8-3 パートナー
国はすでにモンスター騒動を把握していた。
「まさかそんなことになってるなんて」
「歴代の総理大臣と、総理に信頼されている限られた人間のみが知るトップシークレットです。ちなみに山喜久大臣には知らされていません」
「防衛大臣ですよね?」
「歴代の防衛大臣では初めて開示リストから外されたそうです。少々訳ありでして。あくまで臨時の組閣人事ということですよ」
「わかるような気がします」
「前線としては自衛隊に特殊な組織が編成されてます」
「驚いたな。MIBみたいだ。映画の世界ですね」
「アメリカはもちろん、友好国とも情報共有していますよ」
「ていうか、そこまで話してくれていいんですか?」
「隠すもなにも。あなたたちが答えでしょう」
言われてみれば。
ここに答えがあるな。
「ようやく謎が解けますね。お礼がいいたいのはこちらですよ」
その後、我々が知っていることを包み隠さず家入さんに伝えることにした。
神眼で家入さんが「良縁」と理解できたからだ。
まずはわかりやすい証拠として、アイテムボックスで目の前のテーブルの出し入れをしてこの話が真実であることを証明した。
冷血クールな家入さんもさすがに驚いていた。
―――――――
「つまり関西で起きていた歪みはテストで、今後は四国に集中して歪みが起きるということですね」
「はい。今まで通りなら私たちで対応できると思いますが、もしスケールや頻度が変わるならどうなるか分かりません」
「ふむ。どうするか……。異世界からの攻撃以外にも歪みはありうるから特殊部隊を四国だけに集めるというわけにいかないな」
「集めるといいぞ/集めるべきですね」
「え?」
「自然発生の歪みはすべて私たちで対処すればいい/そのための拠点があれば容易いでしょう」
「あ。そりゃそうだな」
「どういうことですか?」
「あー、これもオフレコですけど私たちは転移……瞬間移動ができます。歪みが起きる場所と時間の事前把握も可能なんですよ」
「それはすごいな」
「むしろいざというときの避難民の誘導などは私たちにはできないことです。事情を知る実動部隊が四国で有事に備えるのは確定していいのかもしれません」
「わかりました。その線でいきましょう」
こうして今後についての対策は家入さんとは大筋の合意が取れた。
今まで通りにモンスターとの直接対峙は四国に限らず私たちが行う。
国には四国での民間人保護に努めてもらうが、歪みの規模に応じては特殊部隊も戦闘に参加する。
あとはこの話が上に上がる流れでなにが起きるかだ。
神眼で家入さんその人の善意は間違いないと分かっているが、国としての思惑か必ずしも家入さんの意思と一致するとは限らない。
「家入さん。ここからが一番大事なことになります。国は……政府は私たちをどう扱うと思いますか?」
家入さんはひと息おいてから答えた。
「そこは分かりません。正直、良からぬことを企む人間が出てくるのは間違いない。そしてそれは国内に限らないでしょう。なんせとんでもない戦力ですからね。世の常識も覆した上で、世界を獲ることも容易だ。争奪戦が起きるかもしれない」
それはそうだな。
神の存在がオープンになるだけでとんでもないことになるたろう。
世界大戦が起きたっておかしくないな。
「ですから、あなたたちの存在については当面、私だけか、もしくは私に近しいごく限られたチームだけに留めておこうかと考えています」
「私たちの存在抜きで異世界やモンスター、裏四国からの攻撃を政府に説明できますか?」
「そこは考えます。幸い、私は総理とは良好な関係にある。そしてあの人は私が人生をかけて従うことを決めているほどの方です。国としての判断はともかく、総理個人は信じるに値します。近く非公式な場を設けますから一度会ってみてご判断いただきたい」
「わかりました」
「四国の民間人を保護する方法と対外的な動機はなにか考えて手を打ちます」
「お願いします。田城さん、それでいいかな」
「もちろんだ」
「まあ私たちをどうにかしようとしても無駄ですけどどね/神の怒りを買おうとする人間がどうなるかわかるだろ」
「怖いよ、止めてね。すみません家入さん」
こうして私たちは政府に強いバイブを持つことができた。
防衛大臣はクズすぎたが、政府内に家入さんという強力なパートナーを得ることができたのだ。
これも運999の効果だな。




