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8-⑬ 情報開示



「とにかく無事でなによりだ。みんなよくやってくれた!」


長柄総理大臣が部隊を労う。

続いて田城副長官が続ける。


「みなさん素晴らしい戦果でした。お疲れのところあとひと仕事、モンスターの遺体の回収をお願いします。えーっと花川式素材剥ぎ………異世界の素材回収装置がついた車両で各所対応してください。自動回収されるので乗ったままで大丈夫です」


田城さん、剥ぎ取りくん最終号って言いたくなかったんだな。 


そうして素材剥ぎ取りくんを搭載した特殊車両でエリア内を回りモンスターの痕跡を消していく。


「特殊部隊に後処理までさせるのは酷ですね。早く別働隊を用意できればいいのですが」


「もちろん検討しているよ。情報漏洩をどうするかが問題でね。人選が難航しているんだ」


「総理もどこかで腹を括る覚悟だと思います。情報開示もいずれ考えるでしょう」


「でしょうね。今回が出来過ぎです」


「いつまでも隠し通せるものでもない」


「わかりました。人選に神眼が必要な時は遠慮なく言ってください」


「ありがとう。期待しているよ」


―――――――


作戦本部に集まった主要メンバーで事後会議が始まった。


まずは戦果の報告。

現れたモンスターは総数が約1000体だった。

そのうち300頭の魔狼はリルの傘下に収まった。

魔狼ちゃん軍団、もはや立派な大戦力だな。


そして味方のケガ人はゼロ!

ポーションすら出番がなかった。


「異世界の装備があれば隊員の安全が確保できることがわかったのが最大の戦果だ」


「ええ、総理。今後の戦いに希望が持てましたね。あとは民間人の避難誘導だけが問題です」


「このまま四国へ歪みが移るのか、あるいは関西でまだ歪みが続く可能性もある」


「事実を伏せたまま戦うのは正直厳しいです。民間人にどう伝えるかはともかく、作戦に参加する自衛隊と警察にも伏せるのは無理があります」


「確かにな。となると、やはり事実をいつ、どのように開示するかということになるか」

 


――未確認の危険生物の大量発生。


ツバメ世界でも用いられたやり方に習ってそこまでの一般開示を即時行うのはすでに本部の決定事項だ。


その後の話し合いを経て、進め方は以下のように決まった。


大阪テロは未然に防ぐことができたが、引き続き関西全域は警戒態勢を維持する。

さらに新たな危機として、未確認の危険生物の大量発生が四国に確認された。

四国全域に即時、緊急事態宣言を発令。

自衛隊と警察の誘導による四国からの民間人避難を開始する。

四国の民間人の他府県への一時受け入れは政府が全力で支援する。


歪みのエリアの外環を封鎖する作戦に参加する一部自衛隊へは駆除対象がファンタジー世界のモンスターであることを開示。


戦後には敵がモンスターであったことを総理が会見発表するという流れとなった。


神の存在や異世界というワードのほか、シシたち能力者の存在については引き続き一切をトップシークレットにする。


かねてより秘密裏にモンスター事件について情報共有をしていた関係諸国にも同様のレベルでの情報共有を行う。


以上が本部会議で決定した。



「四国は田城副長官とシシ特別長官に任せる。どうか頼んだ」


長柄総理と家入防衛大臣はこの未曾有の対応のため、当座は永田町で指揮を執ることになった。


そして大阪戦を経てこのふたりにも能力が発現した。

まだ魔法は使えないが、ナビィを視認できたのだ。


これにより東京組もマジックボックスが使えるようになり、ふたりには異世界から譲渡された魔法袋を持ってもらうこととなった。

何かあった時には武器装備や備蓄品をスムーズに移動できるようになり不測の事態にも対応可能となったのだった。



そしてその後。

長柄総理大臣の緊急会見が再び開かれた。


大阪における大規模テロの脅威は去ったが、引き続き関西全域を特別警戒する。

さらには四国に未確認危険生物の大量発生が確認されたことにより、緊急事態宣言発令と自衛隊派遣が宣言されたのだった。

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