表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黎明の光と若返った家族 異世界再誕録  作者: たま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/29

二十話 天翼族の里

数ある作品の中から本作をお選びいただき、ありがとうございます。

拙い部分もあるかと思いますが、最後までお楽しみいただければ嬉しいです。

二十話 天翼族の里


天翼族の騎士たちが「おかわり」を求めて列を作り始めた頃、我が家のリビングには、さらに奇妙な光景が広がっていた。

「拓海様、天翼族の生理機能を解析しましたわ。彼らの翼、実は魔力の放出器官でもありますのね。これ、うちの浮遊機関の排熱と同期させれば、もっと高度を上げられますわよ」

カレンがノートを手に、専門的なアドバイスをくれる。もはや彼女の脳内からは「帝国の任務」という言葉が消え去り、「いかにこの家を快適にアップデートするか」という技術者魂が燃え上がっていた。

「猫神様、そして空飛ぶ家の主よ。我が里の長が、ぜひ皆様を歓迎したいと申しております」

シフォンケーキを五個完食した騎士のリーダーが、恭しく頭を下げた。

どうやら、僕たちの「家」ごと、彼らの本拠地である超高度浮遊島『エリュシオン』へ招待されることになったらしい。

「いいじゃない、拓海。せっかく浮いたんだもの、どこまでも行きましょうよ」

母さんは、空の上で育つという「天空イチゴ」の話を聞いて、すっかりやる気満々だ。

「大樹、真央。空の旅を楽しもうか」

父さんが舵(といっても、僕が作った重力石制御のジョイスティックだ)を握る。

雲海を突き抜け、僕たちの家は伝説の浮遊島に到着した。

そこは、建物すべてが白銀と黄金で造られた、神秘的な都市だった。数千人の天翼族が集まり、空飛ぶ家を珍しそうに見上げている。

里の長老が現れ、チャチャを見るなりその場に膝をついた。

「おお……古の予言にあった『空を統べる白き福音』。まさか、このような四角い箱に乗って現れるとは……」

「これ。ボクの。お家。タクミが。作った。すごい。でしょ」

チャチャが自慢げに尻尾を立てる。

天翼族は僕たちを歓迎し、最高の「空の幸」でもてなしてくれた。けれど、彼らの料理はどれも素材をそのまま食べるスタイルで、少し味気ない。

そこで、母さんと真央姉さんが立ち上がった。

「カレンさん、リ口ちゃん、手伝って! 天翼族のみんなに、本当の『お祭り』を教えてあげましょう!」

アイテムボックスから取り出されたのは、大量の割り箸、タコ(のような魔物の足)、そして大量の小麦粉。

高度数千メートルの浮遊島に、香ばしいソースの香りが漂い始める。

「これは……『タコヤキ』というのか!? 脳が……脳が揺れるほどの美味だ!」

「この、シュワシュワする黒い飲みコーラは何だ!? 翼の羽毛が逆立つほどの爽快感だ!」

天翼族たちは、初めて体験する「屋台飯」に熱狂した。長老に至っては、かき氷を食べて「頭がキーンとする、これぞ神の洗礼か……!」と涙を流している。

一方その頃、地上では。

「報告します! ターゲットの家、高度五千メートルを突破! 現在、天翼族の本拠地にて……宴会をしております!」

「宴会だとおぉぉ!?」

ゼノス将軍の怒号が響く。帝国が何百年もかけて交渉すらできなかった天翼族を、あの家族はたった数時間の「食事」で懐柔してしまった。

だが、ヴァルガン宰相の目は笑っていなかった。

「……よかろう。天翼族を味方につけたつもりか。だが、空には空の、太古から眠る『掃除屋』がいることを忘れてもらっては困る」

ヴァルガンが禁忌の魔導書を開くと、浮遊島エリュシオンのさらに上空、成層圏付近の空間が歪み始めた。

帝国が召喚したのは、古の空の怪、『ベヒモス・スカイホエール』。雲を食らい、島をも飲み込む超巨大生物だ。


「……拓海、何か来るわ」

真央姉さんが空の「風」の変化を感じ取った。

チャチャも、食べていた天空イチゴを置き、空を見上げる。

「大きな。お魚。ボク。あんなの。食べられない」

青い空の向こうから、街一つを飲み込むほどの巨大な影が降りてくる。

僕たちの「空飛ぶ家」と、天翼族の平和を脅かす最大の試練。

「父さん、兄さん。お祭りは中断だ。……カレンさん、迎撃システムを最大出力に。重力石のエネルギーを、全門に回して!」

異世界家族の戦いは、ついに「怪獣大決戦」の様相を呈し始めていた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

誤字脱字のご連絡ありがとうございます。

感想もいつも励みになっております。

少しでも楽しんでいただけたなら、

評価やブックマークで応援していただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ