サイドキッカー
神癒奈達が試合を始めた頃、永戸は通路を進み、VIPルームへと進んでいく。
『マスター、時間はありません、神癒奈さん達がなんとか誤魔化していてくれてますが、いつリオーネさんが撃たれるか…』
「分かってる、部屋までもう少しだ、あとは任せろ」
VIPルームの部屋前に到達するが、やはりと言うべきか警備の人がいた。
「少々手荒に行くぞ」
零を起動し、時間の流れが止まった中で歩き、警備の首にナイフを突き刺して静かに殺す。
中から怪しまれてないか少しだけ耳をすまして、永戸はドアを蹴破って中に突入した
「んなっ⁉︎ 何者だ⁉︎」
「リオーネ、頭を下げてろ!」
「っ! あーもう!」
リオーネが頭を下げた瞬間、意識を加速させ、スローになった視界の中でブレイズエッジを的確に人質にしていたスタッフ達に撃ち込んだ。
スタッフを倒すと、永戸はリオーネに駆け寄る。
「無事か?」
「アンタはいちいち仲間をピンチに晒さないと気が済まないタチなの⁉︎」
「すまん、最短のやり方がこれしか思いつかなかった」
「不敬にも程があるわ、仮にも女王なのに」
ぶつぶつうるさいなと永戸はリオーネを立たせるが、通路の方から人が来る音が聞こえた。
「気づかれたか、俺のコートを貸す、防刃防弾の特殊繊維でできてる、その辺の雑魚の攻撃なら防げる」
「アンタはどうするのよ?」
「これから来るスタッフ共と派手に銃撃戦さ」
そういうと永戸は再びドアを開けて今度は外に出る、すると数名の警備兵が武器を持ってこちらにきていた。
「そろそろ正体を隠すのもキツくなってきたな!」
警備兵が剣を振るうが永戸はガンブレードで防ぐとそのまま押し返す。押し返した途端他の警備兵がマシンガンを連射するが、別の時間軸に存在をずらし、攻撃を避けた。
「銃弾がすり抜け…⁉︎」
「黙ってろ」
ガンブレードを一回転させ、警備兵を纏めて倒す。
だが、次々と警備兵が湧いて出てくる。
「数が多いな!」
ブレイズエッジを撃ちつつも攻撃を弾く。敵の質は低いが、その分数で襲ってきた。
「特別仕様の魔力弾だ、当たれっ!」
その時、永戸の銃から強力なマグナム弾が撃たれ、敵に命中すると、周囲の人を巻き込んで粉砕した。
「条約違反物だけど裏路地なら関係ないよな?」
その場に死体がたくさん積み上がり、永戸は敵が来ないか確認したら走り出した。
「桐枝、試合の方はいい、百獣の王冠が持ち出して取られないよう死ぬ気で守れ、逃げるための準備はしておく」
『うええええ⁉︎ ちょっと無理な注文じゃないっすかね⁉︎ ここまで荒事にしたら絶対相手が先に持ち出そうとするっすよ⁉︎』
「しのごの言ってる場合じゃないんだ、王冠を先に取ってこい」
通信を切ると永戸も走り出す、行き先は裏路地に停めてある四課のバイクだった。ふと、試合会場の神癒奈達の方をチラリと見れば、向こうも向こうで順調に戦っていた。
ーーー
試合を行っていた神癒奈達は異形と化した亜人と戦っていた。戦闘能力は確かに一般人より上昇しているが、2人の敵ではない。
だが、なんとかして負けそうな雰囲気を出して時間を稼いでいた。
「くっうぅううっ…!」
神癒奈が場外ギリギリで耐えるが、一歩下がれば針地獄が待っている、刀で切り返すと、なんとか中央に戻した。
「縛り上げますっ!」
エイルも糸を吐くと亜人の身体を縛り上げるが、よほど力があるのか、力づくで引きちぎられてしまった。その時だった。
『百獣の王冠を確保したっす! リオーネさんも無事、撤退するっすよ!』
『神癒奈さんエイルさん! これが限界です! 今すぐ逃げてください!』
観客席と司会の席の方を見ると、王冠を抱えて外へ向かって走る桐枝とリオーネがいた。
2人の様子を確認した神癒奈は一瞬で亜人を切り伏せると、同じく亜人を倒したエイルに乗り、会場からの脱出を図る。
『おーっと! なんということでしょう挑戦者フォクシルとラクネール、王冠を抱えた人に向かって行っています…えっ王冠が何故あそこに⁉︎』
司会が驚く中、神癒奈達は外に出ようとするがその時、入口と全ての窓のシャッターが下ろされてしまった。
「っ! 出られない⁉︎」
「どいてください!」
神癒奈がシャッターに向けて斬撃を放つと、刀自体は折れてしまったが、外への道が開かれた。
「逃がすな! 奴らはコロシアムの商売の邪魔をした! 裏路地の仲間を呼びかけて血祭りに上げろ!」
主催が叫ぶ声が聞こえ、背後から沢山の人が武器を持って迫るが、その時、四課のバイクと装甲車が来た。
「王冠をこっちに寄越せ!」
「はいっす!」
王冠が桐枝から永戸に手渡され、永戸はすぐにバイクを出した、神癒奈達も急いで装甲車に乗る。
「やぁ、随分とお急ぎのようじゃないか、行き先はどこだい?」
「冗談言う暇あるなら早く運転なさい! ライ!」
ライに運転を任せ、神癒奈達も出発した。




