奈とエイルは正面を見る、すると、姿が異様なものになった亜人の参加者が現れた。


『おっとぉ⁉︎ 亜人側の選手の様子が何やらおかしいようです! 何かのドーピングでも受けたのでしょうか⁉︎」


 明らかに人の形から外れつつある亜人達が目の前に現れ、神癒奈は息を呑んだ。


『2人とも! リオーネさんはマスターがなんとかします、2人は試合でどうにか生き残ってください!』


 フィアネリスからの通達を聞き、2人は顔を合わせると互いに頷いた。


『さぁ! 謎の挑戦者か、力を得た戦士達か、混沌の戦いとなる試合の幕開けだぁ!』


 2人は、暴走する亜人達に向けて走り出した。

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