表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黎明の光と若返った家族 異世界再誕録  作者: たま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/29

二十七話 世界の改修

数ある作品の中から本作をお選びいただき、ありがとうございます。

拙い部分もあるかと思いますが、最後までお楽しみいただければ嬉しいです。

二十七話 世界の改修


海底図書館を「増築」した我が家は、もはや一つの国家に匹敵する演算能力を手に入れていた。エルの膨大な知識と僕の現代知識、そして母さんの精密な魔力制御が組み合わさり、リビングのテーブルの上には「世界魔力循環図」がホログラムで投影されている。

「拓海様、解析が完了しました。現在、この大陸の魔力は特定の山脈に滞留し、末端の村々には届いていません。これが飢饉や魔物の凶暴化の原因です」

エルの無機質な報告を聞きながら、僕はペンを走らせる。

「要は『インフラ』が整ってないんだね。よし、世界の魔力パイプラインを掃除しよう。父さん、大樹兄さん、重力石の『中継プラグ』を各地の霊山に打ち込んでくれるかな?」

「任せろ。ちょうど新しい魔剣の切れ味を試したかったんだ」

父さんが頼もしく笑う。

数日後、僕たちは空飛ぶ家を走らせ、大陸中の滞留ポイントを回った。

父さんと兄さんが岩山を切り拓き、そこに僕が作った魔力安定装置を設置していく。すると、淀んでいた空気は一変し、枯れていた川には清らかな水が戻り、痩せていた土壌には緑が芽吹き始めた。

「見て! あんなに荒れていた村に、花が咲いていくわ!」

真央姉さんが窓から外を見て歓声を上げる。

僕たちが移動するたび、世界は急速に「リフォーム」されていった。

しかし、その様子を帝国の最深部から見つめている男がいた。ヴァルガン宰相だ。彼は「パフェ」の美味しさに一度は屈しかけたが、あまりにも巨大すぎる僕たちの力に、最後の恐怖を感じていた。

「……あの一家は、神になろうとしているのか。あるいは、世界そのものを自分たちの『庭』に変えるつもりか」

ヴァルガンは震える手で、帝国の禁忌とされる「次元干渉爆弾」の起動スイッチを見つめていた。それは、この世界の理を壊してでも、自分たちの制御不能な存在を消し去るための最後の手段。

その時、僕たちの家のインターホンが鳴った。

「あら、ヴァルガンさんじゃない。ちょうどよかった、今夜は『リフォーム完了記念』の特製ビーフシチューよ。最高級の魔導牛が手に入ったの」

母さんの通信魔法が、帝国の玉座にまで直接響き渡る。

ヴァルガンの目から、ポロリと涙がこぼれた。

「……スイッチなど、最初からいらんかったのだ。私は、ただあのシチューの香りに包まれて眠りたかっただけなのだ……」

帝国最強の知性は、ついに完全に「隣人」として白旗を上げた。

「タクミ。みんな。幸せ。ボクも。幸せ。世界も。おいしい。これで。完璧」

チャチャが僕の肩に乗り、満足そうに喉を鳴らす。

僕たちは神になりたいわけじゃない。ただ、家族全員で美味しいものを食べ、明日も明後日も、この美しい景色の中で笑い合いたいだけだ。

「さあ、みんな! 帰ってご飯にしよう!」

僕の号令と共に、空飛ぶ家は夕焼けに染まるアステリアの街へと、ゆっくりと舵を切った。

そこには、僕たちが守り、作り変えた、新しく温かい世界が広がっていた。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

誤字脱字のご連絡ありがとうございます。

感想もいつも励みになっております。

少しでも楽しんでいただけたなら、

評価やブックマークで応援していただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ