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8-9 危機管理対策室本部



危機管理対策室の作戦本部が完成した。


「あー楽しかった!」


「ちょっとやりすぎだろシシ」

「ボクもそう思います」

「えー、そうかな」

「これはいいな/負けようがないですね」

「安心だねー♪」

「あるじすごいなあ」

「おとんすごい」


ベースになったのは周囲8キロの無人島。

そこに地上三階建ての建物を建てる。

そして島ごとがっつり拡張を施して広大な基地を作り上げた。


高さは10階建てくらいに留めた代わりに、横幅と奥行きは躊躇なし。

庭も含めて富士の演習場が2つ収まるほどに広くした。

航空機の離発着も可能だ。


そして迎撃体制も万全。

魔弾自動迎撃システムでバルカンを大量に配置。

ドラゴンなどの対空対策も完璧にした。

さらにはシーウスも設置してこれで四国全域を射程に押さえてある。


でも念には念を入れ、同じ施設をコピーして四国をぐるりと無人島基地で囲み込むことにした。


うん。これで大丈夫だ。


「もう何が出てきても勝てるでしょこれ」

「勇者御一行、出番なさそうだな」

「自衛隊だけで大丈夫そう」


そこで卓司が痛いところを突いてくる。


「てかさ、毎回思うんですけど。シシさんってこんな細かいことは魔法でやれるのになんで攻撃魔法は苦手なんだろ」


「「「「それはそう」」」」


私も心底、本当にそう思う。

攻撃魔法だけ苦手なのは何故なのか。

イメージの仕方なのかなあ。

木花と咲那、ナビィに言わせれば、「威力がありすぎ」だという。

毎日毎日、繊細なコントロールができるように練習しているのだがなかなかうまくいかない。

かなり進歩したと思っているのだが、それでも暴発間違いなしだとか。

世界を吹き飛ばすような威力になるから攻撃魔法の使用はまだ禁じられている。


「そろそろ時間だ。さあ、総理大臣を迎えに行こうか」


田城社長の声かけで一同は庭に向かうのだった。



―――――――



ヘリがホバリングして降りてくる。

また海からは自衛隊の輸送艦が進んでくるのが見えている。


やがてヘリから長柄総理と家入大臣が織り立つ。


「みんなお出迎えありがとう。驚いたよ! 素晴らしい作戦本部じゃないか!」


開口一番、総理が声を上げる。


「不思議な体験だったよ! 見た目には小さな島なのに降り立っでみればこんなに広大だとは! これもシシの魔法なのか?」


「ええ、【拡張】というスキルです。富士山の裾野の演習場ふたつ分くらいのスペースがあります」


それを聞いた長柄総理も家入大臣も驚きを隠せない。

私はこの基地の概要を伝えることにした。


建物は外から見たら3階建ての少し大きな別荘か、あるいはよくあるホテルのように見えるが実際は地上10階、地下5階で、左右幅と奥行きはそれぞれ10キロの巨大施設になっていることを伝える。


「なんだそれは」

「地上フロアには作戦本部のほかに会議室フロアや執務室、宿舎やトレーニングとレクレーションルームなどを作りました。なお、屋上には天然温泉つきのスパ施設もありますよ。地下には演習場や機材倉庫を用意してあります。核戦争でも1万人が10年は耐えられる備蓄も用意してありますからね」


ふたりとも言葉をなくしていた。


「あ、でもいわゆる自衛隊の作戦本部としての機材なんかは持ち合わせてないのでそのあたりは持ち込んでくださいね」

 

「わ、わかったよ。家入くん、搬入の指示を頼むよ」


「し、承知しました。間もなく艦が到着するので設営を急ぎます」


「異世界の自動迎撃システムや装甲車、武器類についても花田くんがひと通りを把握してます。いま改良案も考えてくれているのであとで担当部門を集めて運用について詰めておいてもらえますか?」


「了解だ。大事なところだな」


「合同の演習もいよいよ始められるな」


「完全防音です。存分にどうぞ」、


「どうぞって。シシくんも参加するんだよ」


「……でしたね」



ほどなくして自衛隊の特殊部隊も合流し、異世界の武器を使った演習も本格的にスタートした。


無反動の魔弾武器や完全防備を誇るポリカーボネートの盾なども使いこなせるようになり、攻撃力と防御力は比較にならない練度を見せるようになっていた。



そしてモンスターモニターのアラートが鳴る。


今度の歪みは――大阪。

それも繁華街のど真ん中だった。

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