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黎明の光と若返った家族 異世界再誕録  作者: たま


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十話 家族の絆

数ある作品の中から本作をお選びいただき、ありがとうございます。

拙い部分もあるかと思いますが、最後までお楽しみいただければ嬉しいです。

十話 家族の絆


朝の光が食卓に差し込む中、僕の網膜には叡智のオーブが捉えた赤外線映像が直接投影されていた。街の外縁、精霊の森の境界線付近に、光学迷彩で姿を隠した集団が潜伏している。

帝国ガイストの隠密部隊。彼らは、昨日までのこの家を攻略するつもりでいる。けれど、昨夜のうちにここは、異世界の物理法則すら書き換えた要塞へと進化しているんだ。

「大樹兄さん、正面から三人が接近中。真央姉さん、裏手の路地に二人の狙撃手が配置されたよ。」

「了解。軽く準備運動してくる。」

大樹兄さんはトーストの最後の一口を飲み込むと、身体強化の魔力を足元に凝縮させた。床に響くはずの振動は、流体魔鋼の防護層が完全に吸収して音一つ立てない。

「私は風の弾丸で、狙撃手の視界を奪っておくわね。」

真央姉さんが指先で小さく円を描くと、家の周囲に発生した極微細な乱気流が、狙撃手のスコープを狂わせる。

父さんは静かに立ち上がり、リビングのソファに腰掛けたまま、膝の上に魔剣を置いた。

「拓海、迎撃の指揮はお前に任せる。俺たちはここを動かない。家族の団欒を邪魔させるな。」

「分かった、父さん。」

僕は思考を加速させ、家全体の魔力回路を全開にした。

帝国兵の一人が、我が家の玄関ポーチに足を踏み入れた瞬間、流体魔鋼が反応した。

空間固定、発動。

チャチャ。

「ニャア。」

チャチャの鈴がチリンと鳴る。踏み込んだ帝国兵の周囲数センチの空間が、絶対零度の静止へと叩き落とされた。彼は一歩も動けず、そのまま精巧な彫像のように固まった。

家の外では、大樹兄さんの無双が始まっていた。

身体強化で弾丸と化した兄さんは、光学迷彩を無力化するほど高密度の魔力波動を放ちながら、姿の見えない敵を一人ずつ的確に無力化していく。

「な、なんだ。このガキは。」

虚空から漏れる悲鳴。大樹兄さんの拳は、帝国の最新防具すら紙のように貫き、中の兵士に最小限のダメージを与えて気絶させていく。

裏手の狙撃手たちは、さらに悲惨だった。真央姉さんが操る真空の刃が、彼らの武器だけを精密に切断し、同時に発生させた局所的な突風が、彼らを空高くへと放り出した。

そこを逃さず、僕が遠隔操作するドローンから麻痺毒を含んだ針が射出される。

わずか三分。

アステリアの平和を乱そうとした帝国の先遣隊は、玄関をくぐることさえ許されず、全員が道端に転がることになった。

戦いというにはあまりにも一方的な制圧劇が終わると、チャチャが僕の膝に飛び乗ってきた。

「タクミ。あいつら。弱い。おやつの。時間。まだ。」

「はは、まだだよ、チャチャ。でも、よく頑張ってくれたね。」

僕はチャチャの喉元を撫でながら、外で片付けを終えた兄さんと姉さんを呼び戻した。

父さんが満足げに頷く。

「完璧だ。これだけの騒ぎを起こさずに帝国の精鋭を退けたのなら、彼らもしばらくは手を出してこないだろう。」

「でも、次はもっと大掛かりな軍勢が来るかもしれない。」

母さんが心配そうに言ったが、僕はオーブの演算結果を提示して微笑んだ。

その時は、今回手に入れた帝国兵の装備を解析して、もっと効率的なカウンター兵器を作るだけだよ。科学と魔法の融合は、まだ始まったばかりなんだ。

僕たちは、倒れた兵士たちの処理を街のギルドに匿名で通報し、再び平和な朝食の続きを楽しんだ。

前世では、誰かに守られるのが当たり前だった。

けれどこの世界では、僕たちが僕たちの手で、この愛おしい日常を勝ち取っていく。

十五歳の知識と、若返った家族の絆。そして最強の神獣となったチャチャ。

僕たちの異世界再誕録は、一時の平穏を楽しみながら、次なる大きな変革へと歩みを進めていくのだった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

誤字脱字のご連絡ありがとうございます。

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