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8-⑭ 四国へのアラート



緊急事態宣言における退避で混乱が続く中、ついに四国に歪みのアラートが鳴った。


歪みの中心は徳島県の剣山。

四国山地の中でも標高2,000㍍近い有名な山だ。


伊藤 勉隊長、石河 強副隊長のいわゆる勉強コンビと対策を検討する。


「標高高いなぁ。これ大丈夫ですか」


「ここまでの山岳地帯では以前なら手に負えないエリアでした」


「やっぱり山岳戦は厳しいですよね。どうしたらいいんだろ」


「部隊だけでなく資材の搬入も問題になりますからね。でも今回はそれが簡単にクリアできますから大丈夫ですよ」


「あー、マジックボックスか」


「ええ、それに加えて転移もありますから」


「前回と違って市民を気にせず迎え撃てますし。その点も大きいですよ」


「確かに。イケそうですね」



そこに田城副長官が入室する。


「想定モンスターはゾンビを含む基本セットだ。そこに新種も加わってくる。いま詳細を花田くんが調べているがどうやら飛行種らしいぞ」


「うわ、いよいよか」


「となると異世界ヘリも配備ですかね」


「魔弾の自動迎撃システムで対処できるといいのですが、どこかで航空隊も実戦投下しておきたいのもありますね」


「そうですね。彼らを陸戦にしか使わないのも勿体ない。ここは出してみますか」


作戦は決まった。

山岳地帯に拠点を作って、特殊部隊と一緒に陸と空でモンスターを迎え撃つ。


自衛隊は麓に広く展開して撃ち洩らした敵が出た場合に殲滅に向かってもらう作戦。

モンスターモニターがあれば追撃は可能だ。


まず認識阻害をかけた私が飛んでエリア内へ。

コピーで拠点を配置したのち、一度ファミリーの元へ戻ってから全員で転移するいつものパターンである。



―――――――



「とりあえず準備はこれで整ったな」


先行した私は、山頂付近に広がる高原地帯に拠点を設置した。


今回コピーに用いたのは無人島リゾート。

魔弾自動迎撃システムをフル装備した完全要塞である。

そこに異世界ヘリ5機と異世界装甲車5台も配置した。


なお、念のため迎撃システムはさらに増強しておいた。

……ちょっと強化しすぎた気がしなくもない。


なお、温浴施設はデカいのがあるが、屋外プールやサウナ、スライダーなどは撤去してある。

ファミリー拠点じゃないからな。


一度本部に転移で戻り、まずはファミリーを連れてきた。


「うわーい♪ 無人山リゾートだー♪」

「あ! スライダーの代わりにブランコ! アルプスの少女じゃん! さすがシシさん!」

「ウズウズするぞ/ブランコ乗りたい」


ファミリーには大好評だ。

みんなさっそく遊びにいってしまった。

まあまだ時間もあるし少しはいいか。

もう少し要塞化しておきたいしな。


1時間ほどしてはしゃぎ組が戻ってきた。


「時間までどうする?/ブールでもいくか」

「プール無いぞ」

「えーなんで/作ってよ」

「木花と咲那とアオイの水着はほかの人に見せたくないの。いつも言ってるだろ」

「なんで?/減るもんじゃないぞ」

「ダメだ! 減るものだ! 気持ち的に! ほかの男には見せない。オレだけの特権だ」

「なんか嬉しいぞ/恥ずかしいなあ。嬉しいケド」


イチャイチャしてたら卓司にジト目で見られた。

すまん、居るの忘れてた。


「じゃあ私は食事の準備でもしようかな」

「いいな!/やったー!」

「ごはんだー」

「わーい♪」

「ママー、ぼくもおてつだいするー」


はしゃぎ組はアオイシェフに任せるか。


「我は仲間とこのあたりの地形を調べてきます。殿、よろしいですか?」

「いいよー。ぼくはあるじといるからリーダーにまかせるね」

「ん、リルはリーダーから殿って呼ばれるようになったのか?」

「あるじがふたりはややこしいからこまってたの。アオイが決めてくれた」


またへんな呼び名が飛び交うな。


「じゃあオレはみんなを連れてくるよ」

「「「「いってらっしゃーい」」」」


本部に戻ると、田城副長官、勉強コンビとともにシシ隊のメンバー5人が花田くんとともに待機していた。

シシ隊というのは自衛隊から新たに選抜されたユニットで、第一から五まである部隊とは別に、シシ直轄となる正式名称「零隊」と呼ばれる特選チームである。


特に優れた隊員の中から神眼テストをクリアした精鋭たちで、それぞれが特化した技術を持っている。


山崎・通称ヤマ/武器・技術担当

清田・キヨ /スナイパー

梅田・ウメ/航空隊ヘリパイロット

星田・ホシ/航空隊ヘリパイロット

甲斐・カイ/海自航海士・技術担当


「お、揃ってるな。おはよう!」


「「「「「おはようございます!」」」」」


「いよいよみんなの特技を披露してもらう日だな。期待しているよ」


「「「「「はっ!」」」」」


「……硬いんだよなあ。もうちょっと緩くならないのか」


「無理であります、シシ特別長官」

「はい、あり得ません、勇者統括隊長」

「付き合ってください、シシ様♥」

「第四夫人になりたいです、シシ様♥」

「尊敬してます、神長官」


おい、変なのいたぞ。

てかちゃんとしたのひとりだろ。


「ウメ、ホシ、木花と咲那にボコボコにされるぞ」

「姉さんたちには許可をもらってます」

「見上げた根性だとお褒めいただきました」


……いつの間に。


「そんなの聞いてないから! 勝手に決めないようにな」


「いつか叶えます♥!」

「落としてみせます♥!」


「いやいや無いから。あと! 勇者とか神とかも無しだからな! 以後、その呼び方禁止な」


「「えええー」」


「そもそも特別長官とか統括隊長とか、表の名称じゃないぞ」


「確かに。なんとお呼びしたらいいんだろう」


「シシでいいよ」


「無理ですよ」

「勇者シシ、かな」

「シシさん♥、いやシシくん♥」

「あ、あなた?」

「神様」


ダメだろ。

こいつら本当に精鋭なのか。

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