8-⑪ 大阪攻防戦
さてどうするか。
視察を終えた私たちは真剣に協議を始めた。
たこ焼きを食べながら。
「はふはふ、どうする?/はふはふ、どうしようか」
「死角を減らすためにオレがまず上空からモンスターを対象にした認識阻害をかけるよ」
「はふはふ、まあ死角に湧いたヤツは見られちゃうだろうけど仕方ないよね♪」
「ファミリーと特殊部隊を点在させてあとは最速で個別撃破かな」
「はふはふ、弱くてもモンスターの数が多いんだっけ」
「医療ベースをどれだけ用意しておくかだなあ。その辺は家入さんたちの判断だな」
はふはふが脱力だよ。
さっさと本部に入らないとな。
「やっぱりソースだな/キムチも美味しかったね」
「ネギ盛り盛りのやつもよかったなあ」
「キムチもー」
「焼きそばー」
「出汁のやつー♪」
「ほら、もう行くぞ。テイクアウトもできたみたいだし集合地点に向かうぞ」
おかわりをどれにするか選び出した腹ペコ隊たちを急かして店を出る準備をする。
ブーイングしたり、出来立てがいいと騒いでいるがもうタイムアップだ。
すでにお好み焼きにうどんに串カツ、どて煮、焼肉としっかりグルメツアーさせられたんだからな。
認識阻害と時間停止をかけて全員を連れて強制転移した。
―――――――
「大胆な作戦ですね」
家入さんたちの出した作戦はなかなか派手なものだった。
謎の組織による未曾有の大規模テロ事件の恐れありというヤツだ。
上空を含めてエリア内を完全封鎖するという。
「まあある意味テロみたいなもんだからな。嘘じゃないとも言えるだろ」
「確かにそうですね」
時間が経つにつれてモンスターモニターの精度もあがり、歪みのエリアはほぼ把握できた。
いまは花田くんが発生ポイントの数と発生モンスターの種別を予測しているところだという。
「総理が間もなくこの地域に対して緊急事態宣言を発表する。合わせて自衛隊派遣を要請して歪みのエリアの外周を完全封鎖するよ。狩場にはシシたちと特殊部隊しか残さない」
歪み発生まであと12時間だ。
あとはこの繁華街を本当に空っぽにできるかだな。
―――――――
『緊急ニュースです。長柄総理大臣が先ほど会見を開き、大阪に大規模テロの恐れがあるとして緊急事態宣言を発令しました。大阪市中央区と西区に自衛隊の派遣要請を行ったとのことです』
しばらくしてテレビやラジオが緊急ニュースを一切に報じた。
同時に警察も連動してエリアを隔離すべく行動を開始する。
警察車両が走り回り、大音量のスピーカーで該当エリアからの緊急退避を促していく。
最初は躊躇していた市民たちも、警察車両だけではなく自衛隊の物々しい装甲車が次々と現場に到着するようになってからは退避に協力するようになった。
「すごいな。本当に空っぽにできそうだ」
「四国もこのやり方のアレンジで行くそうだ。早ければ今晩にも四国にも緊急事態宣言を出すことを検討しているよ」
私はグリコサインの前にある戎橋に作られた作戦本部で田城社長……田城副長官と打合せをしていた。
道頓堀川の両サイドにも自衛隊の配備が進んでいるのが見える。
「オレは木花と咲那と一緒に神眼で残留市民を見つければいいんですね」
「老人や病気の方など移動困難で自宅に残っている人もいるだろう。野次馬やマスゴミもいるはずだ。頼んだよ」
「病院なんかはどうしたんです?」
「病院は逆に中に閉じ込める形で対処を開始している。外を見えなくするそうだから気にしなくていい」
「わかりました。あ、花川印の完全防音サイレンサーはコピー完了したんで攻撃隊に回してください」
「早いな」
「最初から100セットもらってたのを倍々コピーできましたから。レベル0の完全無音にも出来るみたいですが、言われたようにレベルは3にしてあります」
「助かるよ。認識阻害はどうだった?」
「エリアの外周に沿ってドーム型に展開できました。細かい認識阻害をしなくていいからむしろ楽ですよ」
木花と咲那に頼んでみたら帳を下ろすように認識阻害つきのバリアを展開することができた。
これで外からは中で起きていることは視認できなくなり、内外への出入りはできなくなる。
カメラやムービーを回されると映り込む可能性はあるが、封鎖ラインはさらに遠くに広げてあるし、作戦開始時間はバレていないのでおそらくは大丈夫だろう。
それに花田くんが花川さんと撮影阻害が出来る仕組みを作ると言っていたからな。
彼らのことだから間に合わせても驚かないぞ。
さああと6時間だ。




