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8-2 ダメな人とデキる人



囲み取材を終え私たちは防衛大臣の待つ店に向かう。

田城さんのプロダクションが副業でやっている隠れ家レストランだ。


営利目的ではなく大切なVIPのための店。

一日一組限定、もちろん一見さんは入れない。

こういう店を主要都市には何軒か持っているそうだ。


「おお、やっと来たか!」


特殊なエントランスを抜けて店内に入ると大臣が立ち上がり出迎える。


「大臣、お待たせしました」


田城社長に続き、アオイ、そして私、木花と咲那が入ってくると大臣は顔を曇らせる。


「なんだ、人が多いな。ふたりで会えると思っていたぞ」


「申し訳ありません。食事の前に大事なお話があります。取り巻きの皆さまは外していただけますか?」


「あ? 君たちこそだよ。アオイ以外はさっさと出ていきなさい」


田城社長が一歩進んで頭を下げる。


「………大臣。お願いします。これは国防に関わる話です」


私もそれに続き頭を下げる。


「な、なんだ、何を言い出すんだ! 気でもふれたか!」


不機嫌そうに声をあげた大臣を制するように取り巻きのひとりが動く。


「大臣、ここは一度冷静に。……私は秘書の家入といいます。……田城社長、そこまでの案件なのですか?」


「はい。日本だけの話ではありません。……この世界の危機です」


「……わかりました。皆、下がれ」


家入さんの指示でSPは速やかに退室していく。


「家入! なにを勝手なことを!」


騒ぐ大臣を手で制して家入さんは言葉を続ける。


「大臣、田城社長は確かな方です。それに一緒にいらっしゃるのは獅子川 湘です。わかりますよね? 世界のシシです。国防という言葉を簡単に使う方々ではありませんよ」


「そ、そんなことはどうでもいいんだよ!」


「お言葉を返すようですが、私には非公式ながらいざという時には日本の危機管理を束ねる権限を総理から預かっています。ご存じですよね」


「だ、だからなんだ! 貴様いったい誰にモノをいってるかわかってるのか! アオイの前で恥をかかせる気か!」


なんだこいつは。

こいつが本当に国を守る重職につくべき人間か?

あーもう面倒くさい!


私がキレそうになったその時――。

口論の合間を縫って、アオイの言葉が部屋に響く。


「黙れ」


ア、アオイ!?


だが一瞬で空気が変わる。

すげーな。たったひと言で場を制した。

これが歌姫の言葉か。


「話を聞かないなら、あなたは出ていけ」


「な!」


「私たちは世界を救うためにあなたを頼ったんですよ。抱きつかれたり食事をするためじゃない。話を聞かないなら、今すぐ出ていってください」


「! わ、わざわざこんなところまで出向いてやったのにその言い草はなんだ! やってられるか! 覚えておけ」


声を荒げて山喜久大臣は部屋を出ていった。


「大臣が帰るぞ」

家入さんはインカムで外のSPに手早く指示を出すとこちらに向き直る。


「お騒がせしました。少々お待ちいただけますか。私が代わりに伺います」



―――――――


ほどなくして家入さんが部屋に戻る。

改めて全員が席につく。


ひと息ついてから私は意を決して言葉にした。



「信じていただけるかどうか……この日本に異世界からモンスターがやってきます」



しばらくの沈黙のあと、家入さんが口を開く。


「何かと思えば……そっちの話でしたか」


「いや、家入さんそれがですね……」


「大丈夫ですよ。先ほどの話が冗談ではないことは理解していますのでご安心ください。」


「え?」


「先ほども申し上げましたが、私は総理大臣からある特別な役割を……危機管理を束ねる権限を預かっています」


「はい」


「表には出ていませんが、未確認の生物が実在することはすでに把握しています。"そっちの話"とはそういう意味です」


「!」


「本当だな/嘘はついてないね」


「あなたは?」


「シシの嫁で女神だ/ショウの妻で神です」


うーん、あれこれややこしい。

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