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黎明の光と若返った家族 異世界再誕録  作者: たま


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七話 忘却の迷宮と「オーパーツ」の収穫

数ある作品の中から本作をお選びいただき、ありがとうございます。

拙い部分もあるかと思いますが、最後までお楽しみいただければ嬉しいです。

七話 忘却の迷宮と「オーパーツ」の収穫


チャチャとの再会を経て、僕たち家族の士気は最高潮に達していた。しかし、帝国の魔導兵器に対抗し、この世界で「絶対的な自立」を確立するためには、まだ足りないものがある。

それは、現代知識を形にするための超高純度の魔導素材と、魔法の術理を超越した「古代の遺物アーティファクト」だ。

「アステリアの南西、霧の谷にある『忘却の迷宮』……。そこには旧時代の賢者が遺した、物質の法則を無視するようなアイテムが眠っているらしいわ」

母さんが大学の禁書庫から持ち出した古地図を広げる。

父さんは愛剣を確かめ、大樹兄さんは軽く拳を合わせて空気を爆ぜさせた。

「よし、家族総出の初ダンジョン・アタックといこうか」

「忘却の迷宮」は、入り口からして異様だった。空間が歪み、物理的な距離感が通用しない。並の冒険者なら一歩踏み出しただけで発狂するような場所だが、僕たちには「科学」と「野生」の目がある。

「真央、風で通路の『反響』を取って。僕がそれを立体図(3Dマップ)にする。チャチャは……空間の『揺らぎ』を監視してて」

「了解! 風の耳、展開!」

真央姉さんの放った不可視の振動が、迷宮の奥深くをスキャンする。僕は「思考加速」の指輪を通じ、脳内に迷宮の全容をワイヤーフレームで描き出した。

チャチャは僕の肩の上で、青い瞳を細める。空間が不自然に歪もうとするたび、チャチャが「フッ」と短く鳴くと、歪みは凍りついたように静止した。

「右から来るぞ。熱源反応……いや、魔力反応大!」

迷宮の守護者である「鋼鉄のゴーレム」が壁を突き破って現れる。並の魔法では傷一つ付かない硬度だが、大樹兄さんが一瞬で間合いを詰めた。

「ただの硬さなんて、振動を通せば紙と同じだ。……極点破壊!」

兄さんの拳がゴーレムの胸に触れた瞬間、超高周波の振動が内部機構を粉砕する。

「父さん、トドメ!」

「おうっ!」

父さんの魔剣が、内部から崩壊したゴーレムを一刀両断し、高熱で核を焼き切った。

迷宮の最深部、そこには重力すら無視して浮遊する、白銀の小部屋があった。

「……これは、すごい」

母さんが息を呑む。

そこにあったのは、金銀財宝ではない。

透明なカプセルに収められた、虹色に明滅する液体金属――『オリハルコン・フルイド(流体魔鋼)』。そして、古びた、けれど異彩を放つ一振りの「杖」と、一つの「球体」だった。

「拓海、これはお前のためのものじゃないか?」

父さんが指差したのは、その「球体」だった。

手に取ると、僕の脳内に膨大な情報が流れ込んできた。

【鑑定結果 叡智のオーブ(演算補佐型魔導電算機)】

前時代の賢者が作成した、術者の思考を数万倍にブーストし、並列処理を可能にする遺物。

「これがあれば……僕の『思考加速』をさらに拡張できる。魔法の多重構築だけじゃない、街全体の防衛システムを一人で遠隔操作することだって可能になるよ」

さらに、母さんが見つけた「流体魔鋼」は、形状記憶と魔力伝導率100%を誇る究極の素材だ。

「これを使えば、拓海の設計図にある『魔導パワードスーツ』や『自律防衛ビット』が作れるわ。もう、帝国なんて怖くないわね」

そして、真央姉さんが宝箱の隅から見つけたのは、小さな鈴がついた、銀色の繊細な首輪だった。

「チャチャ、これ、あなたに似合うと思うわ」

真央姉さんがチャチャの首にそれをつけると、鈴が「チリン」と澄んだ音を立てた。

その瞬間、チャチャの体から溢れていた過剰な冷気が収まり、その姿がより洗練されたものへと変化した。

【鑑定結果 神獣の枷(魔力安定化装置)】

強大な魔力を持つ獣の力を制御し、知能と意思疎通能力を飛躍的に高める装具。

「ニャ……ア、タクミ。お腹……空いた」

「「「「えっ!?」」」」

家族全員が驚愕の声を上げた。チャチャが、念話のような形で、直接脳内に語りかけてきたのだ。

チャチャは少し照れくさそうに尻尾を振り、僕の頬をペロリと舐めた。

「これからも……一緒。タクミ。パパ。ママ。ダイキ。マオ」

その幼い、けれど確かな温もりのある声に、僕たちの目から自然と涙が溢れた。

アイテムゲットどころじゃない。僕たちは「言葉」という、何よりも大切な絆を再び手に入れたのだ。

迷宮を出ると、外は満天の星空だった。

手に入れた流体魔鋼、叡智のオーブ、そして言葉を得たチャチャ。

今回の「収穫」は、僕たち家族がこの世界で「無双」するための、最後の準備が整ったことを意味していた。

「さあ、帰ろう。手に入れた素材で、まずは母さんのキッチンの魔導コンロを最新型にするよ」

僕が冗談めかして言うと、みんなが笑った。

アステリアの街へ続く道を歩きながら、僕は手に入れた「オーブ」を握りしめた。

帝国の軍勢が来ようと、古の魔王が目覚めようと、関係ない。

この最強の家族と、喋るようになった愛猫。

この「僕たちの世界」を守るためなら、僕は何度でも、世界が驚愕するような発明をしてみせる。

家族の笑い声と、チャチャの鈴の音。

それが夜の静寂に響き渡り、僕たちの二度目の人生は、より鮮やかに、より力強く、輝きを増していくのだった。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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