9-4 家族
ファミリーを集める。
「……ダンジョンの攻略組と防衛組を分けたい」
みんなは一同に黙り込む。
◆攻略組
シシ
木花咲那
ナビィ
◆防衛組
田城副長官
卓司
アオイ
リル
ラビ
リーダー
ナビィ ※マジックボックス経由
真っ先に反論したのはアオイ。
「あり得ないよ。シシさんからは絶対に離れないから」
続いてリルも抗議する。
「あるじ。ひどいよ」
「……ふたりの気持ちはわかる。わかった上で頼んでる」
「……どういう理由か教えて」
「ダンジョンは隠せない。間違いなく世界中を恐怖に陥れる恐ろしい存在として公表される」
「うん。だからこそ!」
「違うんだよ。アオイの力は戦闘の最前線で使うモノじゃない。世界を守り勇気を与えることにこそ使わなきゃいけない力だ。それは絶対に間違いない」
「………」
「ライブでアオイの歌を聴いてから、いつかこんな日が来るならこうすることを決めてたんだ」
「………」
「アオイの歌が、言葉が、いまこそ世界に必要だと確信している」
「………わかったよ」
「ありがとう」
「……約束して。必ず無事に帰ってきて。それから抱きしめてキスして」
「わかった。約束するよ」
そうしてアオイを強く抱きしめた。
それからリルを抱き上げる。
一生懸命に我慢していたのだろう。涙が溢れている。
「……あるじをひとりにしないものだとお父さんに教わったんだよぅ」
「わかってるよリル。主従ならそうだ。でもオレたちはそうじゃない。わかってるだろ。オレたちはもう親子だ。フェンが本当の父親だけど、この世界ではオレがリルのお父さんだ」
「うぅぅ」
「泣くな。リルはオレの息子だ。オレを守るなんて生意気なことだぞ。それよりもここに残ってくれる大事な家族と一緒にこの世界の人たちを守ってくれ。オレの代わりにな。リルに流れている偉大な力を貸してくれ。魔狼を従えて戦うフェンリルの姿で、世界に勇気を与えてくれ」
「……わかったよ。……お父さん」
私はリルを強く抱きしめて頭を撫でた。
振り返ると全員が号泣してた。
なんか私も泣いてた。
ヤバいなあ。いい家族すぎんだろこれ。
ひとしきり泣いてから気持ちを改める。
「よし、恥ずい! 忘れよう!」
「あはは」
「泣けたね/泣けたぞ」
「感動しましたぞ殿」
「泣いてないからね」
「お兄泣いてた」
「まだ泣けるんだケド♪」
「いつか映画にしような、シシ」
「いいですね!」
「やめろ」
組分けは決まった。
全員とハグをして出発の準備を終えた。
さあ行くぞ。
―――――――
コピーした要塞基地が一斉に起動する。
モニターに100のシンクロシステムが浮かび上がる。
「すごい! セミオートも直感的に動かせる!」
「フルオートは逆にヤバいでしょこれ」
「大丈夫そうだな」
「長官、当たり前ですわ! 正直スタンピード程度はこの異世界システムでなんぼでも跳ね返せまっせ」
「油断するなよ、大型も出るらしいからな」
「異世界ヘリに異世界装甲車も控えてますし、なんて言ってもシシファミリーの大半が残りますからね」
「そうだな。頼もしい限りだ」
「お、シシたちが出ますよ!」
私と木花咲那はタンドラで出撃した。
「さてどうなるかね」
「カウンター型ならモンスターを吐き出してくるよ/迷宮型なら受け入れるぞ」
ダンジョンがどう反応するか。
ツバメ世界は迷宮型でとにかく足止め特化。
かなり厄介なものになっているそうだ。
基本的にダンジョンは破壊不可能。
壁の一部程度は壊したりはできるがすぐに修復されるし、致命的な破壊はできない。
但し花川さんが送ってくれた「ツバメ伝記」によると、英雄神は仲間たちと気合いだけでラスボスのダンジョン城を吹き飛ばしたらしいけどな。
ヤバすぎるだろ。
ツバメ世界のツワモノたちなら攻略なんてしなくても吹き飛ばして終わりかと思ったのだが、「地脈の危うさ」を考えて強引な手段が取れないということらしい。
タンドラがダンジョンに近づく。
すると密林が一瞬大きく膨らみ、震えたように見えた。
そして――
とんでもない数のモンスターたちが飛び出してきたのだった。
こっちはカウンター型ね。
いいじゃん、やってやんよ!
とその時――!
リルの咆哮が鳴り響く。
続いてリーダー、魔狼ちゃんたちの咆哮が続く。
同時に敵の魔狼たちはスタンピードの波から一斉に離脱してリルたちの元へと駆け出した。
それを待っていたかのように迎撃システムが作動。
要塞からバルカンが火を吹いた。
基本セットはおろか、初登場のトロールやミノタウロス、サイクロプスといった新種のモンスターまでもが次々と弾け飛んでいく。
次にダンジョンからグリフォンが群れをなして飛び出してきた。
と同時にウメとホシの専用機がその群れを突き破る。
散り散りになったところをバルカンが粉々にしていく。
次にワイバーンが出てきたが、キヨの狙撃で直ちに撃ち落とされた。
目の前が開ける。
うん、大丈夫だな。
送り出しには完璧なセレモニーだ。
やるな、みんな!
「安心したよ/シシは任せろ!」
「みんな!いってくる!」
私と木花咲那を乗せたタンドラはダンジョンに飛び込んだ。




