↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
17/27

第十五話 メクジラ町へ

 翌日。


 俺達は宿場町イソルカを出て、再びメクジラ町へと歩き始めた。


 町を出ると街道が敷かれており、メクジラ町までは比較的安全に進めるようだ。


 しかし、メクジラ町へ近づくにつれ、段々と霧が出始め、視界が悪くなってきた。


 道が石畳で舗装されていなければ、道に迷っていたところであった。


「霧が深いわね……」


「前が見えづらいのう」


「お兄ちゃん。はぐれないように、手、繋いで良い?」


「うん。離れないようにね」


「やったー!えへへ~」


 俺は右手でメリアの左手を掴み、繋ぐ。


「むっ、ズルいぞ。我が主人よ、もう片方の手が空いておろう?妾も繋いで良いか?」


「良いよ。はい」


 続けて俺は、空いていた左手でペグリルの右手を繋いだ。


「……ねえ、ベクタ。街に着いたら……私も、手……繋いでもらっても良いかしら」


「良いけど……ペグリルかメリア、どっちかと交代しなきゃだね」


「なら、妾が肩車してもらえば左手は空くぞ」


「名案ね」


「俺は要塞か何かですか?」


 両手に加えて肩まで塞がるのは聞いてません。


「お兄ちゃん、手の繋ぎ方変えよっ」


「変えるって、どんな風に?」


「手の平と平を合わせて、指を絡ませて」


「兄妹でやるかぁ?それ」


 恋人繋ぎですやん。


「ダメ?」


「ダメではないけど」


「じゃあやろっ!」


 メリアは俺の右手をぎゅっと握り直した。


「その……ベクタ。私も……」


「じゃあ、街に着いたら交代しようか。ペグリル、お願いできる?」


「じゃあ妾は街に着いたら肩車してもらうかのう」


「マジかぁ……」


 こうして、俺はメクジラ町に到着するまでの間、右手でメリアに恋人繋ぎをしつつ、左手でペグリルの小さな手を握りながら歩いたのであった。


 そうこうしている間にも、どんどん霧は深くなっていく。


 そして三日後、メクジラ町に到着する頃には、数メートル先さえ白みがかって見てない程にまで、霧は濃くなっていた。


「……どうぞ、お入りください」


 メクジラ町、南門前。


 俺達が門番を探していると、門番の方からやってきて、あっさりと許可をもらえた。


 セキュリティが緩い町なのか、特に身分証を提示する必要も無いようだ。


 さて、俺はこうして、右手にメリア、左手にアリサ、そして肩にはぺグリルという、騎馬戦もびっくりな状態で町へ入った訳だが、どうにも町の様子に違和感を覚えてしまった。


 おそらく住民であろう人達は皆、下を向き、何かをぶつぶつと呟いているのだ。


「何か……不気味な町だね」


 陰気くさいと言うのだろうか。


 道行く人もそうだが、街そのものにも活気が無いように見える。


「妙な臭いがするのう……」


「生臭いわよね。水揚げでもしてるのかしら」


「そんな街中に臭いが広がることなんてある?」


「でも、そうとしか思えないわよ」


 アリサはいよいよ鼻をつまみ始めた。


 活気の無い町を一通り巡って、気づいたことがある。


 まず、人通りが少な過ぎるのだ。


 一周するには一時間ちょっとかかる町であるにもかかわらず、すれ違ったのはたったの四人だった。


 そして、町中が生臭いのだ。


 どこへ行っても生臭いが故、どこへ行ってもアリサが鼻をつまんでいた。


 俺達は宿酒場の二階にある四人部屋へチェックインを済ませ、部屋の真ん中に座って話を始める。


「この町……何かおかしくない?」


「そうね。ずっと思っていたわ」


「人間の町はもっと賑わっておるハズじゃ。イソルカより大きな町で、これしか人通りが無いのは妙であると言えるのう」


「何かこの町……怖い……」


「この町には、何かがあるような気がする」


「そうね。明日の朝が訪れたら……調査に出ましょう」


「ここはただの町では無い。それは確かなようじゃの」


 気がつけば、外はすっかり夜になっていた。


 霧はさらに濃くなっており、何をするにも危険な状態だ。


 俺達は一階の酒場で夕食を済ませ、特に出来ることもないため、早く寝ることにした。


「お休み~」


 それから俺達はベッドに入り、すぐ眠りにつく。


 しかし俺が意識を手放してから数時間後。


「ベクタ、ベクタ」


 以前に聞いたことがある、しかしパーティメンバーとは違う、女性の声。


「シン、様……?」


 目を覚ますと、そこはやはり真っ暗な空間で、目の前には月の女神を自称するシン様の姿があった。


「眠っているところごめんなさい。一つ、警告をしなければと思いまして……」


「警告ですか?あ、それより、ありがとうございます。おかげさまでメリアの病気は良くなりました」


 そして、俺はシン様から衝撃の事実を伝えられた。


「それなのですが……。確かに、妹さんの病気は良くなりました。ですが……妹さんの寿命は、あと一ヶ月と少ししか無いんです。そういう運命なんです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。