表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黎明の光と若返った家族 異世界再誕録  作者: たま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/29

二十三話 畑を作ろう

数ある作品の中から本作をお選びいただき、ありがとうございます。

拙い部分もあるかと思いますが、最後までお楽しみいただければ嬉しいです。

二十三話 畑を作ろう


天翼族との交流と「苺パフェ外交」を経て、僕たちの空飛ぶ家は、もはや単なる拠点ではなく「移動する理想郷」としての風格を漂わせ始めていた。

けれど、母さんがふと、雲の上を流れる風を見つめながら呟いた。

「ねえ拓海。これだけ美味しい苺やお肉があるのは幸せだけど……やっぱり、自分で土を触って育てた、採れたての野菜が食べたいわ。前世の庭で作った、あの不格好だけど甘いトマトみたいに」

その一言で、次なるプロジェクトが決定した。

「空中浮遊農園・スカイガーデン」の建設だ。

僕は家の裏手に、流体魔鋼のフレームを拡張し、透明な魔導ガラスで覆われた巨大なサンルームを増設した。

土壌 大樹兄さんが地上から運んできた肥沃な土に、僕が開発した「高濃度魔力肥料」を配合。

水分 真央姉さんが雲から直接抽出する、不純物ゼロの「純粋精霊水」。

日光 重力石のプリズム効果で、二十四時間、植物の成長に最適な波長の光を照射。

「カレンさん、植物の成長を阻害する害虫の魔力波長を特定して。防虫シールドの調整をお願い」

「承知いたしました、拓海様。帝国暗殺術の『気配察知』を、アブラムシ一匹逃さない監視網へと転換しますわ!」

カレンはすっかり「敏腕農園マネージャー」の顔になっていた。

「よし、やるわよ!」

母さんの指揮のもと、家族全員で苗を植えていく。

トマト、キュウリ、ナス、そしてこの世界特有の「魔導ジャガイモ」。

リ口ちゃんも泥だらけになりながら、楽しそうに苗を運んでいる。

「ママ、見て! 土がポカポカしてて、命が動いてるみたい!」

「そうね、リ口。これが『育てる』ってことなのよ」

チャチャはというと、温かい温室の特等席で、猫草ならぬ「特製神獣草」の種を蒔いた。

「ボク。ここ。好き。太陽。近い。お昼寝。しながら。育てる。念力で。大きく。なあれ」

チャチャが欠伸をしながら魔力を放つと、植えたばかりの苗が目に見える速さでニョキニョキと育ち始めた。

わずか数日で、農園は緑豊かな森のようになった。

真っ赤に実ったトマトを、母さんがその場で収穫し、包丁でスライスする。

「さあ、食べてみて!」

一口噛んだ瞬間、口の中に溢れ出したのは、驚くほど濃厚な甘みと、全身の細胞が活性化するような純粋な魔力。

「う、美味い……! 前世の野菜とは、エネルギーの密度が違いすぎる!」

大樹兄さんがガツガツとキュウリを頬張る。

「これなら、天翼族のみんなにも、もっとバランスの良い食生活を提案できるわね」

真央姉さんは、早くも「天空野菜のサラダバー」の構想を練り始めていた。

自前の農園を持ったことで、僕たちの「家」は完全に独立した生態系を手に入れた。

もう誰にも、何にも依存する必要はない。

空に浮かび、好きなものを育て、家族で笑いながら食べる。

その頃、地上では。

「報告します! ターゲットの家から、見たこともない高密度の植物反応を検知!……さらに、家から『採れたて野菜セット』が、天翼族の騎士経由で我が司令部にも届けられました!」

ゼノス将軍は、届けられたトマトのあまりの神々しさに、食べるのを躊躇していた。

「……毒見は必要ない。これは、平和の味だ」

将軍が一口食べた瞬間、帝国の侵略作戦は、正式に「農業技術提携」へとその名前を変えることになった。

「タクミ。次は。メロン。作りたい。ボク。丸ごと。食べたい」

チャチャの夢は、空の果てまで広がっていく。

僕たちの「家庭菜園」は、いつの間にか世界の食糧事情すら変えようとしていた。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

誤字脱字のご連絡ありがとうございます。

感想もいつも励みになっております。

少しでも楽しんでいただけたなら、

評価やブックマークで応援していただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ